望み (雫井脩介の小説)
望み | ||
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著者 | 雫井脩介 | |
発行日 | 2016年9月5日 | |
発行元 | KADOKAWA | |
ジャンル |
長編小説 ミステリー サスペンス | |
国 |
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言語 | 日本語 | |
形態 | 四六判上製 | |
ページ数 | 352 | |
公式サイト | promo.kadokawa.co.jp/nozomi/ | |
コード |
ISBN 978-4-04-103988-5 ISBN 978-4-04-108209-6(文庫判) | |
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『望み』(のぞみ)は、雫井脩介の長編小説。電子小説誌『文芸カドカワ』(KADOKAWA)2016年1月号から7月号に連載、2016年9月5日にKADOKAWAから刊行された[1]。思春期の息子の遊び仲間が遺体で発見され、事件に関わり行方不明となった息子を巡って「加害者か、それとも被害者か」と葛藤する夫妻の心理を描き、親子関係や家族の形に焦点を当てた社会派ミステリー[2][3]。第七回山田風太郎賞候補作[4]、「週刊文春ミステリーベスト10」2016年国内部門第9位[5]。
堤幸彦監督により堤真一主演、石田ゆり子共演で映画化され[6]、2020年10月9日に公開された[7][8]。
執筆背景[編集]
雫井の以前の作品に家族が多く登場することから、次は「家族を扱ったもので」との編集担当者からの要望を受けて、それまでストックしていたアイデアの中から本作を構想。少年犯罪に見られるグループ内のトラブルから殺人事件へ発展するケースで、事件報道を見てもグループ内の人間関係や事件に至る経緯が漠然として捉えにくいことから、「事件の関係家族、特に親は、どういう心境で報に接しているのだろう」「自分の子供が被害者なのか加害者なのかも分からなかったりするかもしれない」と、そこを掘り下げることで意外に深いテーマとなるかもしれないとして本作執筆に至った[2]。
あらすじ[編集]
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埼玉県戸沢市にて建築デザインの仕事をしている石川一登と校正の仕事をしている妻・貴代美は、長男の規士と長女の雅とともに何不自由なく幸せな生活を送っていた。ただ、息子の規士は高校生になってからというもの無断外泊が頻繁となっていたが、一登と貴代美は特に注意を払ってはいなかった。
夏休みを迎えたある週末、いつものように無断外泊をしていた規士が翌日になっても自宅に戻らない。連絡をしようにもまったくその手段が通じない状況になった。そんな最中に、息子の友人が複数人の何者かに殺害されたとのニュースが流れ、一登と貴代美は不安を隠そうとしない。逃走している2人の中に息子がいるとすれば、果たして息子は殺人者なのか、それとももう1人の被害者なのか。息子の無実を信じたい父の一登と、たとえ殺人者であろうとも生きて罪を償ってほしいと願う母の貴代美の思いが交錯する。
登場人物[編集]
- 石川一登(いしかわ かずと)
- 建築デザインの仕事をしている一家の主。殺人容疑がかけられて逃走している息子の無実を信じている。
- 石川貴代美(いしかわ きよみ)
- 一登の妻で校正の仕事をしている。たとえ息子が殺人者であろうと生きて罪を償ってほしいと願っている。
- 石川規士(いしかわ ただし)
- 一登と貴代美の息子で高校1年生。夏休みの週末に行方不明となり、友人を殺害した容疑がかけられ逃亡している。
- 石川雅(いしかわ みやび)
- 一登と貴代美の娘で中学3年生。
書誌情報[編集]
- 単行本
-
- 望み(2016年9月5日発売、KADOKAWA、ISBN 978-4-04-103988-5)
- 文庫本
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- 望み(2019年4月24日発売、角川文庫、ISBN 978-4-04-108209-6)
映画[編集]
望み | |
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監督 | 堤幸彦 |
脚本 | 奥寺佐渡子 |
原作 | 雫井脩介 |
製作 |
二宮直彦 天馬少京 千綿英久 内山雅博 |
出演者 |
