北大阪急行電鉄南北線

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北大阪急行電鉄 南北線・南北線延伸線
南北線を走行する8000形(2018年4月8日)
南北線を走行する8000形(2018年4月8日)
基本情報
日本の旗 日本
所在地 大阪府吹田市豊中市箕面市
起点 江坂駅
終点 箕面萱野駅
駅数 6駅
路線記号  M 
開業 1970年昭和45年)2月24日
延伸線開業 2024年令和6年)3月23日
所有者 北大阪急行電鉄
運営者 北大阪急行電鉄
車両基地 桃山台車庫
使用車両 北大阪急行電鉄#車両の節を参照
路線諸元
路線距離 8.4 km
軌間 1,435 mm標準軌[1]
線路数 複線
電化方式 直流750 V 第三軌条方式
最大勾配 35 [1]
最小曲線半径 197.5 m[1]
閉塞方式 自動閉塞式
保安装置 WS-ATC
最高速度 70 km/h
路線図
テンプレートを表示
停車場・施設・接続路線
 南北線・南北線延伸線 
hKBHFa
8.4 M06 箕面萱野駅
htSTRa
tBHF
7.3 M07 箕面船場阪大前駅
tSTR
南北線延伸線
HUBlg
5.9 M08 千里中央駅
tKRZh
大阪モノレール本線
tSTR
南北線
etABZg+l extSTReq
会場線
tSKRZ-A
中国自動車道
tSTRe
BHF
3.9 M09 桃山台駅
KDSTaq TUNNEL1q ABZgr
桃山台車庫
BHF
1.9 M10 緑地公園駅
hSKRZ-Aa
名神高速道路
hBHF
0.0 M11 江坂駅
hSTR
↓地下鉄:御堂筋線
LSTR
tKHSTe
M30 中百舌鳥駅
 会場線 
↑中国自動車道
etABZq+r tKBHFeq
千里中央駅 (II)
RA extSTRe
←南北線→
RA exBHF
千里中央駅 (I)
SKRZ-Aoq xKRZu eHSTq
阪急千里線 万国博西口駅
RA exKBHFe
万国博中央口駅

※会場線廃止後に開業した路線・駅は省略

南北線(なんぼくせん)は、大阪府吹田市江坂駅から大阪府豊中市千里中央駅までを結ぶ北大阪急行電鉄鉄道路線である。また、その延伸区間として千里中央駅から大阪府箕面市箕面萱野駅までを結ぶ南北線延伸線(なんぼくせんえんしんせん)も存在するが、実質的には一つの路線と見なされているため、本項では後者も一括して述べる。

過去には、1970年(昭和45年)に吹田市で開催された日本万国博覧会(万博)開催期間中に限り会場へのアクセス路線として営業していた会場線東西線万博線とも呼ばれた)もあり、これについても述べる。

概要[編集]

1970年2月24日に大阪万博の会場アクセス路線として開業した。大阪府北部の北摂地域を走る路線の一つで、千里中央駅から桃山台駅にかけての沿線に広がる千里ニュータウン大阪市中心部を結んでおり、起点の江坂駅から大阪市高速電気軌道 (Osaka Metro)[注釈 1]御堂筋線(江坂駅 - 中百舌鳥駅間)と相互直通運転を行い、新幹線乗り換え駅の新大阪駅や大阪市中心部の梅田駅難波駅天王寺駅へ乗り換えなしでアクセスできる。事実上、御堂筋線の延長線として建設されており、ダイヤも御堂筋線と一体化していることから、別会社ではあるものの御堂筋線の延長部として認識されている面がある。

旅客案内において正式な路線名称で案内されることはほとんどなく、一般的に「北大阪急行線」あるいは「北急線」の呼称が使われている。上り(南)方面の列車については、行先では「新大阪・梅田・なんば・天王寺方面なかもず行き」のように案内されている。南北線延伸線開業前は、駅の案内では江坂駅を除いて上り(南)方面の列車を「大阪市内行」としていた。

駅ナンバリングを構成する路線記号はMで、番号は相互直通運転している御堂筋線と一体で振られている(御堂筋線と接続する江坂駅を11とし、そこから10, 09, と番号を減らす方式[注釈 2])。南北線のサインシステムでは御堂筋線と同じ赤地に白抜き( M )で統一されているが、発車標やOsaka Metroの案内では江坂駅を除いて白地に赤文字( M )で描かれている。

