青春有你3とIXFORM|Shizuka
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青春有你3とIXFORM

中国の二大アイドルサバイバルオーディション番組といえば『創造営』シリーズと『青春有你』シリーズ。今年は両方が男性アイドルオーディションで、しかも同時期の配信スタート。さぞバチバチ鎬を削るのだろうと思いきや、諸般の事情(割愛)により『青春有你3』はファイナルを目前に番組の制作が中止になり、結果不戦勝のようなかたちで『創造営2021』に軍配があがった格好になった。

日本語字幕がローンチしたことも手伝って、正直に言うと今年は『創4』にやや肩入れしてしまっていた。『青3』は中国語のみ(英語字幕もあるが爆速で表示されるので動体視力が問われる鬼仕様)だしとにかくエピソード数が多く、両方の番組を同じ熱量で追うのはなかなか難しい。そもなんで同時期にやるのか。ズラしてくれ。鯖番掛け持ちがこんなに大変だとは…
一足先に『創4』がファイナルを迎え、ようやく『青3』に集中できると思った矢先に件の中止の報で、一体自分の推しはどうなってしまうのか…と心配と不安と爱奇艺への失望と苛立ちでウダウダしていたところ、先日やっとデビューグループ『IXFORM(エクスフォーム)』が発表された。
今回は自分用の備忘録としてデビューメンバーと初期のレベル分けテストの見どころ(一部)を書いておきたい。『青3』も面白いし魅力的な練習生がたくさんいるので、きっかけになったらいいなというささやかなダイマでもあります。

IXFORMメンバー

最終順位付けはないため、公式としての順序はイマイチ分からず。
罗一舟(21歳/中国/耀客传媒)
连淮伟(23歳/中国/连淮伟工作室)
唐九洲(23歳/中国/乐华娱乐)
孙滢皓(21歳/中国/老鱼映画)
刘冠佑(19歳/中国台湾/浩瀚娱乐)
邓孝慈(23歳/中国/冉翼文化)
刘隽(23歳/マレーシア/個人練習生)
段星星(23歳/中国/辰星娱乐)
孙亦航(19歳/中国/原际画)

センターは罗一舟、リーダーは刘隽。
平均年齢:21.67歳。なんとINTO1とほぼ同じだった。
例年『青春有你』シリーズは長身で顔が良く、大人っぽい全能タイプの練習生が揃う傾向にあるように思う。『創造営』シリーズはどちらかというと少年っぽいスタイルが好まれていて、個性的な一芸タイプの練習生も多く、バラエティに富んでいる印象がある。


■罗一舟(Luo Yizhou/ルオ・イージョウ)
顔面センターエリート。長年培った中国舞踊が武器。笑顔の似合うオールラウンダーで、王子様風な甘いマスクに低い声のギャップがいい。

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■连淮伟(Lian Huaiwei/リェン・ホワイウェイ)
『明日之子』『青春有你』出演歴があり、知名度も高い出戻りアイドル。賑やか(やかましいとも言う)な実力派ムードメーカー。

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■唐九洲(Tang Jiuzhou/タン・ジウジョウ)
インテリで人気のバラドル。頭が良くMCやトークが上手い。『創4』邵明明とはバラエティ番組の同期。愛称はJOJO。

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■孙滢皓(Sun Yinghao/ソン・インハオ)
アンドロジナスなド根性ダンサー、振付師。方言とギャル感のギャップが沼。10頭身かと見紛う脅威のスタイルの持ち主。

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■刘冠佑(Liu Guanyou/リュウ・グァンヨウ)
最年少の全能エース。韓国TOPMediaの元練習生。負けず嫌いで80位台からのジャンプアップ。ダンスはもちろん、伸びのある歌声も素晴らしい。

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■邓孝慈(Deng Xiaoci/ダン・シャオツー)
ポンコツクールビューティー。歌もダンスも不得手だが、とにかく顔がいいビジュアル担当。コメントも毎度ポンコツで面白い。

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■刘隽(Liu Jun/リュウ・ジュン)
4ヶ国語を操る傾国の天才ダンサー、振付師。振付作品ではどれも独自の哲学を見せる。INTO1の力丸と同じ韓国のスタジオで活動していた。

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■段星星(Duan Xingxing/ドゥアン・シンシン)
ワイルドでエキゾチックなルックスが個性的なダンサー。シャイな笑顔と表情管理が魅力。ややマイペースなみんなのお兄さん的存在。

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■孙亦航(Sun Yinhang/ソン・イーハン)
芸能歴の長い、幼少からの業界エリートで真面目な優等生。TF家族の元練習生。INTO1の林墨とは同じ事務所の所属。

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主題歌ステージ『We Rock』

センターは罗一舟。番組を通して最後までトニー(余景天・ファイナル前に番組辞退)と1位を争っていた。
『青春有你』シリーズの主題歌はビートと展開重視のバキバキに歌って踊るK-POP風、『創造営』はスタンダードで構成のハッキリした歌詞重視のJ-POP風キラキラアイドル曲の傾向があるように思う。どちらもそれぞれの番組の特徴が出ていていい。
それにしても今回の振付はめちゃくちゃ難易度が高く、見ているだけでもハードでちょっとドン引きしてしまう……正確で完璧なコントロールでこなしているのは刘隽だけれど、罗一舟にはアイドルらしい笑顔と華があるし、トニーには年相応のやんちゃさと一生懸命なひたむきさがあって、なるほど、こうやって全員で並んでみるとオタクが納得する布陣です。

