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帝国

登録日:2018/10/18 Thu 12:32:57
更新日:2024/03/12 Tue 22:58:50
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帝国とは、empireの訳語。
主に2種類の意味がある。


【概要】

単にその国の元首が皇帝を名乗っているだけの場合、その国の元首が皇帝という意味で、この場合は「王国」「公国」「大公国」などと意味合い的には何も変わりはない。

一方、「国の形態」として「帝国」を名乗る/呼称される場合、その国が「共和国」や「民主国」などと名乗り、政治システム上もそうであっても、「本来の国の領域を遥かに超えたところまでその影響力を発揮し覇権を唱える強大国」として複数の従属国があったりすると「帝国」と呼ばれることがある。
特に色々な人種や民族が混ざっている地域では、地域間の揉め事を調停し、上から押さえつける支配者があったほうが安定したりする。
要は「複数の地域を、主に武力で支配する広大な征服国家」というのが大まかな定義だが、具体的にどこからどこまでが帝国になるのかは研究者によっても意見が分かれるため、ハッキリとした定義はない。

なお、中国の歴史上の王朝の多くは皇帝を戴いているが、基本的に前者の意味で「帝国」と呼ばれることはない。





【フィクションにおける帝国】

フィクション上の帝国は大きな意味を持つ存在である。
主に世界征服を企む悪役として登場し、「王国」「共和国」「同盟」なんかと対立することになる。「悪の帝国」「悪の帝王」はあちこちで目にするが、「悪の共和国」はそうでもないだろう。

というのも、基本的に悪役には「帝国」と名乗らせておけば大体の人は納得してくれる大変便利な記号だからである。

大抵はドイツ式帝国であることが多く、キャラクターの名前もドイツ風であることが大多数。日本式帝国は「サクラ大戦」などのようにそれそのものを強調する世界観でないとあまり登場しない。



<創作と帝国>

というわけで、創作の観点において帝国はそれ単体で勝手にイメージを持たせる事ができ、多くの説明を省ける利点がある。

  • 「強大な権力が一人の支配者に集中する」
皇帝は大抵なんらかの野望を抱いている事が普通なので、それを阻止するという形を作りやすい。
責任所在が分かりやすく、悪の皇帝の打倒で事態が解決しやすい。
政治劇を主眼に置いた作品はともかく、そうでないテーマの場合は区切りとして重要で、その点、帝国があれば「とりあえずこいつが悪い」という事で政治劇を省略できる。
後述するが、この観点では皇帝以外も利用しやすい。

  • 「武力で周囲を併合する巨大軍事国家である」
物語開始前から既にいくつもの国を侵略した…というバックボーンを持たせる等もできるし、現在進行形の戦争中であっても詳しい理由の説明を省く事ができる。
前述した巨悪のイメージを補強し、一個人や一国家ではとても対抗できない事を示唆できる。逆に帝国を劇中で破滅させたり掌握したりする事でより巨大な力を印象付ける手法もある。
必然的に長期戦や苦戦が予想されるのでじっくりと腰を据えた描写がしやすい。


  • 「抵抗勢力を生みやすい」
帝国は支配域の巨大化し区切りがついた段階で、元首が皇帝を名乗り、上から抑えつける統治がイメージしやすく、侵略、奴隷、圧政、暴政などの設定を組み込みやすい。
………という事はそれに反発する抵抗勢力の筋書きが作りやすく、他国の同盟による協調、奴隷解放、独立運動、異種族の反乱などなど、様々な思惑を絡ませられる。



こうした材料から、帝国はフィクションの悪役にうってつけなのだ。




<帝国の統治>

帝国のイメージといえば恐怖政治がつきもの。
しかし上記の通り、「帝国」という単語そのものには統治の状態は含まれない。
極端な話、言葉尻だけなら民主主義帝国だって存在しうる。
実権を他人が握っていたり、皇帝が選挙で選ばれたりしても帝国は帝国なのだ。むしろ現実の方が権力に乏しい名ばかり皇帝がいたり、一個人に権力集中してるくせに共和国名乗ってたりしてややこしい。

そんな帝国の統治の状態については、主に悪政と善政で分ける事ができる。


  • 善政
帝国臣民は文化レベルの高い生活を送り、皇帝への忠誠心も篤い豊かな超大国といった趣きで、国体維持を皇帝のカリスマに頼っているケースも多い。
配下は皇帝に心酔したり、こっそり反乱の野望を抱いていたりと悪政より個性豊かになりやすいが、一方で平穏な統治状態であるほど作中で皇帝が暗殺されたりクーデターが起こるのがさだめ。
このタイプは周辺国より民衆の生活の質が高く、技術水準も高い事が多いので一見平穏だが、帝国が武力併合によって成立する点では変わらず、乱世や外部の脅威の名目で侵略する事もあるし、臣民には手厚い保護を行う反面、新たに併合した国の民を奴隷として扱っているケースもある。

  • 悪政
民衆には重税を課す一方で国のお偉いさんは優雅な生活を送っているという定番タイプ。
「力こそ全ての実力主義」「優雅な貴族制度」などのプラスの側面が強調された場合、主人公サイドとして描かれる事もある。
しばしば味方サイドにレジスタンスが登場するのも特徴。
味方のレジスタンスは大抵貧弱で帝国に追い詰められる役どころが多いが、主人公が体制側の場合は妙に厄介な敵になる事もある。
恐怖政治と一体であり、帝国臣民も裏では不満を募らせていたり、キャラクターが現状を憂慮していたりする。
良きにせよ悪しきにせよ、個性の強いキャラクターなので印象には残りやすい。