千里丘陵と呼ばれる丘陵地帯を南北に走り、全線が立体交差化されている。南北線の区間では千里中央駅付近を除いて新御堂筋の上下車線の間を通っている。2024年3月23日に千里中央駅から箕面萱野駅までが南北線延伸線として延伸開業したが(「延伸事業」を参照)[2]、この区間は新御堂筋の東側を通っている。

車両については「北大阪急行電鉄#車両」を参照。

万博開催期間中の大量輸送により建設費を全て償還できたことから、南北線である江坂駅 - 千里中央駅間については初乗り運賃がJRや在阪の大手私鉄と比べて低廉に抑えられている。一方、南北線延伸線の区間である箕面船場阪大前駅または箕面萱野駅を発着とする区間の運賃には加算運賃として60円が上乗せされる(北大阪急行電鉄#運賃も参照)。

路線データ[編集]

  • 路線距離(営業キロ):8.4 km
    • 江坂駅 - 千里中央駅間 5.9 km(南北線)[3]
    • 千里中央駅 - 箕面萱野駅間 2.5 km(南北線延伸線)
  • 軌間:1435 mm[1]
  • 駅数:6駅(起終点駅含む)
  • 複線区間:全線
  • 電化区間:全線電化(直流750 V・第三軌条方式
  • 閉塞方式:自動閉塞式
  • 最高速度:70 km/h
  • 最大勾配:35 [1]
  • 最小曲線半径:197.5 m[1]
  • 車両基地:桃山台車庫(緑地公園駅 - 桃山台駅間の西側に所在)
  • 編成両数:10両(1995年 - )
    • 2023年現在、日本の第三軌条路線で7両編成以上で運行されているのは当路線と直通先のOsaka Metro御堂筋線だけである。

南北線は全線が鉄道事業法に基づく鉄道路線、南北線延伸線は千里中央駅 - 箕面船場阪大前駅間が鉄道事業法に基づく鉄道路線、箕面船場阪大前駅 - 箕面萱野駅間が軌道法に基づく軌道路線である。

運行形態[編集]

全列車が江坂駅からOsaka Metro御堂筋線相互直通運転しており、ダイヤは御堂筋線と一体化されている。線内で折り返す列車は存在しない。原則として江坂駅 - 箕面萱野駅間を通しで運行しており、途中駅を発着する列車は初発の千里中央発中百舌鳥行きの1本のみである。また御堂筋線に直通する列車はほとんどが中百舌鳥駅発着であり、中百舌鳥駅発着ではないのは初発の天王寺箕面萱野行きと平日朝の新金岡発箕面萱野行き1本、箕面萱野発天王寺行き(朝に1本、平日夜間に2本)のみである。

列車の運転間隔は「Osaka Metro御堂筋線#運行形態」を参照。

かつては平日朝ラッシュ後に千里中央発新金岡行き(中百舌鳥検車場へ入庫を兼ねた運転)1本、我孫子駅始発の千里中央行きが数本設定されていたが、2015年(平成27年)3月のダイヤ改正で廃止された。また、朝ラッシュ時には新金岡発千里中央行きや2015年3月ダイヤ改正以降は休日ダイヤのみ、夕方に天王寺発千里中央行きが1本存在していたが、これらも2018年3月のダイヤ改正で廃止となった。終電には唯一の線内完結列車であった千里中央発江坂行き(江坂駅で同駅発中百舌鳥行き終電に接続)が設定されていたが、2020年10月31日のダイヤ改正で千里中央発中百舌鳥行きに統合されたため、線内完結列車は消滅した[4]。この列車はOsaka Metroの車両が充当され、江坂駅到着後大国町駅まで回送されていた。同改正で新金岡発千里中央行きが再度設定された。

乗り入れ先の御堂筋線とともに、平日は6号車に女性専用車両を終日設定している。

編成図
←中百舌鳥・江坂 箕面萱野→
1号車 2号車 3号車 4号車 5号車 6号車 7号車 8号車 9号車 10号車

利用状況[編集]

輸送実績[編集]

南北線の輸送実績を下表に記す[5]

