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医療機関を中心とした関係者の皆様が、急な怪我や病気になられた訪日外国人旅行者を受け入れる際に役立つ、
マニュアル等と好取組事例集を作りました。ご参照ください。

医療関係者向けに提供されているマニュアル等

医療機関向けに提供されているマニュアル等資料一覧

好取組事例1(公立病院A)

ポイント 【受付時】
・身元確認と同時に支払方法を確認し、保険会社等に支払の確約を取得。
・受付時から医療費の概算金額を提示し、料金内訳やオプションを丁寧に説明する。
【退院時】
・医療費が支払済みであることを確認してから退院させる。

多言語の対応体制
・全部で13言語に対応可。
・受付時の身元確認・支払確約の取得、医療費の説明、退院後の支払いの催促は、外国人対応専門部署(3名体制)で行っている。
対応可能なスタッフ(日中) 遠隔通訳のコールセンター
サービス利用
英語 4名常駐。
1名は米の看護師資格あり
24時間対応
中国 非常勤3名
韓国
スペイン
ポルトガル
ベトナム 非常勤1名
平日の9:00-18:00間に対応
ネパール他7言語

受付
・受付時は身元確認と同時に支払について確認。

- パスポート/身分証明書を確認・コピー。

- 支払方法の希望(現金かクレジットカードか)を確認する。

・クレジットカードの場合は受付時に登録を行う。

・旅行者に支払の意思表明及び連絡先を記載した支払確約書の作成を求める。

・保険加入者の場合、すぐに保険会社に連絡し支払確約書を取得。
・受付時から患者に医療費の概算金額を提示し、料金の内訳やその他オプションを丁寧に説明することで信頼・理解を得る。

- ホームページに疾患別の医療費の概算を掲載(3割負担の場合、全額負担の場合を併記)。

- 料金の構成(初診料等)や診療単価(1点XX円)を説明。

- 「検査はだいたい2万円程度(紹介料なし代+検査代+薬代)です」と説明。
・治療費負担に難がある場合には、診療単価の安い医療機関へ転院を紹介したり、無料低額診察病院を紹介したりする。
・最低限の治療だけを行い帰国する等、その他オプションも必要に応じて提示。


診察
・搭乗許可のために診断書を求める外国人患者のために、医者が英文を作文しなくてもチェックだけで仕上がる診断書フォーマットを作成、運用している。3分位で作成が可能。

精算時
・十分な支払能力を有しない患者に対し、外部に支援を求めるよう提案・助言を行う(例:家族・友人から借りる、保険会社と交渉する、等)。
・退院時は医療費が支払済みであることを確認してから退院させる。

- 退院手続き終了後旅行者に精算するように案内しても支払いせずに去ってしまう場合が多いため、医療費の領収書を確認してから退院手続きを行うように変更。

- 入院時に預かった荷物は、医療費の領収書を確認するまで返却しないなどして、支払を促す。


その他:外部の機関の利用
・外部の関係者(クレジットカード会社、大使館、通訳)とコンタクトする際には、個人情報開示同意書を取得し、“私の医療に係る全ての人への開示”に対する同意を取得する。
・「クレジットカード上限額まで使い切ったので払えない」という患者には、カード会社に電話させ上限額を一時的に上げてもらう。
・本人のクレジットカードが使えない場合は、家族のクレジットカード情報を入手してもらい、それに基づいて支払い処理を行う。
・支払について家族と相談させる際に、「家族と連絡が付かない」という場合には大使館に依頼させ、家族を探させることも実施。
・本人が意識がない場合には大使館に連絡し、家族への連絡を依頼する。
・退院後に医療費を請求する旅行者に対し、こまめにメール等で連絡をとり支払を催促。

紹介した
医療機関の概要
概要
・公立で約800床を有する三次救急指定施設
取組みの背景
・公立病院のため、他の医療機関で受け入れづらい外国人患者を受け入れる傾向があった。
・外国人患者の数が増えてきたことを受け、院内に専門部署を2015年4月に設置。
外国人患者の傾向
・地域住民に外国人が増えており、外来の12%(約400人)は外国人。労働者層なので高齢者が少ない。

好取組事例2(クリニックB)

ポイント ・診療時に症状などの確認と併せ、支払について質問
・費用負担を下げる検査・治療方法の提案や、支払方法の選択肢の提示
・民間保険を使いこなす知識・経験の蓄積

多言語の対応体制
院長 英語、タイ語、スペイン語に対応
小児科の副院長 韓国語、英語に対応
フィリピン人スタッフ 基本的に毎日勤務。
英語、タガログ語、スペイン語に対応
ベトナム人スタッフ 月に一回、土曜日にパートタイム勤務。
ベトナム語に対応
受付職員 1名、英語で対応

