北海道でアドベンチャートラベル世界大会開催、日本のポテンシャルを世界に発信 「アドベンチャートラベル・ワールドサミット北海道・日本(ATWS2023)」開催レポート|地域の皆様へのお知らせ|JNTO(日本政府観光局)
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北海道でアドベンチャートラベル世界大会開催、日本のポテンシャルを世界に発信 「アドベンチャートラベル・ワールドサミット北海道・日本(ATWS2023)」開催レポート

北海道でアドベンチャートラベル世界大会開催、日本のポテンシャルを世界に発信 「アドベンチャートラベル・ワールドサミット北海道・日本(ATWS2023)」開催レポート

北海道でアドベンチャートラベル世界大会開催、日本のポテンシャルを世界に発信 「アドベンチャートラベル・ワールドサミット北海道・日本(ATWS2023)」開催レポート

2023年9月11日~14日、「アドベンチャートラベル・ワールドサミット北海道・日本(ATWS2023)」が北海道で開催されました。世界中からAT関係者が集まり、札幌での大会や道内日帰りツアー、大会前には全国各地で3泊~6泊のAT体験ツアーを満喫。雄大な自然・多様なアクティビティ・独自の文化を織り交えた日本のATの可能性をアピールする絶好の機会となりました。JNTOもJapan Loungeを出展し、全国のAT関係者とともに日本各地の魅力をPRしました。本記事では、サミットに参加したJNTO職員が概要についてレポートします。

ATWS2023をアジアで初めてリアル開催

観光の高付加価値化を実現するツーリズムとして注目が高まっているAT。「アクティビティ」「自然」「文化体験」のうち2つ以上で構成される旅行と定義され、経済効果だけでなく、産業の多様化を結びつける役割、自然の枯渇、地球温暖化による気候変動などの環境問題に対応する視点があることが重視されています。

世界100ヵ国、1400機関以上の会員(メディア、ツアーオペレーター、アウトドアメーカー、政府観光局、観光協会、DMOなど)を持つAT業界最大の団体であるAdventure Travel Trade Association(ATTA)は年間を通じてさまざまなイベントを各地で開催しています。その中でも、最大規模を誇るのがATWSです。

北海道は、ATWSの日本誘致に向けて2019年に道東でATTAと連携したFAMツアー「Adventure Week」を実施し、AT関係の旅行商品を取り扱う旅行会社やメディアを招聘しました。
2020年4月には「アドベンチャートラベル・ワールドサミット2021 北海道実行委員会」を設置し、同年10月にATWS2021の日本開催が正式決定。コロナ禍で2021年はバーチャル開催となりましたが、2023年に北海道でのリアル開催が確定し、参加チケットは早々に完売するなど、日本のATへの期待の高さが浮き彫りになりました。

 

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オープニングの書道パフォーマンスではATWS2023のテーマ「調和」を披露

 

JNTOでは2019年以降、ATWS、Adventure ELEVATE(※)に継続的に参加して関係者とのネットワークを強化してきたほか、AT特設サイトを開設して日本全国のATのPRに取り組んできました。ATWS2023の日本開催に向けても、誘致から開催に至るまで、北海道をはじめとする全国の関係者と密に連携を図ってきました。

 
※毎年開催されるATに関する3日間の教育およびネットワーキングカンファレンス。全世界からATコミュニティのキーパーソンが集まる。

ATWS2023 大会プログラムとイベント

ATWS2023は「調和 -Harmony」をテーマに開催され、参加者は日本を含め、参加者は日本を含め64ヵ国・地域、約773人に上りました。

本大会前には、PSA(プレサミットアドベンチャー)が北海道を含む7地域において22コースで実施され、また本大会1日目には北海道内の日帰りアドベンチャーツアーのDOA(デイオブアドベンチャー)も31コースで実施されました。参加者はアウトドアアクティビティやアイヌの伝統文化をはじめとした歴史・文化体験などを通じて地域のストーリーに深く触れ、日本のATの現状やサステナブル・ツーリズムの取組状況を理解するきっかけとなり、また、大会2日目から行われる会議・商談会に先立ち、PSA・DOAを行うことで、参加者同士の円滑なネットワーキングや関係強化にも寄与しました。

 

9月12日に行われたオープニングイベントの基調講演では、JNTO理事長の蒲生篤実が登壇。日本各地のATを紹介する動画を放映したあと、日本の地理的特徴や優位点、東北をはじめとするPSAコースの紹介、各地でのサステナブルな取り組みなどを英語でプレゼンテーションし、日本の魅力をPRしました。さらに、ATWS2023開幕前に北海道をはじめ日本各地で実施したPSAの模様を集約した映像の演出とともに、「PSAは楽しんでもらえましたか」と問いかけると、会場から大きな歓声が上がり、手応えを感じた瞬間でした。

