少年漫画

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少年漫画(しょうねんまんが)は、日本における少年小学校高学年から高校生まで)を対象読者と想定した漫画。厳密には、小学校低学年以下を読者に想定した幼年漫画と分類される。

概要[編集]

具体的には少年漫画雑誌(少年雑誌)に掲載されていることで分類される。1960年代中頃までは男子小中学生向けの漫画であったが、1960年代末からは読者層を大きく広げ、高校生以上の高い年齢層向けの作品や女性を視野に入れた作品も多くなった。ストーリーは基本的に戦いやパワーゲームが好まれ、冒険やアクションなど、主人公の戦いと成長をテーマにしたものが多い。他にスポーツを題材にしたもの、ホビーを題材にしたもの(メディアミックス化した商業戦略的な作品も多い)、乗り物やロボット、未来的な発明道具などメカが多数登場するSF作品も少年漫画に好まれる題材である。他にもギャグ漫画も定番となっている。一方、少女漫画では屋台骨といってもいい恋愛要素は、メインストーリーに付随されるおまけとしての見方が強かったが、1980年代以降、少年漫画においてもラブコメディが定番化するようになった。『ONE PIECE』が歴代漫画売上日本一を記録するなど、少年漫画は漫画界において最も発行部数が大きい分野であるが故に批判対象になることも多い。1968年永井豪の『ハレンチ学園』がヒットしてから少年漫画でも性描写が増加し、過激化した暴力表現とともに社会問題になった。また1980年代には、『北斗の拳』に代表される格闘漫画の流行で暴力表現が増加し、これも社会問題となった。

絵柄は、白と黒のコントラストが強く、描線の力強さ、物の重圧感や立体感、人物の俊敏な動き、背景の奥行きを強調した、少年の理想を追求したものが多い。激しいアクションのシーンではコマを斜めに割り、効果線やオノマトペを多様し、インパクトのために見開きや1ページ1コマの表現を使ったりもする。心理描写などの少女漫画と同様の技法も使うが、少女漫画と比較すると、柄トーンや点描の使用頻度が少なく、会話や共感や心理描写はおまけにとどめ、人物の動き、戦いの臨場感、お色気シーン、社会問題の解決に重点を置いている。女性キャラクターは、お色気要員、応援役、準主人公に徹させるなど、少女漫画との住み分けが見られる。2000年代以降は、女性向けの少年漫画、萌え絵を取り入れた少年漫画、日常のみを題材にした少年漫画も増えた。少女漫画、青年漫画(特に青年漫画)との境界線は曖昧になってきている。 雑誌によっては作家をデビューさせる漫画賞をストーリー部門とギャグ部門に分けているが、デビュー後はどちら出身でもアクション、ラブコメディを描くことがある。 商業漫画はアンケート葉書の結果を意識した展開が重視される。

主な少年漫画雑誌[編集]

関連項目[編集]