それはさておき

帝国に「議会」や「元老院」がよく出てくるが、帝国がその巨体を維持するにはこれらは必要不可欠である。
フィクションならばフィクションらしく強大な皇帝でいてもらいたいものであるが、中にはサイボーグ化やクローン化であまねく統治する例もなくはないが人外の手腕を持っていたとしても、皇帝一人で巨大な国を治めるのは不可能である。
よって、親類や配下に領土を与えて間接的に統治し、地方行政官を赴任させ、さらに上位や下位に偉い人たちが集う組織を置いたりなどで集権をはかる必要があるためだ。

ここでピンときた人は多いだろう。

そう、帝国は「黒幕が別にいる」という設定もほとんど説明なく可能である。
皇帝より配下がやたらと粛清や圧政が大好きだったり、元老院が策謀を巡らしている…なんて設定もメジャーで、統治の実権をどのように描いても、帝国というイメージに揺るぎないのだ。これも創作における大きな利点である。







<帝国と共和国>

帝国と対を成す存在としてしばしば描かれるのが共和国。
帝国が侵略し、共和国は抵抗する存在であり、相対的に小国で同盟を組んだりする。

しかし共和国ってそもそも何さ…?

となると、これがまた極めて広範かつ曖昧である。

専制政治や元首個人に権力が集中する形から乗り換えた形態を標榜する事が多いのだが、
実際のところ議会や間接民主制など名目を掲げつつ中身は支配形態が継続されていたりすることもあって、
帝国と同じくフィクションの共和国は自ら名乗っていれば共和国というような感じな事が多い。(現実もさほど変わらないが)



そんなわけでフィクションの共和国は作者・読者間で共有できそうなイメージが少なく、
分かりやすい帝国と違って設定難易度が高い存在となっている。

悪役の国が打倒されて共和制になる事で、統治にテコ入れせずとも平和な国になった事を示せる利点があるのだが、
劇中の最初から共和国だった場合は…。

実際、帝国が「悪」でイメージされる事は多かろうと、共和国が「善」とイメージされる事はあまりない。
大抵は正義の一側面として描かれ、場合によってはスターウォーズに見られるようにあくまで当時の被害国に過ぎず、平和になると腐敗することもままある。

その意味では正しく帝国の対となる存在かもしれない。





【代表的な帝国】

以下に代表的な帝国の例を挙げる。
また「世界征服」の項で例示されている組織の中にも「帝国」が幾つか含まれている。そちらも併せて参照のこと。

<実在した帝国>

  • ヒッタイト帝国
かつてアナトリア半島*1の大部分を支配下に置いていたアナトリア人の古代帝国。
最盛期にはアナトリア半島のみならず、メソポタミアの一部やレバント*2にまで覇権を轟かせ、ファラオの治めるエジプト古代王朝とは領土を巡って幾度となく対立を繰り返していた。
特にシリアのオロンテス川一帯で起きたヒッタイト・エジプト間の戦争「カデシュの戦い」において、記録に残る中では世界最古となる講和条約が締結されたことで有名。
その後、滅亡に至るまでの過程については諸説あるが、内紛や周辺諸国からの攻撃に晒されて徐々に国力を消耗していき、歴史の表舞台から消えていったと考えられている。

覇権時代のヒッタイトの強さの秘密が、まだまだ青銅器が全盛を極めていた時期に優れた金属精錬技術により逸早く鉄製の武具の普及に成功したから*3というわかりやすい理由。
さらに最盛期が、かのツタンカーメンやラムセス2世といった世界史上でも著名なファラオの在位期間と重なることもあり、当時の中東を舞台とした作品では無視できぬ脅威として存在感を示すことも多い帝国である。
一方で、篠原千絵氏による大河少女漫画『天は赤い河のほとり』では、現代日本から古代オリエントへとタイムスリップしてしまった主人公が深く関わっていく国として描かれている。


ユリウス・カエサルに端を発し、アウグストゥスが成立させた巨大帝国。
共和制の時代から軍事国家であり、地中海周辺地域を全て傘下に収め「我らが海」と誇ったほど。
多くの文化圏を吸収しただけでなく、それら全てを道路で結びつけて1つにしたことで「全ての道はローマに通ず」ということわざの由来にもなった。
この通り「古代ローマ共和国」の頃から覇権国家であり、後者の意味での「帝国」であった。
その後帝政が始まり事実上前者の意味でも「帝国」となり、後に名実ともに「帝国」となった。

なお少なくとも帝政終盤までは、建前としては皇帝はあくまで代表に過ぎず、国の形態としては共和制であり第一の意味での「帝国」には厳密な意味では該当しない。
学者の中にもこの時期の政体を「元首政」と呼ぶ者がいることがいるくらい。
あくまで
  • 元老院の第一人者「プリンケプス」
  • ローマ軍の最高司令官「インペラトール」
  • 首都ローマ含む本国イタリア及び属州の行政長官「コンスル命令権」及び「プロコンスル命令権」の所持者
  • 身体の不可侵権、民会の開催権、及び全ての決定に対する拒否権*4「護民官特権」の所持者
  • 全てのローマ神の神官の長「最高神祇官」
といった役職及び権利を兼務しているだけである。
これらは全て共和制でも認められており、それらが全て1人の元に集中しているだけなのだ。
これだけの「正当な権利」が集中した人間をなんと呼ぶかは別にして。

