御朱印に続き「御城印」人気が急上昇 水戸城では販売翌日に完売も コロナ禍で苦戦の観光地に起爆剤:東京新聞 TOKYO Web

御朱印に続き「御城印」人気が急上昇 水戸城では販売翌日に完売も コロナ禍で苦戦の観光地に起爆剤

2020年9月26日 13時50分
 神社仏閣を訪れた際にもらう「御朱印」ブームに続き、城の登城を記念する「御城印」が人気だ。初めて発行されたのは約30年前とされるが、会員制交流サイト(SNS)で話題を呼び、流行の兆しを見せている。水戸城(水戸市)では8月下旬に販売を開始したところ、翌日に完売。新型コロナウイルスで観光地が苦戦する中、新たな起爆剤になるか?(松村真一郎)

販売翌日に完売する人気だった水戸城の御城印

 「まさか、こんなに人気があるとは思わなかった」。御城印のあまりの好評ぶりに、水戸観光コンベンション協会(同市)の田口茂事務局長が驚く。
 協会は、和紙に水戸徳川家の家紋を描いた図柄と、2月に100年以上ぶりに再建された城の大手門をデザインした2種類(各300円)の計400部を用意。8月25日に、水戸駅の観光案内所など3カ所で販売し、翌日にはすべて売り切れた。
 31日に倍以上の計1000部を再入荷して販売したが、4日後に再び完売。東京都から購入に訪れた渡辺斎さん(56)は全国の御城印を収集しているという。「従来のお土産よりも『ここに行った』と実感できるし、何よりデザインがかっこいい」
 今年は新型コロナの影響で、水戸市内の観光地も来訪者が激減。日本3名園の一つの偕楽園と弘道館で2、3月に開かれた「水戸の梅まつり」では、来場者が前年比約6割減の19万4200人だった。田口事務局長は「御城印が、水戸を訪れるきっかけになるといい」と話す。
 御城印ブームは全国で広がっている。城の専門情報サイト「攻城団」の河野武代表によると、最初に発行されたのは約30年前の松本城(長野県)という。
 ほそぼそと存在してきたが、SNSで知れ渡り、ここ数年で人気が急上昇。現在は小田原城(神奈川県)など有名な城だけではなく、沼田城(群馬県)など地方も含め約400カ所で販売されている。
 人気の理由は、1枚300円前後と安価なことや、各城主の家紋が描かれるなど個性があることが挙げられる。河野さんは「販売側と観光客側の双方にメリットがある」と話す。
 観光客に来てもらうため、ネット販売をしないケースが多い。土浦城があった茨城県土浦市の市立博物館もブームを受けて、3月から販売を開始。館内でのみ販売しており、学芸員の西口正隆さんは「詳細なデータはないが、土浦城に来る人は増えている印象だ」と効果を実感する。

佐倉城(千葉県佐倉市)の御城印=市観光協会提供

 一方、日本100名城の佐倉城があった千葉県佐倉市の観光協会は、3種類の御城印をネットでも販売している。販売を始めた5月は、新型コロナの感染拡大で観光誘客を大々的にアピールできない時期だった。協会の坂健郎統括主任は「本来は直接来てほしいが、まずは佐倉市に興味を持ってもらうことが第一歩。知名度アップにつながるといい」と期待した。

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