ATWS2023では、世界各国・地域の知見を共有する場としてさまざまなプログラムが実施されました。そのひとつであるパネルディスカッション「THE COLLABORATIVE & SUSTAINABLE FUTURE OF ASIA-PACIFIC ADVENTURE TOURISM」には、ATTA・APAC地域ディレクターであるハンナ・ピアソン氏をモデレーターに、JNTO理事の遠藤克己も他のパネリスト2名とともに参加し、アジア地域における連携、サステナブル・ツーリズムの取り組みの現状や課題について議論しました。中国、インド、マレーシアなどの参加者と、サステナビリティ推進に向けた官民のあり方、課題に関する意見交換も行われました。

世界各地からの参加者に向け、日本の魅力をアピールする大きな機会となったのが、オープニングセレモニーです。1972年札幌オリンピックの舞台でもある大倉山スキージャンプ場で、地元東海大学スキー部選手による壮大なジャンプ披露でスタート。ステージでは、北海道がアイヌ古式舞踊、アイヌ音楽トンコリ奏者「OKI」&ボーカルグループ「マレウレウ」の舞台を用意。JNTOからは日本全体のPRとして太鼓芸能集団「鼓童」による太鼓のパフォーマンスを提供し、ともに迫力ある演出で日本文化の魅力を訴求しました。

JNTOは海外の旅行会社やメディアとの商談会にも積極的に参加し、訪日旅行を取り扱うバイヤーからは、ATへの需要の高まりの声が多数聞かれました。日本で人気のアクティビティとしてはハイキングやサイクリングが挙げられ、熊野古道、四国遍路、中山道、しまなみ海道などはすでに商品化されており、新しいコンテンツを探しているとの要望も多く、東北のみちのく潮風トレイルや出羽三山などが関心を集めていました。商談相手に対しては、各海外事務所と連携しながらフォローアップを実施しています。

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Japan Loungeの様子

Japan Loungeで得られた成果

ATWS2023で日本のATを世界にアピールする場として、JNTOが会場ロビーに設けたのが「Japan Lounge」です。日本各地でATに取り組む自治体や事業者と連携し、全国のATコンテンツの情報発信を行うとともに、隣接した北海道実行委員会の「北海道ラウンジ」と一体で運営しました。

Japan Loungeでは、JNTOは主に海外の旅行会社やメディアなど来場者に興味のあるコンテンツやエリアをヒアリングし、ニーズに合った地域や事業者の紹介、各地域のテーブルでのネットワーキングや商談へつなげる役割を担いました。また道外の広域連携DMO、自治体、観光協会、地域の観光事業者など26団体が、地域ごとにまとまって地域のコンテンツやツアーをPRするとともに、環境省から国立公園や日本の自然についても紹介。開催期間中は各テーブルとも来場者が絶えず、来場者の興味に合わせて情報提供をするだけなく、お互いの経験や考えを共有して盛り上がったり具体的な訪日旅行プランについて相談したりと、開催後にもつながるコミュニケーションやネットワーキングができたと自負しています。
全国のAT関係者がJapan Loungeに集まったことで、地域内・地域外の日本人参加者同士の交流も生まれました。他方で今後はより海外参加者目線に立ち、地域別だけではなく、地域横断的にアクティビティ・テーマ別でのPRも行っていくことの必要性も感じました。

Japan Loungeと北海道ラウンジは来訪者に合同でアンケートを実施し、バイヤー、メディアなどから225の回答を得ることができました。

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出典:JNTO 日本でのATとして興味関心が高い体験

 

Japan Loungeを訪れた方へのアンケートでは、日本のATで期待している体験は「ハイキング&ウォーキング」、「自然ツアー」に続き、「地元民との交流」、「食べ物&飲み物」、「伝統的文化体験」などが上位となりました。自然と文化の両方が感じられるアクティビティへの期待度が高いことが伺えます。

 

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出典:JNTO 日本におけるATのテーマ/ストーリー

 

日本らしいATのストーリーやテーマとして望むものについては、「特有の文化」がトップ。2位「素晴らしい景色」、3位「国立公園」が続き、日本の自然だけでなく文化を楽しむことへの期待が見られました。

 

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出典:JNTO 日本におけるATを実現するうえでの難しさ

 

一方で、日本のアドベンチャートラベルの商品・コースの課題については、1位「ガイドの英語レベルが低い」、「距離が遠い」、3位「情報が不足している」などと、多言語対応や、距離のハードルを越えても訪れる価値があることをしっかりと情報発信していく必要性が明らかとなりました。

また、アンケート回答者へのお礼として配布した、全国各地の自治体・事業者等から提供いただいたギブアウェイは、地域のストーリーが込められ、環境にも配慮されていると大好評でした。

 

こうしたさまざまな示唆が得られたATWS2023を受け、JNTOは引き続き、AT特設サイトの拡充やATWSやAdventureELEVATEといったイベント出展などを通じて日本のATに関する海外向け情報発信を続けていきます。2024年には沖縄県でAdventure Weekも開催します。ATTAの監修を受け商品の更なる磨き上げを行っていくとともに、FAMトリップや最終日に実施される商談会を通じて販路拡大につなげていきたいと考えています。

 

参考サイト

JNTOアドベンチャートラベル紹介ページ(英語)