ローマ帝国も末期になると帝国はボロボロになっていく。
そして建前としての元首政すら掲げることができなくなったローマ帝国は「専制君主制」へと移行する。
いわゆる「帝国」のイメージとしてはこちらのほうが近い。

歴史上「古代ローマ帝国」「西ローマ帝国」「東ローマ帝国(いわゆるビザンツ帝国)」がある(いずれも「ローマ帝国」と称した)。


  • 東ローマ帝国
古代ローマ帝国はあまりにも広大だったため統治不可能となり、紆余曲折を経て組織を東西に分裂させた*5
そのうち、西ローマ帝国は百年と持たずに滅亡したが、コンスタンティノポリスを首都とする東半分、
すなわち東ローマ帝国は395年の分裂から1453年の滅亡まで、千年以上存続した。古代ローマ時代を含めると二千年を超える

その東ローマ帝国だが、地中海圏の覇者という古代ローマ帝国の意識こそ持ってはいたものの、一時期を除いてギリシャの地方政権にすぎず、
古代ローマ帝国のような「世界帝国」とはいいがたい。
しかし、同時に「古代から連綿と続くローマ帝国」であることは紛れもない事実であり、東欧世界の中枢として、
そして全ヨーロッパ世界の一つの軸として、常に存在感を保ち続けた。

千年以上の治世は常に順風ではなく、幾度となく起きる政争や混乱といった内憂と、ペルシャ帝国、イスラム勢力、モンゴルなどの外患に悩まされ、
何度も衰退を繰り返し、首都だけが残ったことも何度もある。
しかしこの国は、そのたびに復興と発展を繰り返した。千年の間に「全盛期」や「黄金期」と呼ばれる時代が何度もあり、
それは最後の王朝であるパレオロゴス朝でも発生し(パレオロゴス朝ルネサンス)、15世紀にコンスタンティノープルが攻め落とされたあともイタリアに伝えられた程である。

それほどの寿命を保てたのはいくつもの要因があるが、「ローマの精神」に代表される不動の軸と、
様々な内憂外患に当たってもその都度政治システムを改革させていた柔軟さに帰せられる。
例えば、皇帝の座は「軍と元老院と市民の推戴」という儀式を経る必要があり、そのため、誰でも機会さえあれば皇帝になれた。
これは一面では帝位の簒奪を容易にさせ政情不安を引き起こしたものの、同時に政治改革や権力の新陳代謝を容易とし、
東ローマ帝国が衰退するたびに再興させる原動力ともなった。ユスティニアヌス一世やバシレイオス二世は農民出身の皇帝である。

一方、「古代から続くローマ帝国」という意識、大宗派「キリスト教正教会」の精神的な支柱、「テオドシウスの城壁」の物質的な守護は、
国内の意識を束ねる強固な軸となった。
さらに、帝都コンスタンティノープルが世界貿易の中枢の一つだったこと、学問や文化の研鑽と発展が続けられたことなどは、
東ローマ帝国が全ヨーロッパに影響力を及ぼし続ける要因となった。
滅亡後も帝国の文化は学者の亡命を経て西欧世界やイスラム世界に多大な影響を及ぼした。例えば、「ローマ法大全」は西欧法体系の礎となり、
間接的に日本の法体系にまで大きな影響を与えている。

領土こそ小さかったものの、その影響力は確かに「帝国」と評されるべきものであり、
強固なイデオロギーがあったという意味ではまさに「ローマ帝国」であった。

なお「ビザンツ帝国」とも呼ばれるが、これは十九世紀になって便宜上呼ばれたもの。
古代ローマ帝国とは違いすぎるという理由 だが、西欧は「神聖ローマ帝国」をわざわざ作るぐらいには東ローマ帝国のことを嫌っていたので、「フランク・ローマ皇帝がローマ皇帝位と帝国の継承者で、あれをローマと認めたくない」という思いが見え隠れしないこともない


  • 神聖ローマ帝国
東ローマ帝国の政情不安*6から「正統な皇帝の不在」という認識にあり、
なおかつ以前から東ローマ帝国と不和が続いていたローマ法王が、躍進著しく西ヨーロッパの支配者となったフランク王国のカール(独語読み)/シャルルマーニュ(仏語読み)大帝を「ローマ皇帝」に戴冠*7して成立した帝国。
形式的には「ローマ帝国の復興」という形をとるが、この時点でも実際には一部の支配地域が重なるだけの全く別の国である。
ただ「フランク・ローマ皇帝」とか呼称されるこの皇帝位はフランク王国が領土の分割相続で分裂し、一旦空位・断絶状態となる。
これを東フランク王(ドイツ王)兼イタリア王のオットー一世が復興する形でローマ皇帝に戴冠したのを、日本では「神聖ローマ帝国」の成立とする。
ちなみにこの「教皇による戴冠」という儀式はローマ帝国時代には無かったもの。
後の時代の教皇と皇帝の対立は、この辺の儀礼から来る上下関係も原因の一つに挙げられる。