堤真一 石田ゆり子 岡田健史 清原果耶 加藤雅也 市毛良枝 松田翔太 竜雷太 |
音楽 | 山内達哉 |
主題歌 | 森山直太朗『落日』 |
撮影 | 相馬大輔 |
編集 | 洲﨑千恵子 |
制作会社 |
角川大映スタジオ オフィスクレッシェンド |
製作会社 | 「望み」製作委員会 |
配給 | KADOKAWA |
公開 |
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上映時間 | 108分 |
製作国 |
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言語 | 日本語 |
堤幸彦監督、堤真一主演および石田ゆり子共演で実写映画化され[6]、2020年10月9日に公開された[8]。初日舞台挨拶がTOHOシネマズ六本木ヒルズにて実施された[9][10]。
キャスト[編集]
- 石川一登:堤真一
- 石川貴代美:石田ゆり子[6]
- 石川規士:岡田健史[7]
- 石川雅:清原果耶[7]
- 三浦貴大
- 野田弘美:早織
- 西尾まり
- 平原テツ
- 渡辺哲
- 寺沼俊嗣:加藤雅也[7]
- 織田扶美子:市毛良枝[7]
- 内藤重彦:松田翔太[7]
- 高山毅:竜雷太[7]
- 飯塚杏奈:松風理咲[11]
スタッフ[編集]
- 原作:雫井脩介『望み』(角川文庫刊)
- 監督:堤幸彦
- 脚本:奥寺佐渡子
- 音楽:山内達哉
- 主題歌:森山直太朗『落日』 (UNIVERSAL MUSIC)[12]
- 製作:堀内大示、楮本昌裕、松木圭市、鈴木一夫、飯田雅裕、五十嵐淳之
- 企画:水上繁雄
- プロデューサー:二宮直彦、天馬少京、千綿英久、内山雅博
- 音楽プロデューサー:茂木英興
- 撮影:相馬大輔
- 美術:磯見俊裕
- 照明:佐藤浩太
- 録音:鴇田満男
- 編集:洲﨑千恵子
- VFXスーパーバイザー:岩崎朋之
- 記録:井手希美
- 装飾:前田亮
- 衣装:宮本まさ江
- ヘアメイク:市川温子、岡野瑞恵
- キャスティング:新江佳子
- 助監督:日高貴士
- 制作担当:篠宮隆浩
- 配給:KADOKAWA
- 制作プロダクション:角川大映スタジオ、オフィスクレッシェンド
- 製作:「望み」製作委員会
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脚注[編集]
- ^ a b “『望み』雫井脩介特設サイト”. KADOKAWA. 2020年5月21日閲覧。
- ^ 古川諭香 (2019年5月16日). “「愛する息子は殺人犯かも…」絶望した家族が抱いた“切なすぎる望み”とは?”. ダヴィンチ・ニュース (KADOKAWA) 2020年8月16日閲覧。
- ^ “第七回 山田風太郎賞が決定”. 山田風太郎賞. KADOKAWA (2016年10月21日). 2020年8月16日閲覧。
- ^ “週刊文春ミステリーベスト10 2016年【国内部門】第1位は『罪の声』”. 文春オンライン. 文藝春秋 (2016年12月1日). 2020年8月16日閲覧。
- ^ a b c “堤真一&石田ゆり子、初共演で行方不明の息子案じる夫婦役 人気小説『望み』実写映画化”. ORICON NEWS (oricon ME). (2020年2月28日) 2020年5月21日閲覧。
- ^ a b c d e f g “岡田健史と清原果耶が堤真一、石田ゆり子と親子に、「望み」追加キャスト6人発表”. 映画ナタリー (株式会社ナターシャ). (2020年5月21日) 2020年5月21日閲覧。
- ^ a b “堤真一・石田ゆり子出演「望み」公開日決定!本予告映像・本ビジュアル解禁も”. ザテレビジョン (KADOKAWA). (2020年8月27日) 2020年8月27日閲覧。
- ^ “堤真一が「望み」撮影前の食事会回想、岡田健史は「親父とおふくろを見ている気持ち」”. 映画ナタリー. 2020年10月10日閲覧。
- ^ “堤真一「精神的に大変な撮影だった」 石田ゆり子&岡田健史と映画「望み」舞台あいさつ”. 時事ドットコム (2020年10月9日). 2020年10月10日閲覧。
- ^ 映画『望み』パンフレット
- ^ “堤真一×石田ゆり子「望み」の主題歌は森山直太朗、「心の機微を閉じ込めました」”. 映画ナタリー (株式会社ナターシャ). (2020年7月27日) 2020年7月27日閲覧。
外部リンク[編集]
- 小説
- 映画
- 映画『望み』公式サイト
- 映画『望み』 (@nozomimovie) - Twitter