表中、輸送人員の単位は万人。輸送人員は年度での値。表中、最高値を赤色で、最高値を記録した年度以降の最低値を青色で、最高値を記録した年度以前の最低値を緑色で表記している。

年度別輸送実績
年度 輸送実績(乗車人員):万人/年度 特記事項
通勤定期 通学定期 定期外 合計
1985年(昭和60年) 3409.4 ←←←← 2305.8 5715.2
1986年(昭和61年) 2924.4 628.2 2370.5 5923.1
1987年(昭和62年)
1988年(昭和63年)
1989年(平成元年) 3839.9 ←←←← 2400.8 6240.7
1990年(平成2年) 3842.3 ←←←← 2590.7 6433.0
1991年(平成3年) 3921.5 ←←←← 2758.3 6679.8
1992年(平成4年) 3967.8 ←←←← 2813.7 6781.5
1993年(平成5年) 3923.9 ←←←← 2838.5 6762.4
1994年(平成6年) 3849.4 ←←←← 2846.4 6695.8
1995年(平成7年) 3856.0 ←←←← 2903.8 6759.8
1996年(平成8年) 3750.4 ←←←← 2917.4 6667.8
1997年(平成9年) 3706.1 ←←←← 2842.2 6548.3
1998年(平成10年) 3076.9 525.5 2751.2 6353.6
1999年(平成11年) 3493.1 ←←←← 2706.4 6199.5
2000年(平成12年) 3381.9 ←←←← 2671.8 6053.7
2001年(平成13年) 3316.3 ←←←← 2623.9 5940.2
2002年(平成14年) 3225.4 ←←←← 2597.9 5823.3
2003年(平成15年) 3195.3 ←←←← 2534.3 5729.6
2004年(平成16年) 2707.2 462.7 2455.2 5625.1
2005年(平成17年) 3166.6 ←←←← 2461.2 5627.8
2006年(平成18年) 3070.9 ←←←← 2549.3 5620.2
2007年(平成19年) 3046.8 ←←←← 2594.6 5641.4
2008年(平成20年) 3025.0 ←←←← 2630.2 5655.2
2009年(平成21年) 2499.6 428.0 2572.5 5500.1
2010年(平成22年) 2862.3 ←←←← 2596.3 5458.6
2011年(平成23年)
2012年(平成24年) 2496.0 431.2 2656.4 5583.6
2013年(平成25年) 2577.3 435.2 2707.3 5719.8
2014年(平成26年) 2610.3 425.7 2667.7 5703.7
2015年(平成27年) 2656.0 443.0 2788.5 5887.5
2016年(平成28年) 2691.2 450.7 2799.4 5941.3
2017年(平成29年) 2751.3 458.7 2706.7 5916.7
2018年(平成30年) 2786.8 469.9 2681.4 5938.1
2019年(令和元年) 2883.6 472.3 2575.3 5931.2
2020年(令和2年) 2453.7 313.5 1754.0 4521.2

収入実績[編集]

南北線の収入実績を下表に記す。

  • 表中、収入の単位は千円。数値は年度での値。表中、最高値を赤色で、最高値を記録した年度以降の最低値を青色で、最高値を記録した年度以前の最低値を緑色で表記している。
年度別収入実績
年度 旅客運賃収入:千円/年度 運輸雑収
千円/年度
総合計
千円/年度
通勤定期 通学定期 定期外 手小荷物 合計
1985年(昭和60年) ←←←←
1986年(昭和61年) 1,272,019 ←←←← 1,561,105 0 2,833,124 219,296 3,052,420
1987年(昭和62年)
1988年(昭和63年)
1989年(平成元年)
1990年(平成2年)
1991年(平成3年)
1992年(平成4年)
1993年(平成5年)
1994年(平成6年)
1995年(平成7年)
1996年(平成8年)
1997年(平成9年)
1998年(平成10年) 1,896,100 201,113 2,867,255 0 4,964,468 354,850 5,319,318
1999年(平成11年)
2000年(平成12年)
2001年(平成13年)
2002年(平成14年)
2003年(平成15年)
2004年(平成16年) 1,671,372 174,716 2,577,749 0 4,423,837 387,612 4,811,449
2005年(平成17年)
2006年(平成18年)