オットー一世の支配地域や称号に西フランク王国、即ち今のフランスの大部分が無いあたりからも察せられるように、
神聖ローマ帝国はドイツ王の支配する領域で、カール大帝時代のフランク王国よりも狭かった。
しかし皇帝の称号には「ローマ帝国の後継者」「全キリスト教の守護者」という意味合いが重ねられ、唯一の称号とされていた。
……が、その地位の権力は徐々に弱体化してゆく。
そもそもいくら水路で結ばれていても東フランクの王がイタリアを支配するのは距離的に無理のある話。
名目上はローマ皇帝かつイタリア王でもイタリアに居ることが稀な皇帝の支配は有名無実化してゆく。
ここに「聖職者と教会の統率者は教皇と皇帝のどちらか」を巡る叙任権闘争を始めとする対教皇政策が絡み、皇帝に反感を持つ諸侯は教皇に味方して皇帝追い落としを図る。
そんなこんなで「ローマ皇帝であるからにはイタリアを支配しなければならない」と何度も遠征するものの果たせず、むしろこのイタリア政策は皇帝の力を浪費させた。

フリードリヒ2世*8「逆に考えるんだ。イタリアの有力者、そう例えばシチリア王を兼ねた皇帝がずっとイタリアにいればいい。……そう思っていた頃が自分にもありました」

その開明さから「世界の驚異」と称されたフリードリヒ2世もイタリアを抑える事が出来ず、しかも彼の死の数年後に王朝は断絶、海外の貴族が名目上の皇帝となり帝国国内にはほとんどいない「皇帝不在も同然」な大空位時代に突入。
この空白状態は諸侯の勃興と皇帝のさらなる弱体化を呼び、次第に北部のほんの一部を除いてイタリア支配はされなくなる。
トドメとして自国が戦場となった三十年戦争でドイツは荒れ果てるわ皇帝の権威は地に落ちるわ散々な目にあう。
この戦争の講和条約であるウェストファリア/ヴェストファーレン条約は「帝国の死亡証明書」とまで言われた。
北部でプロイセンが勢いを増す後期・末期には『いかなる点においても神聖でもなければローマ的でもなくそもそも帝国ですらなかった』と酷評された。
そして「皇帝」を名乗るナポレオンの脅威の前に神聖ローマ帝国は「解散」、オーストリア帝国が成立する。

神聖ローマ帝国は皇帝という存在を頂く国ではあるものの寄り合い所帯的であった。
そして中央集権化が出来なかった神聖ローマ帝国=ドイツは近代化に大きく遅れを取ることとなる。


  • マケドニア王国
アレクサンダー大王(アレクサンドロス3世)が支配した大帝国。
ユーラシア大陸のほとんどを支配するほどの支配力を持っていたが、アレクサンダー大王がマラリアに倒れて崩壊した。
ほぼ大王個人の能力とカリスマで維持されていたと言え、大王の死後、彼の後継者であった部下たちにはこの広大な版図を1つにまとめる力はなかった。
「最強の者が帝国を継承せよ」とかいう大王のはた迷惑な遺言もあり、ディアドコイ*9戦争を経て領土はマケドニア(アンティゴノス朝)、シリア(セレウコス朝)、エジプト(プトレマイオス朝)に分裂する。


中国史で初めて「皇帝」を擁立し、後の中華帝国の基礎を築いた王朝。詳細は始皇帝を参照。
皇帝という称号もさることながら、西周までの「諸侯に地方統治を一任する封建制」から、
「官僚を派遣して、遠隔地まで含めた全土を中央政府が直接的に統治する郡県制」に移行したという意味での本格的な帝国
このシステムは、続く漢王朝以降の中国統治の基礎モデルにして理想モデルとなった。
文字や度量衡の統一、長城という国境線の設定などにより、中国文化圏を確立したという意味でも、後世の影響は絶大。
比較する意味は薄いが、始皇帝の登場はローマ最初の皇帝オクタウィアヌス(アウグストゥス)よりも二百年ほど先んじており、
「中央集権」「官僚組織」「法治組織」を整えた帝国を出現させたという意味では、中国史のみならず世界史上最初の帝国と言っても決して過言ではない。

勘違いされがちだが、秦という国そのものはBC886年(周の孝王年間)までには既に存在しており、その歴史は数百年ある。王位を名乗ったのは二十六代の恵文王から。
また「帝国」という言葉が出来るのは隋王朝の時代のことで、秦王朝自身やその後の王朝も当然ながら「帝国」とは一度も名乗ってはいない。


  • イスラーム帝国
イスラム教の誕生から拡大を支えた帝国。狭義には正統カリフ時代からアッバース朝までのイスラーム世界の正統王朝による国家のことを指す。
国土はそのままイスラーム世界の広さに直結しており、最盛期は中東・北アフリカに加えてイベリア半島の大部分までが支配下にあった。
皇帝にあたる「カリフ」はイスラーム教の最高指導者という側面も兼ね備えその影響力は絶大だったが、
地方の自立とアッバース朝の衰退にともない徐々に力が衰えていき、最終的にはオスマン朝時代に「スルタン」に統合されてしまっている。
しかしそれでもイスラーム世界の象徴であることに変わりはなく、近年ではISILが指導者をカリフとして擁立したと宣言している。
その時ISILが自国の領土だと示した範囲は歴代全てのイスラーム帝国の領土をひっくるめたものであり、歴史オタを爆笑震撼させた。


  • モンゴル帝国
元王朝の支配域。史上最大の面積を支配した帝国。一応大英帝国が上回ってはいるが、時代や方法が違いすぎるのでこっちが1位とされる。
「色々な時代・場所で猛威を奮っては史書に災害だのと残される遊牧民族が、支配する側に回ったらどうなるの?」という疑問に答えた例。
中国も朝鮮も中東も中央アジアもロシアもヨーロッパもイスラームも他の遊牧民族もほぼ全ての国がボコボコにされている。
勝ったと言えるのは、海上輸送で得意の騎馬戦力が使えなかった上台風まで来た日本(鎌倉幕府)、
高温多湿の地でゲリラ戦をしたり国土の要塞化などで撃退し、結局形だけの従属にとどまったベトナム(陳王朝)、
名将バイバルスの活躍が光るエジプト(マムルーク朝)くらい。


