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流量計の種類

流量計の種類

流量計とは、液体または気体の流量を測定する機器です。測定原理によって多くの種類がありますが、測定する流体の材質や設置場所などによって適したものを選ぶことが大切です。ここでは以下の種類別に、流量計の原理と特徴について解説します。

超音波式流量計

物質を透過して伝播するという超音波の特性を利用した流量計です。超音波式流量計には、伝播時間差式(時間差式)と、反射波の周波数変化(ドップラー効果)から流速を計測する方式があります。超音波は物質を透過して伝播するため、配管の外側に取り付けて配管内部の流量を測定することができます。この形式は「クランプオン型」といわれ、大口径配管の流量測定によく用いられます。
設置コストやメンテナンス性で有利な流量計ですが、気泡の影響を受けやすく、長い直管部も必要です。しかし近年では、新しい超音波技術の開発により、コンパクトで気泡に強い流量計が開発されています。

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超音波式流量計を使った主な商品

電磁式流量計

電磁式流量計は、電磁誘導による起電力を利用して流量を検出します。
管内に障害物がなく、構造が簡単でメンテナンスが容易、耐食性・耐摩耗性に優れ、付着性異物の影響にも強いという特長があります。
測定対象となる液体や接続方法などにより、さまざまなタイプがあります。たとえば、水専用や冷却水・温水・処理水・プロセス廃水に対応したもの、フランジ接続できるタイプやウエハ接続できるタイプがあります。また、電極付着やライニング付着、スラリノイズなど電磁式流量計に多い電極に関するトラブルに配慮した機種も開発されています。

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電磁式流量計を使った主な商品

コリオリ式流量計

振動するU字形パイプの中を流体が流れると、2つのパイプの間で逆方向力が作用するという「コリオリの力」を利用した流量計です。
補正システムを使うことなく質量流量が計測でき、指示値の0.15%という高い精度で、最大流量の1/100まで測定可能。一般的な液体のほか高粘度の液体やスラリーにも使え、測定する流体の電気伝導率の影響も受けないため、多くの種類の流体に適合できます。また、直管部が不要で応答が速く、流れに脈動成分が含まれていても追従できるという特長があります。
質量流量の計測ができるという利点を活かし、気体や化学プロセスで反応に影響する原料の質量や、建設現場から出る汚泥水に含まれる土砂の濃度管理に使用されています。

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コリオリ式流量計を使った主な商品

熱式流量計

熱式流量計は、発熱体から流体が奪う熱の量で流量を測ります。「サーマルフローメータ」または「サーマル式流量計」とも呼ばれます。回転軸のように動く部品がないため、1度動き出せばメンテナンスが不要で、微少な流量まで測定可能です。また、タイプによっては、数百度という超高温からマイナス数百度といった超低温まで測定することができます。
熱式流量計は、ほとんどが気体を測定する目的で使われます。直接、気体の質量流量を測定することができ、特にクリーンな気体には最適な流量計です。

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熱式流量計を使った主な商品

カルマン渦式流量計

流体が物体を通過するときに規則正しく発生する渦を「カルマン渦列」といい、カルマン渦式流速計は、この渦を圧電素子で検出し流量を測定します。圧電素子にはストレンゲージ(ひずみゲージ)やサーミスタゲージがあり、ストレンゲージでは電気抵抗の変化、サーミスタではサーミスタの温度変化を電気抵抗の変化に置き換えて流量を検出します。そのほか、静電容量式・超音波式などがあります。いずれのタイプも振動/音響ノイズや、圧力損失による影響を受けやすく、取り付けには直管部が必要です。

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羽根車式流量計

羽根車式流量計は、流体が回す羽根車によって発生するパルス波を電圧信号に変換し、電圧信号から流量を測定します。基本的な構成要素は羽根車と軸受けだけなので小型軽量で取り付け姿勢の制限が少なく、タイプによっては羽根の動きが見えるため、信号系統が故障しても現場で流れの有無を監視できます。羽根車式流量計には、機械式・磁気式などがあります。機械式は羽根車の動きで積算計を駆動し、大型の水道メータなどに用いられます。また、磁気式は羽根が検出コイルの前を通るたびにパルス電圧信号を発生させ、石油製品や低粘度LPGの流量計測などにも利用されます。構造上、異物の詰まりや軸や軸受けなどの機械的摩耗があることから、定期的なメンテナンスが必要です。

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浮き子式流量計

浮子式流量計は、流体によって上下する浮き子の位置で流量を測定する流量計です。「面積式流量計」や「フロート式流量計」ともいわれます。構造が簡単なのでローコストです。また、直管部が不要なので、取り付け位置に自由度があります。さらに、流れのエネルギーを利用するため、電源が不要です。
液体・気体を計測することができ、医療・バイオ・ハイテク産業など、さまざまな分野で使用されています。一方で高粘度や固形を含んだ流体の計測には不向きで、脈動も測定誤差の原因になります。また、浮き子の汚れや摩耗、腐食によるトラブルにも注意を要します。

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差圧式流量計

差圧式流量計は、管の中に取り付けられた「オリフィス」といわれる壁によって発生する差圧を測定する流量計です。「オリフィス流量計」や「ダイヤフラム式流量計」ともいわれます。液体、気体はもちろん、蒸気も測定可能。小流量から大流量まで測定できます。また、可動部がないため故障しにくいという特長があります。流量計の中でも安価で、さらに流量対出力の校正作業(実流校正)が不要なので、製造コストの点で大きなメリットがあります。しかし、流量計の上下流に長い直管部が必要で、導管部が詰まりやすいため、設置やメンテナンスに注意が必要です。また、最大最小流量比が約3:1と小さというデメリットもあります。

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各方式の流量計には、それぞれメリットとデメリットがあるということを説明してきました。このことから、流量計の性質は以下の条件によって決定するということがわかります。

  • 測定する流体の材質
  • 必要とされる測定値と精度
  • 設置する部分の配管の太さや材質
  • 設置場所の温度・湿度環境
  • 設置スペースや直管部の要/不要など

さらに、長期間に亘って運用した場合の汚れ・詰まりに対するメンテナンス性や消耗品によるランニングコストも重要なポイントです。
ここで紹介したように多くの流量計が存在するのは、多岐に亘る製造現場の要求に応えるためであり、製造現場の要求一つ一つが安全と品質と生産効率の実現において欠かすことができない条件である左証であるといえます。そして、近年ではさらに高度な流量計測を実現するために、各方式の流量計が持つ欠点を克服した流量計が開発されています。

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