歴史[編集]

千里丘陵で開催された日本万国博覧会の会場アクセスのため1970年に江坂駅 - 万国博中央口駅間が開業。万博会場最寄駅の万国博中央口駅は、現在の大阪モノレール万博記念公園駅のすぐ北側の中国自動車道上の位置[注釈 3]にあった。

開業当時の千里中央駅は現在位置ではなく、桃山台駅 - 現・千里中央駅間で分岐していた会場線上に設けられた仮設駅(現在の千里阪急ホテル前付近)で営業していた。万博終了後、会場線の分岐点 - 万国博中央口駅間が廃止され、現在の千里中央駅が正式開業した。

会場線の跡地には中国自動車道上り線が通っている。中国自動車道を暫定的に下り線用の敷地に対面2車線で開通させ、上り線用の敷地を借用していた。

年表[編集]

延伸事業[編集]

 
上:箕面萱野駅予定地
下:箕面船場阪大前駅予定地
(2016年10月)

長らく千里中央駅が終点であったが、さらに北へ、箕面市萱野までの約2.5kmを延伸する計画が立てられた[19][20]。先行して開業した千里中央までの区間と同様、国道423号新御堂筋)に沿うコースに敷設する計画であった。計画の実現により、延伸先の終点に箕面萱野駅、途中の船場団地付近に箕面船場阪大前駅の2駅が新設されることになった。なお、箕面萱野駅は阪急電鉄箕面線箕面駅とは約1.8km離れた場所に設けられる。2018年(平成30年)6月5日、箕面市が仮称を新箕面駅としていた延伸区間の終点駅の候補駅名を「箕面萱野駅」、箕面船場駅としていた中間駅の候補駅名を「箕面船場阪大前駅」とすると発表した[21][22]。営業主体の北大阪急行電鉄が国へ手続きを行い、同年7月24日にこの名称で正式決定した[18]

千里中央 - 萱野間の住民は、阪急バスが運行するバスの利用が現在主流であり、大幅な利便性の向上が期待されている。なお、南北線延伸線の開業に合わせて、阪急バスの路線も一部が千里中央から箕面萱野駅を発着とする、ないし経由となるなど大幅な再編が行われた。

沿革[編集]

1989年(平成元年)に運輸政策審議会「大阪圏における高速鉄道を中心とする交通網の整備に関する基本計画について」(答申第10号)において、「北大阪急行南北線の延伸線 千里中央 - 箕面中部間」が、「2005年(平成17年)までに整備に着手することが適当である区間」として位置づけられた。2004年(平成16年)10月には国土交通省近畿運輸局長の諮問機関・近畿地方交通審議会がとりまとめた「近畿圏における望ましい交通のあり方」(答申第8号)で、「京阪神圏において、中長期的に望まれる鉄道ネットワークを構成する新たな路線」の一つに位置づけられた。

不確定要素が多く、国の答申に位置づけられてから約20年間具体的な話が進んでいなかったが、2008年(平成20年)8月24日投開票の箕面市長選挙において当選した倉田哲郎が市長として初登庁した際、「北大阪急行線を箕面まで延伸するため、1期目の間に事業化のめどを付けたい」「約20年前に計画ができてから、具体的に何も進んでいない。かけ声ばかりは嫌なので、国へ強く働きかけていきたい」「(初仕事として)明日さっそく国(国土交通省)に要望に行きたい」[23] と話すなど、意欲を示した。倉田は箕面市長就任後、新たに箕面市に「地域創造部北大阪鉄道延伸課」を発足させるほか、建設に備えた基金の積立を開始した。また、市と北大阪急行電鉄・大阪府・阪急電鉄の4者で、事業化に向けた協力を定める覚書を締結し、上記4者に国や学識経験者なども加えた「北大阪急行線延伸検討委員会」を組織して2年にわたり整備計画案の検討をおこなった[24]

2010年(平成22年)1月15日に「北大阪急行線延伸検討委員会」は、2018年の開通をめざす整備計画案を策定・公表した。その中では、終日8分間隔運転・初乗り運賃140 - 150円の前提で、一日あたりの需要を、中間駅の箕面船場(当時の仮称。後に箕面船場阪大前と駅名決定)まで約12,500人、終点の新箕面(当時の仮称。後に箕面萱野と駅名決定)まで約39,500人が想定されるとした[25]