  • ロシア帝国
モンゴルから自立を果たしたモスクワ大公イヴァン三世が「ツァーリ」と名乗り出したのが帝国化の始まりである。
イヴァン三世が東ローマ帝国最後の皇帝の姪と結婚したことでその後継者という立ち位置を固めモスクワを統一。
イヴァン四世の時代には「ツァーリ」は事実上の「皇帝」と同義になり、事実上の「ロシア帝国」が誕生した。
その後は「大動乱」などを経てピョートル一世が現れロマノフ朝を創始したことで帝国としての地位は揺るぎないものとなった。
もっとも「皇帝」の称号をヨーロッパ諸国が認めるのはさらに後のことになる。


  • 大英帝国
イングランド王国に端を発し、ウェールズ・スコットランド・アイルランドの吸収による連合王国化と同時に世界各地に進出し植民地・根拠地を築く。
ついには巨大なインド帝国(ムガル帝国)を解体し、連合王国の国王がインド皇帝の玉座に就いたことから名実共に「帝国」となった。
第二次世界大戦直後のインド独立に伴いインド皇帝の座を失った時点で正式な帝国ではなくなり、さらに植民地の独立が相次いで元の連合王国へと戻っていった。
世界史を学ぶと嫌いになる国として有名。


  • 中央アフリカ帝国
2019年現在、世界史上で最後に「帝国」を正式に名乗った国家。つまり今のところの「最後の帝国」
1966年に同国参謀総長であったジャン=ベデル・ボカサ 通称袁術 は経済の不安定さに乗じてクーデターで政権を奪取し、1972年には終身大統領となる。ここまでアフリカとかではよくある展開。
そして1976年に帝政を宣言しボカサ1世となり、翌年には2000万ドルとも2500万ドルとも言われる大金をつぎ込みナポレオンを真似た豪勢な戴冠式を挙行、と並の独裁者とも一線を画す行動に出る。
これに並行して旧宗主国であるフランスのデスタン政権に贈賄工作を行い、帝政承認と経済援助を引き出す……までは良かったのだが、
親族への利益誘導や身内も含めた反対派粛清などの典型的な独裁政治を行ったせいで、ただでさえ脆弱だった中央アフリカの衰退は加速。
これにより発生した学生デモを武力鎮圧し、年少者を含む400人が犠牲になったことと、狂犬ことリビアのカダフィ政権へ接近したのが運の尽き。
1979年9月20日、ボカサ自身がリビア訪問で不在という状況に乗じてフランスはクーデターを決行(バラクーダ作戦)。
ボカサの夢と野望は水泡に帰し、後に残ったのは不安定なままの中央アフリカと、腹いせとしてボカサに贈収賄をバラされたデスタンの支持率悪化くらいであった。


  • 大日本帝國
大日本帝國憲法下の日本の国号。
大日本帝國憲法、とあるように明治期から名乗っていたような印象があるが、公式にこう名乗るようになったのは昭和10年以降だったりする。
それ以前には日本海海戦でのZ旗の檄文のように、帝国とほぼ同義の言葉として「皇国」を使うことも多かった。
日本列島の他、台湾や朝鮮半島、南沙諸島の外地をはじめ、租借地として大連・旅順および満鉄附属地、赤道以北のミクロネシアを国際連盟委任統治領として統治した。
また、WWⅡ中には一時的とはいえ、満州全域や華北、インドシナ半島、インドネシアなどの東南アジアまで支配した(厳密には満州は愛新覚羅「満州帝国」統治)。
現在でも天皇がいるためある意味帝国なのだが、太平洋戦争に敗北したため国号としては破棄されており
もちろん天皇や皇族に実態として統治する権力は持たされていない。
国家元首が「天皇」ならば「帝」国というのはちょっとおかしいと思うかもしれないが、天皇の英訳は「emperor」なので間違ってはいない。


  • 第三帝国
ナチスドイツ支配下のドイツの俗称。あくまで俗称であり、国号そのものはドイツ統一から一貫して「ドイツ国」である。
古代ローマとかは関係なく、神聖ローマ帝国を「第一帝国」、
ビスマルクが作ったプロイセン王家の帝政ドイツを「第二帝国」としてそれに次ぐものという考えである。
要は「ドイツ人(ゲルマン人)による帝国」の3番目ということ。



<フィクションの帝国例>

典型的な「悪役帝国」。テンプレすぎてコメントにこまるほど正当な悪役帝国である。
銀河共和国を簒奪したベネディクト16世パルパティーンを帝位に戴いた帝国で、デス・スターなどの強大な兵器を用いて宇宙全体を支配することを目論んでいた。
第二デススター崩壊後は権力の弱体化が著しく、近年の作品ではあまり目立って登場しない悲しい帝国。
ただし設定の再編の結果、「(深刻な腐敗・堕落にその場しのぎの対策しかできない旧共和国に対して)必要不可欠な改革を断固として行い、銀河に秩序と道理をもたらす存在であった」という別の一面も語られるようになった。その象徴がウィルハフ・ターキンである。


