新規治療機器・手術支援ロボット | FATS

新規治療機器・手術支援ロボット

手術支援ロボットiArmS®の開発

 iArmS®は手術時に医師の腕を支え、生理的に生じる手のふるえや疲れを軽減する手術支援ロボットです。内蔵したセンサーが「腕をおく」「腕を静止する」「腕を浮かせる」という動作を感知し、「Hold:術中の腕の固定」「Free:腕の移動」「Wait:周辺機器操作時の待機」の3動作をスイッチレス(自動)で切替、術者の直感的な操作を可能にします。医師が腕を動かしたい一にロボットアームが自由に追従し、かつ手術時にはしっかりと固定され医師の腕を支持します。また医療現場で求められる高い安全性と軽やかな操作性を実現するため、動作はモーターを使わず、重力バランスと医師の自発的な腕の動きによって行われます。2012年から信州大学、(株)デンソーと共同で開発を進め、医師、医学研究、工学研究を交えた医工連携活動の成果として製品化されました。

共同開発したiArms®






SDTロボ

 新しいがん治療法として、超音波と抗がん剤を組み合わせた音響力学的療法(Sonodynamic Therapy:SDT)を開発しています。
エピルビシンを内包したミセル製剤(NC-6300)を投与して薬剤を患部に集積させ、薬剤投与から24時間後に高密度集束超音波(High Intensity Focused Ultrasound:HIFU)を照射することによってがんを倒すことができます。
通常の薬剤単体、HIFU単体の治療と比べて低用量・低出力エネルギーのため、より安全な治療を実現できます。
2017年には東京医科大学で臨床研究を行い、切除不能難治がんの患者12名に対してSDTを施行し安全性を確認しました。
現在は治験実施に向けて準備を進めています。
本研究開発は、東京医科大学、興和(株)、東北大学、鳥取大学、(株)日立製作所、(株)デンソーとの共同研究で実施しました

臨床研究で利用したHIFU照射システム






治療を支援する手術ロボット

 先端工学外科学分野では、ロボット手術顕微鏡、ロボットベッド、蛍光計測、レーザ治療一体型ロボットシステム、機械だし看護師ロボット等、強固な医工連携体制の元、先進的な治療ロボティクス研究を進めています。胸腔鏡手術支援デバイスは、肋骨により手術器具を挿入する孔の位置が制限されている問題を解決し、仮想孔の概念によって任意の場所に手術器具を挿入することができます。操作領域の拡大や患者・石の負担軽減を目指しています。膀胱腫瘍切除術用手術デバイスは、2本の細径屈曲鉗子と内視鏡を直径9mmの円筒内に納めた手術デバイスです。経尿道的に双腕での腫瘍切除を行い、確実ながんの摘出を実現します。

膀胱腫瘍切除術用手術デバイス






人工知能を用いた情報基盤システム

 患者の診療に関する医療情報は、電子カルテだけではなく、手術情報、バイタルデータ、リハビリ情報などが各部門に散在しています。そこで、我々は電子カルテシステムをはじめとする医療情報データ、およびインテリジェント手術室やスマート治療室で収集された医療機器データを分析するための情報基盤システムを開発しています。さらに、それらの情報から人工知能を用いて、神経膠腫患者の生存予後の予測や機能予後の予測、術中の危険予測、手術効率向上のアドバイスを術中に迅速に行うための臨床情報解析システムを開発しています。本研究開発が実現することで、“未来予測手術“が具現化するといえます。本研究開発は(株)日立製作所、早稲田大学、はこだて未来大学との共同研究によって実施しました。

情報基盤システムプロジェクトのコンポーネント図