北大阪急行電鉄と阪急電鉄は同委員会のメンバーであったが、2010年時点では、いずれも本件について会社としては公式の発表をおこなっていなかった。鉄道事業者側は建設の負担について慎重な姿勢を崩しておらず、親会社の阪急電鉄は「隣接する当社の千里線箕面線への影響と対策が示されないと、参画の意思決定をできる段階にはならない」というスタンスであると報じられていた[26]

当時の大阪府知事橋下徹は、2010年2月22日の箕面市議との意見交換会で「(市議会で)大阪(伊丹)空港廃止を決議してくれれば、北大阪急行の延伸は全力で支える」と述べた[27]

この間、箕面市は国土交通省との交渉を続けており、2010年末頃、補助率の高い社会資本整備総合交付金を延伸事業に導入することが認められた。これを受け、2012年(平成24年)3月には箕面市・北大阪急行電鉄・大阪府・阪急電鉄の4者で「北大阪急行線の延伸に係る事業調査に関する覚書」を締結し、社会資本整備総合交付金を活用して共同で本格的な事業調査を開始することとなった[28]。2013年12月、箕面市長倉田哲郎との間で延伸事業化の協議が進んでいることを当時の大阪府知事松井一郎が公表した[29]

2014年(平成26年)3月31日には、延伸に向けた正式な事業化について大阪府・箕面市・北大阪急行電鉄・阪急電鉄の4者で基本的合意を締結し[30]、開業目標を2020年度(この時点)とする北大阪急行線の延伸が実現へ向けて動き出した[24]。この延伸の準備で所要車両数を増加させる必要もあり、北大阪急行電鉄では2014年より9000形を投入している。

2015年(平成27年)12月1日、国土交通省の運輸審議会は北大阪急行電鉄から出されていた延伸区間の軌道特許申請につき、「軌道法上問題となる点は認められないこと、利害関係人の異議申し立てがなされ又は予想されるような案件ではないこと」を確認したと発表し、事業化に近づいたと報じられた[31][32]

同年12月25日、大阪府箕面市方面、新箕面(当時の仮称。後の箕面萱野)駅までの延伸計画について、国土交通大臣から千里中央 - 箕面船場(当時の仮称。後の箕面船場阪大前)間の第一種鉄道事業の許可と箕面船場(後の箕面船場阪大前) - 新箕面(後の箕面萱野)間の軌道事業の特許を受け[33][34]、2017年(平成29年)1月19日に着工した[35][19]

箕面船場 - 新箕面間を軌道法による軌道としたのは、新御堂筋を通ることから一般国道423号の整備の名目として建設されるからである。

2018年(平成30年)6月5日、新設2駅の駅名案が発表され[21]、仮称を箕面船場駅としていた中間駅を「箕面船場阪大前駅」、新箕面駅としていた終点駅を「箕面萱野駅」に駅名案の通り決定した[18]

北大阪急行電鉄南北線延伸線開業記念列車出発式( 2024年3月20日)

2019年(令和元年)5月7日には、用地買収の遅れや工事中に見つかったコンクリート壁・土留壁の除去などによる工程見直しを理由に、開業時期を当初目標の2020年度から2023年(令和5年)度中へ延期すると発表された[36][37][38][39]。2022年(令和4年)8月25日、開業時期が2023年度末(令和5年度末)になることが発表された[40]。2023年(令和5年)8月23日、開業日が2024年(令和6年)3月23日になることが発表された[2]

その他[編集]

沿線開発については、箕面船場阪大前駅付近への誘致活動が行われていた国立循環器病研究センターは、当地には建設されないことになった。その後、箕面市と大阪大学は「関西スポーツ科学・ヘルスケア総合センター(仮称)構想」を公表し[41]、検討を進めている。

駅名標[編集]

以前の駅名標は親会社である阪急電鉄のそれに似た、ひらがな表示が大きいデザインのもの(ただし2000年代前半頃の阪急電鉄のものと同様にローマ字表記が全て大文字で、長音にはマクロンが添えられる)を使用していた。ひらがな表示が大きいのは、親会社の阪急電鉄と同様に「子供に分かりやすくするため」であった。