■初回レベル分けテスト 『Tiger』 罗一舟ほか/耀客传媒

初回レベル分けテストで『Tiger』を披露したのは3組。
罗一舟のダンスブレイクのしなやかでエネルギッシュな踊りが素晴らしく、会場を沸かせていた。甘いマスクに似合わない低音の歌声もギャップがあって魅力的。この顔でパンチのあるRapを繰り出してくるのが格好いいし、ステージを下りるとニコニコ笑ってライバルたちに惜しみなく拍手と称賛を贈る好青年っぷりもいい。

■初回レベル分けテスト 罗一舟追試

追加テストでは得意の中国の民族舞踊を披露。長身に長い手足をこれでもかと駆使した踊りはダイナミックでたおやか。『創4』の刘宇も同じく中国舞踊を得意としているが、典雅で優美な刘宇とはまた違って、罗一舟はしなやかな力強さがある。ひとくちに中国舞踊と言っても違うんだなあと勉強になってしまう(きっと2人とも両方できるのだろうけれども)。
解放軍芸術学院で舞踊を学び、現在は中央戯劇学院に通う芸能エリート。主題歌センターを務めてファイナルまでトニーと1位を争うことになるのだが、現代っ子なトニーと軍隊仕込みの体育会系ムーブをこなす罗一舟の凸凹コンビ感も可愛かった。

■初回レベル分けテスト 『Tiger』 孙滢皓・段星星ほか/事務所混合チーム

『Tiger』3組め。事務所混合チームのため他2組に比べて落ちこぼれのように演出されていたが、蓋を開ければ3組で最も評価の高いステージになった。
練習期間たった1ヶ月でもともと同じグループだったかのような一体感を作り上げ、楽曲にふさわしいパワフルなパフォーマンスを披露。誰かが突出して良いのではなく、チームとしての完成度が高い。メンター陣にもその点が高く評価されていた。
デビュー組に入ったのは孙滢皓と段星星。長髪に美少女フェイスでモデル体型の孙滢皓に、陽キャ全開ワイルド系なルックスの段星星。今思えば全くテイストの異なる2人が共存していたのが面白い。
孙滢皓は個性的なルックスに反してどのステージもコンセプト消化が素晴らしく、『Tiger』でもボーイズグループのパワフルさを発揮できていたし、段星星は縁の下の力持ち的なステージのバランサー。カメラに抜かれれば抜群の表情管理と顔の良さで求心力がある。中国のアイドルには段星星のようなワイルドなタイプは滅多におらず、番組全体を通してそのルックスだけでもかなり目立っていたように思う。

■初回レベル分けテスト 孙滢皓追試

他人の価値観にとらわれず、「自分は自分」と言い張るマインドが現代のアイドルにふさわしい。
オーディション番組は進行に伴って練習生が垢抜けていったり、スタイリングが変化していくのも醍醐味のひとつだが、孙滢皓は自分のスタイルが揺らがなかったのにとても好感が持てた。もし髪切ってたら泣いてました。

■初回レベル分けテスト 段星星追試

ウェイで派手な見た目なのにシャイでキュートで良いヤツ…それが段星星。なお本年度のリサ先生のオキニでもあります(昨年度は陆柯燃)。

■初回レベル分けテスト 『负重一万斤长大』刘隽/個人練習生

『青3』初回テストで最も印象的なステージにはこれを挙げる人が多いのではないだろうか。
Youkuのオーディション番組『少年之名』でダンス講師を務めた有名振付師で、練習生間でも注目を集めていた存在。「なんで先生やってた刘隽がわざわざ出るんだろ?」などと思っていたが、あまりに衝撃的なこのパフォーマンスを見てすっかり虜になってしまった。「すごいものを見た」の一言に尽きる。
実際の幼女暴行事件を題材にした韓国映画『ソウォン/願い』にインスパイアされた自身の振付作品(実際に歌手の太一本人にも会って話し合って作っていた)。ちょっと歌詞が難解なのだが、少女が心の傷と戦い、周囲との軋轢や不理解に苦しみ、その中で成長していく不条理や嘆きを歌っている。「どうして私ひとりが地に堕とされたの?」「私を慈しんでくれるなら、どうか傷つけないで」「この一万斤の重荷を背負って大人になっていく」。
力強さと脆さ、希望と絶望指先まで完璧にコントロールされた動きと表情、歌詞を体現した振付は見るものに痛切に訴えかけてきて、これぞ表現力と感動すらおぼえてしまう。インサートされる練習生たちの表情も印象的で、痛ましそうに見る者、涙を浮かべる者、固唾を呑んで見守る者などなど…。そこそこ中国プデュを見てきた自負があるが、こんなに緊張感の漂う初回テストを見たのは初めてだった。
プデュでコンテンポラリー作品を披露する練習生はあまりなく、そういった意味でも異色の存在感を放っていた。
スタジオバージョンはフルサイズ歌詞でもっと長い作品になっているので、ぜひそちらもご覧ください(ダイマ)。
刘隽はこのあとも持ち前のダンス能力と振付、ギャップ(少年のような甘い歌声にステージを下りると幼稚園児な愛嬌)でデビューを勝ち取るのだが、1公以降の素晴らしいステージはまたの機会に紹介したい。


推しなので刘隽が長くなってしまった…
たぶん続きます。

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