超光速飛行が可能になった時代にあえて時代錯誤な大帝国を持ってくる皮肉。
かつて銀河連邦軍人→議員→首相兼国家元首→終身執政官という絵にかいたような独裁者ルートを辿って帝位についたルドルフ・フォン・ゴールデンバウムを始祖とする、ゴールデンバウム家が支配する帝国。
公用語はドイツ語。ドイツ語はFeuerをファイエルって読んだりしない?うるせぇ黙れ

敵国である自由惑星同盟を圧倒する250億の人口を擁し、国力こそ上回っていたものの、物語開始時には500年に渡る支配でシステムが老朽化し、貴族・官僚層の腐敗も加わって国家が疲弊、同盟との戦争も膠着状態になっていた。
そこに現れた若き英雄、ラインハルト・フォン・ローエングラムの活躍が帝国側のメインであり、やがて彼は帝位を簒奪、ゴールデンバウム朝銀河帝国は「ローエングラム朝銀河帝国」へと生まれ変わることになる。

一方、それに対する自由惑星同盟側は民主制であるものの「選挙のために出兵を決議する
政敵になり得る人物を恣意的に査問にかける」など、決して清廉潔白な国家ではないように描写されている。
むしろストーリー中盤以降は「高潔な帝国主義VS腐敗した民主主義」の構図も意識されるようになった。


  • アーヴによる人類帝国(星界シリーズ)
宇宙に適応するべく遺伝子改良を施されたヒトである「アーヴ」族による銀河帝国。アーヴ語でいうとフリューバル・グレール・ゴル・バーリ。
作品内の人類社会における最大の星間国家(複数の惑星から構成される国)で、9000億もの人口を支配する超巨大帝国。
全ての有人惑星は、アーヴが持つ人類社会最大最強を誇る「星界軍」の圧倒的軍事力によって、帝室アブリアル家を含めたアーヴ貴族の支配下に置かれている。
有人惑星に住む「領民」は大気圏外での軍事力を持つことを許されず、他星系との通商は勿論、星間船の建造自体が禁じられている。また自星系においても、有人惑星以外の資源利用は領主に優先的に利用されてしまう……

……と書くと完全に「悪の銀河帝国」そのものに思えるが、実は主人公ペアも所属する主役サイドの帝国であったりする。
男主人公は伯爵家の嫡男→父が処刑されたことに伴い伯爵就任、女主人公は祖母が現役の皇帝だがあくまで皇族の一人→帝国の存亡にかかわる非常事態につき皇太女に指名と、波乱万丈ながらどんどん地位も上がってきている。
軍事力に支えられた帝政を敷き、領民が大気圏外に出てこられないようにしているのは事実であり、
男主人公の出身惑星こそ「外星との初接触が帝国」・「帝国側が偉そうな態度」・「男主人公の父(統治者)が自治権のため国の防衛武装と引き換えに自ら帝国貴族入り」のコンボで数年後反乱軍が主人公の父を処刑する程反帝国感情が高まったが、
  • 星自体の統治は完全に領民任せで、領主は基本的に干渉を許されない
  • 領主や帝国に対する納税、あるいは労役などの義務は一切存在しない
  • 帝国は帰属意識や忠誠心を領民に一切求めておらず、言論統制や文化的侵略などもやらない
  • その気があれば、軍人や官僚に志願することでアーヴ身分にも割と簡単に*10なれる
など、「大気圏外のことは全部帝国がやるけど、あとはどうでもいいよ」といった感じの大雑把ソフトな統治をしているため、大抵の支配下の惑星からの評判はそこまで悪くない。


敵側である「民主国家」たちが、反帝国のスローガンに取りつかれるあまり思想統制や極端な全体主義に走っているのと対照的であり、
「同じ支配されるなら、内政干渉してくる連中より、地上のことは放っといてくれる帝国の方がマシ」
という理由で帝国の支配下に入った惑星も存在するほど。


シリーズ通して色々な帝国が登場しているが、「基本帝国は敵役」は一貫している。
ただ、子供向けの「世界征服を狙う悪の帝国」として描写される場合と
「あくまで主義主張の対立により共和国と袂を分かった本質的には同じ国」と描写される場合がある。
ゼネバス帝国、ネオゼネバス帝国、ガイロス帝国などが存在。
イメージカラーは赤もしくは黒で、青をイメージカラーにする共和国とは対照的。


長年にわたって戦記ものファンタジーを描き続ける同シリーズには悪役帝国もつきもの。
元祖のドルーア帝国やリゲル帝国に始まり、真っ当な王国が帝国を名乗り始めることで露骨に悪となる神聖アカネイア帝国やグランベル帝国と、FC~SFCシリーズはどいつもこいつも悪役帝国である。
反面、GBAシリーズ以降では、帝国不在のエレブ大陸や『if』の2王国、敵味方双方の宗主国であり味方寄り中立の立場をとるベグニオン帝国、振る舞いは悪役帝国だがルートによっては自軍になるアドラステア帝国など、総じて変化がつけられている。
グラド帝国・ヴァルム帝国といったスタンダードな悪役帝国もたまに登場する。
しかし、帝国が「主人公の国」となったことは(アドラステア帝国のケースを除くと)今のところ一度もない。