2024年3月23日の南北線延伸線開業に際してサインシステムとともに駅名標も一新され、マルーンをベースに御堂筋線のラインカラーであるをアクセントに取り入れた、漢字表示が大きくKITAKYUロゴが入った独自デザインのものに更新された[42]。また、これと同時に駅ナンバリングの表示が青地に白抜き( M )または白地に青文字( M )から、御堂筋線と同じ赤地に白抜き( M )に統一され、ローマ字表記も小文字混じりかつマクロン無しとなった。

なお、江坂駅はOsaka Metroの管轄駅のため対象外となっている。

駅一覧[編集]

営業中の区間[編集]

  • 箕面萱野駅 - 千里中央駅間は南北線延伸線、千里中央駅 - 江坂駅間は南北線。
  • 駅番号順に記述。正式には南北線は江坂駅、南北線延伸線は千里中央駅が起点。駅番号は相互直通運転する御堂筋線との通し番号となる。
  • 全駅大阪府内に所在。
路線名 駅番号 駅名 駅間キロ 営業キロ 接続路線 所在地
南北線延伸線 M06 箕面萱野駅 - 0.0   箕面市
M07 箕面船場阪大前駅 1.1 1.1  
M08 千里中央駅 1.4 2.5 大阪モノレール大阪モノレール線(本線) (15) 豊中市
南北線
M09 桃山台駅 2.0 4.5   吹田市
M10 緑地公園駅 2.0 6.5   豊中市
M11 江坂駅 1.9 8.4 大阪市高速電気軌道M 御堂筋線中百舌鳥駅まで直通運転) 吹田市

豊中市と吹田市を交互に行き交うのは両市の市境の屈曲のため[注釈 4]。北大阪急行電鉄南北線の線路はほぼ直線的である。

廃止区間(会場線)[編集]

(分岐点) - 千里中央駅 - 万国博中央口駅

  • 路線免許は閉幕日の翌々日を以って失効するとされており、万博輸送のためだけに存在した路線であった。
  • 線路跡地は中国自動車道として利用されている(「歴史」節を参照)。
  • 当時の千里中央駅は仮設。分岐点は桃山台駅 - 千里中央駅間の千里中央駅に進入するトンネルの途中にあった。現在でも分岐していく会場線跡のトンネルを車窓から見ることができる。

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 2018年3月までは大阪市営地下鉄
  2. ^ かつては大阪港トランスポートシステム(OTS)のテクノポート線とニュートラムテクノポート線も同様の例であったが、2005年にそれぞれOsaka Metro中央線南港ポートタウン線に編入されている。
  3. ^ 中国吹田ICに挟まれた上下本線道路部分。
  4. ^ もともとは豊中市の千里中央と吹田市の桃山台が旧三島郡新田村、豊中市の緑地公園は旧豊能郡小曽根村、吹田市の江坂が旧豊島郡榎阪村→豊能郡豊津村だった。

出典[編集]

  1. ^ a b c d e f 北大阪急行50年史、p.164。
  2. ^ a b c 北大阪急行電鉄南北線延伸線(千里中央駅〜箕面萱野駅)の開業日が2024年(令和6年)3月23日(土)に決定!”. 箕面市/北大阪急行電鉄 (2023年8月23日). 2024年3月24日閲覧。
  3. ^ 北大阪急行50年史、p.159。
  4. ^ ダイヤ改正の実施について』(PDF)(プレスリリース)北大阪急行電鉄、2020年9月30日。 オリジナルの2022年3月10日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20220310135322/https://www.kita-kyu.co.jp/upload/155.pdf2022年3月21日閲覧 
  5. ^ 北大阪急行電鉄 旅客輸送人員
  6. ^ a b c d 北大阪急行50年史、p.178。
  7. ^ a b 北大阪急行50年史、p.26。
  8. ^ a b c d 北大阪急行50年史、p.179。
  9. ^ 北大阪急行50年史、p.180。
  10. ^ 北大阪急行50年史、p.52。
  11. ^ a b 北大阪急行50年史、p.183。
  12. ^ 北大阪急行50年史、p.184。
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参考文献[編集]

  • 『北大阪急行50年史』北大阪急行電鉄、2018年4月。 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]