診察
・診療時に症状などの確認と併せて、支払方法(現金/カード)について聞く
・症状を確認した段階で、どのくらい治療費が掛かりそうか伝える
・支払に不安がありそうであれば、いくつか治療の選択肢を提示し、それぞれ費用の目安を伝える
・その際、検査は最小限に、薬はジェネリックを選択するように留意
・旅行者の場合、当院で必ずしも完治させず、急性期を脱して帰国できるまで治療する、というオプションも用意(日本人のように完治前提としない)。

紹介した
医療機関の概要
概要
・80年代に院長が近くの公立病院の勤務医であったときにインドシナ難民定住促進センターの嘱託医として彼らの医療に従事、日本語が理解できない人々に適切な医療を届けることの必要性とその難しさを痛感していた。
・当時よりアジア系の住民が急増したことを受け、日本人同様に受け入れられる通訳のいる医療機関を目指し、1990年代にクリニックを設置。
・消化器科・外科・小児科に対応。
取組みの背景
・地域に住む東南アジア系の住民を中心に診察していたが、その住民を訪問する親族や、留学生の受診が増えてきた。
・1990年代以降、順次着手。
訪日外国人旅行者の傾向
・日本に住む娘や息子などの家族を訪ねるフィリピン人(一部ペルー人)の治療。英語が話せずタガログ語が主。保険加入者・未加入者ともいる。(2~3人/月)。

好取組事例3(診療所C)

ポイント ・診察初期での丁寧なコミュニケーションによる、病状把握の徹底、無用な検査費用発生の抑制、早期の治療で悪化を回避することで患者負担軽減の努力を促進する。
・積極的に支払いの相談にのることで、患者側の支払い努力や制度活用での医療費問題の解決を図る。

多言語の対応体制
・英語は医師が対応。他の言語は自治体の医療通訳の派遣サービスを利用。数日後に予約し、再診時に通訳を通じて詳しく説明。
・電話通訳も利用したことはあるが、医師から患者への説明はある程度可能な一方で、患者からの説明は聞きづらく、あまり使用していない。
・自治体の制度で対応できない希少言語はNPOなどに相談することもある。

受付
・受付は基本的には簡単な日本語での対応。
・言語や支払い可否を理由に窓口で断るのは避ける。病状が重くなってから受診することになり、治療費がかさむことで、患者だけでなく次に受ける医療機関の負担が増える。

診察
・診察に時間をかけ、検査を予め絞り込むことで、医療費が膨らまないよう心掛ける(1万円未満になるよう心掛けている)。
・病状が重く入院が必要な場合、病院のソーシャルワーカーと相談をしながら治療を手配する。通訳制度があるので病院での未払いも少ないと認識している。
・日本での治療環境が整わずに、帰国後の治療の見通しがある場合は、出身国側に橋渡しをすることもあるが、移動の安全が確保されるまでの治療をすることが必須である。

精算
・医療費が高くなる場合は、その必要性をしっかり説明することで理解を得る。一時滞在や出張中の外国人での未払いは殆ど経験していない。
生活困窮している在住外国人の診療の場合、医療費の支払に困難があるケースをしばしば経験する。しかし、診療を忌避すれば、より重症化してから他医を受診することになるので、支払に課題があっても受入れ、さまざまな方法で医療費支払の相談に乗るようにしている。治療を提供している限り、外国人患者側も積極的に解決策を検討する支払う努力をしている。

紹介した
医療機関の概要
概要
・都心部で働く人のための診療所として設立。
・内科を中心に、整形外科・外科・産婦人科・心療内科に対応。
取組みの背景
・1990年代より外国人も多数診療している。外国語での対応ができることが知られる中で、在住外国人の診療が増え、外来受診者の約2割は外国人である。近年は、出張・親戚訪問中・旅行中の受診者も少なからず見られるようになった。
・2002年から自治体の通訳派遣制度に協力し、これを利用している。
訪日外国人旅行者の傾向
・外国人受診者の大半は在住外国人である。
・一方でフィリピン、インドネシア、ミャンマーなどからの20-40歳のビジネス出張者が受診することが増えた。エンジニアが多く、英語がほぼ通じ、企業保険など企業負担で治療が受けられる(2~3人/月)
・日本人と結婚して日本に住む娘や息子などの家族を訪ねるアジア出身の外国人が、慢性疾患や感冒などで受診することも多い。英語が多いが医師が他の言語を対応したり通訳養成することもある。