メーカーの送り出した様々なRPGに存在する。
FINAL FANTASY Ⅵのガストラ帝国、聖剣伝説2のヴァンドール帝国などは悪の帝国に違わぬ役を演じる。
一方、ロマンシング サ・ガ2のバレンヌ帝国は主人公が歴代の皇帝となる、非常に珍しいタイプとなっている。
七英雄の打倒が物語の中心であるが、同時に各地域の問題を解決して同盟を結び(進め方によっては力づくで制圧する展開もあり)、帝国の版図を拡大していくのも目的の一つである。
サガシリーズの癖の強いシナリオや自由な選択肢もあり、主人公の行動次第ではかなり外道な帝国になる場合もある。
エンディングでは帝国制をやめ、共和国となる。


近年の悪そうで悪くない帝国の筆頭。
治めるグーラ領で非常にやかましいスペルビア兵と一戦交えてからは主人公のレックス達とは緊張状態が続くが、スペルビア帝国に乗り込んでから少しすると意外な形で緩和される。
ネフェル皇帝も幼いながら真っ当な皇帝で支持も厚い。
というか、中盤以降ネフェル皇帝の義姉で帝国の重鎮である特別執権官メレフが加入するため、悪役に不向きとも言える。
ただし元老院は腐ってるような話はあるし絶対善とは言えない。これはゼノブレイド2の世界全体に言えるが。
また反帝国組織が2つもあるため、双方を潰すクエストもある。


「帝国」を名乗る組織は登場頻度が高いが、その全てが悪役である。非常にわかりやすい。
フラッシュマンに登場する「改造実験帝国メス」、バイオマンに登場する「新帝国ギア」、オーレンジャーの「マシン帝国バラノイア」など。
いずれも科学を信奉するタイプの敵組織であり、ファンタジー系では意外とあまり登場しないのが面白い。


地球とは違う世界「怪魔界」に存在する帝国。
皇帝主導の開発による文明の発展の代償として星の環境がズタズタになったため新天地を求めて地球を侵略しに来た。
正直地球人からしたら傍迷惑な話である。


滅んだと思われた恐竜たちが地下で進化して築き上げた帝国。
後に滅ぼされて百鬼帝国に乗っ取られる。


ガミラス星の帝国。
「ヤマト」に登場する悪役はやたらと帝国を名乗っている。「ガルマン・ガミラス帝国」「白色彗星帝国」「暗黒星団帝国」「ディンギル帝国」など。
特に統治状態は言及されず軍事国家としての側面が描かれ、ある意味テンプレに忠実。
ただリメイクや友好関係になった後のガミラス等では設定が掘り下げられ、民間の描写が増えた事で少々複雑になっている。


世界制服を目論む悪役帝国。
支配領域は「ナンバーズ」という植民地にし、文化の強制などを行っており、力押しが大半なフィクションの帝国の中では珍しく「文化的な支配」が明確に描かれた帝国である…が、「優しい侵略」に見えて武力をもって思想強制する点ではやはり悪役帝国である。
支配領域内でも格差の広がりや差別が酷く、それらを是正するどころかナンバーズ内で不満と矛先を完結させるような形も目立ち、
治安維持の名目で一般人を裁判なし・宣告なしの銃殺がまかり通るような状態。
その上行政官はどいつもこいつも頼りなく、徴税や反乱鎮圧が思うように進まず要所では虐殺と反乱のいたちごっこになっている。
弱腰でどっちつかずの統治にコーネリア等がたびたび愚痴を漏らしたり…。
R2最終話のスザクとカレンの互いの主張の激論はまさに帝国統治の歪みの体現である。


ハンター世界における大陸の1つ「アイジエン大陸」の中央に位置する国。
この国の王族は先祖代々「王位継承戦」という名目の王子同士で行うバトルロイヤルを行い生き残った一人が帝位に就く伝統があり、暗黒大陸編ではこれが焦点となっている。


作中世界で遥か昔に銀河を支配していた種族・プロセアンを主軸とする帝国。
後述するリーパー戦争によって、本編の時代ではすでに滅亡している。
当時の彼らは他種族を支配下に置き、その種族は彼らに隷属するか滅ぼされるかの二択しか与えられなかったという。
これだけ聞くと典型的な悪の帝国のようだが、一応立場は今現在リーパーに抗う主人公たちと同じ。
現代の人々にも全容が解明できないほど非常に高度な技術を持っており、彼らの不可思議な遺跡が銀河中に残っている。

本編の時代から約5万年前、つまり前回のリーパーの収穫対象となり、数世紀に亘って抵抗し続けたが最終的に帝国は壊滅。
コールドスリープで奇跡的に現代まで生き延びた最後のプロセアンを除き、プロセアン帝国の人々は一人残らず根絶やしにされた。

ウォーハンマーシリーズ最初の作品である「ウォーハンマーファンタジーバトル」の主役国家。
オールドワールドと呼ばれる地方で最大級の国家として知られており、他の勢力と比べれば比較的まともな国家である。あくまでもウォーハンマーFBの世界の中の基準ではあるが
オールドワールドはかつて、人間の小さな部族が各地に点在し、獣人やゴブリンといった種族から身を守るために苦しい戦いを強いられていた。
そんな中、ウンベローゲン族長の長子として産まれた戦士 「シグマー」 は、オークに襲われていたドワーフの至高王を助け出し、その返礼品として強力なルーンハンマーである「ガールマラッツ」を授かる。
その日以降、彼は戦に赴きガールマラッツを振るって勝利に次ぐ勝利を収めて軍勢を率いるようになっていった。
彼はオークや渾沌の軍勢に立ち向かうため、様々な諸部族をまとめ上げて「黒火峠の戦い」の後に「エンパイア」を建国する。
そして、皇帝シグマーが初代皇帝となって国を統治し、エンパイアの臣民たちに平和な時代が訪れたのだ。
しかし、エンパイアの平和もいつまでも続かず、苦難の時代が訪れる。
権力欲と野心におぼれた撰帝侯(皇帝の候補者)の子孫らは、やがてあい争うようになり、ネズミ人間である「スケイヴン」の軍団や伝染病によって大きく衰退してしまう。
さらに長きにわたる内戦や三皇帝の時代といった苦難を乗り越え、皇帝「マグナス」の時代に勝利を収めた「渾沌大戦」を機にエンパイアは少しづつ立ち直っていった。
そして現在は稀代の指導者である皇帝「カール・フランツ」の世となり、エンパイアの諸侯たちをまとめ上げて北から攻めてくる渾沌勢力との戦いに身を投じている。
エンパイアの命運はカール・フランツにかかっていると言っても過言ではない…。



ウォーハンマーシリーズの一つである宇宙を舞台にしたSF作品、「ウォーハンマー40K」の主役国家。
西暦24000年頃、宇宙に進出した人類は銀河系の様々な星々に進出する程にまで発展したが、様々な厄災によって星々は孤立し、異種族の信仰によって人類は大きく衰退した。
その後、文明の暗黒時代が5000年ほど続き、人類を滅亡の危機から救おうと謎の超能力者である 「皇帝」(エンペラー・オヴ・マンカインド) が立ち上がる。
西暦29000年末、彼は〈人類の帝国〉を地球に建国して 銀河系を人類の名の下に統一するための戦争〈大征戦〉(グレードクルセイド)を敢行。
肉体改造を施した超人兵士「スペースマリーン」の兵団を率いて銀河系のほとんどを征服し、人類に第二の黄金時代をもたらした。
しかし、自らの右腕として〈帝国〉軍を率いていた「ホルス」によって戦力の半分が反皇帝派として反旗を翻し、〈帝国〉の内部で内戦が勃発。
後に 〈ホルスの大逆〉 と呼ばれる内戦によって皇帝派は首都がある地球へと追い込まれるが、ホルスと皇帝の一騎打ちによって〈帝国〉は滅亡を回避し、〈ホルスの大逆〉は皇帝派が勝利を収めた。
しかし、皇帝はあまりにも大きなダメージを受け、生命維持装置に繋がれて一切しゃべる事ができない植物人間となってしまい、皇帝の代理として12人の至高卿が〈帝国〉の統治を行う事となった。

まだここまでは〈人類の帝国〉はまともで良かった…。ここからが本番。

その後は皇帝を崇拝するカルト教団が国教化されて〈帝国〉内の臣民たちの思想の管理や洗脳が本格的に行われる。
逆らったものや異端の疑いのあるものは徹底的に拷問、処刑され、その家族や周辺の人間たちも連帯的に処罰を受けた。
さらに、〈ホルスの大逆〉の後も様々な異種族や大逆軍の残党による戦争が度重なって勃発し、一般臣民は戦争を下支えするための過酷な労働や兵務に駆り出される。
巨大な工場寺院をはじめとした職場では秒刻みでわずかな時間しか休憩が与えられず、帝国防衛軍として戦えば兵士の命は容易に使い捨てされる。
西暦40000年代の〈帝国〉は、人類が生存するために臣民の命を戦争という炎にくべる薪のように扱うディストピアと化してしまったのだ…。


なろう系ライトノベル作品の舞台となる、主人公の故郷でもある帝国。言語や地名はドイツ風。
かつて「人間種」の英雄が「人狼種」と「吸血種」、二つの異なる種族の協力を得て築いた国家であり、現在でも三つの種族からなる皇族家群から皇帝が選ばれているため「三重」の名がついた。
ちなみに吸血種だけ長寿種族のため、途中で元皇帝の一人が再戴冠する羽目になっている。
広大なため辺境地域等治安の悪い地域はあるものの大体は平和な情勢であり、魔法技術の発達等も合わさり高い軍事力をも持つ世界有数の強国である。
また建国経緯から多種族国家でもあり、人口比率は普通の人間種が比較的多めなものの、大体「獣人系」の種族なら蜘蛛人に始まりケンタウロスやミノタウロス、鳥人や人魚に「人間種の派生亜種」まで各種取り揃えている。

追記・修正は皇帝の名の下にお願いします。

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最終更新:2024年03月12日 22:58

*1 現代のトルコの辺り

*2 現代のイスラエルやパレスチナの辺り

*3 ただし、学者の間では異論もあり

*4 この拒否権というものがいかに強大な権利であるかは現代の国連安保理を見ればわかるだろう。さらに、詳しくは書かないが彼の拒否権は本来の護民官が持つものよりも遥かに強大なものであった。

*5 ややこしいが、ローマ帝国としては「一つのローマ帝国の中に、東西に首都と皇帝が二つある」という体裁をとっていた。また「西ローマ皇帝の消滅」は「西ローマ帝国政府の消滅」を意味しないなど、日本の常識とは観念がかなり異なる。

*6 時の東ローマ皇帝が失脚状態だった末に、母親のエイレーネにより追放。彼女が次の皇帝となった

*7 めんどくさいがこの戴冠をもって「東ローマの帝位は一旦断絶したのを復興させた」ということになる

*8 イタリア語読みではフェデリーコ2世。ローマ皇帝兼イタリア王兼シチリア王兼エルサレム王

*9 後継者の意

*10 軍人なら翔士(士官)になった時点でアーヴ身分がもらえる