ユニゾホールディングス

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ユニゾホールディングス株式会社
UNIZO Holdings Company, Limited
種類 株式会社
市場情報 非上場
東証1部 3258
2009年6月23日 - 2020年6月18日
本店所在地 日本の旗 日本
108-0073
東京都港区三田三丁目4番10号
設立 1977年昭和52年)5月16日(株式会社サン・ホテル)
業種 不動産業
法人番号 6010001045269
代表者 取締役社長(代表取締役)山口 雄平
資本金 32,062百万円
決算期 3月31日
主要株主 株式会社チトセア投資 100%
関係する人物 小崎哲資
外部リンク https://www.unizo-hd.co.jp
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ユニゾホールディングス株式会社は、不動産事業とホテル事業を行う日本の企業グループの持株会社である。東証1部に上場していたが、2020年に日本初の上場企業のエンプロイー・バイアウト(EBO)により上場廃止となった。

概要[編集]

日本興業銀行(現・みずほ銀行)系の不動産会社が前身であり、2009年には東京証券取引所に上場した。事業は、元々興銀系オフィスビルの管理が中心であったが、オフィスビルの保有・賃貸を手掛ける不動産事業と、宿泊特化型ホテル(ビジネスホテル)である「ホテルユニゾ」、「ユニゾイン」、「ユニゾインエクスプレス」の3ブランドの運営するホテル事業の2本柱となっていった。

非上場化[編集]

ユニゾの株価は低迷しており、2019年6月末時点で株価は1株1,844円、時価総額は631億円、株価純資産倍率(PBR)は0.58倍、保有不動産含み益を勘案した実質PBRは0.25倍であった[1]

2019年7月10日にホテル事業の拡大を目論むエイチ・アイ・エス(HIS)により株式公開買付け(TOB)の実施を発表、買付価格は1株3,100円であった[2]。同年8月6日にユニゾはTOBに反対することを表明し[3]、16日にはフォートレス・インベストメント・グループが白馬の騎士(ホワイトナイト)として買付価格1株4,000円でTOBすることに賛同することを表明した(後に反対に転じる)[4]。市場の株価はHISのTOB価格を上回る水準まで上昇しており、HISのTOBへの応募はゼロとなり、HISは撤退した[5]

その後、ブラックストーン・グループがフォートレスの買付価格を上回るTOBを発表したのに続き、2019年12月22日にはユニゾ従業員とローンスターが共同で設立した「チトセア投資」がTOBを発表し、各社がTOB価格の引き上げを繰り返し、最終的には2020年4月2日にチトセア投資の提示価格1株6,000円で決着することとなり[6]、日本初の上場企業のエンプロイー・バイアウト(EBO)が成立した。全株取得の総額は約2,050億円であった。2020年6月18日に東証より上場廃止となった。

ユニゾの上場廃止と相前後して発生した新型コロナウイルスの影響により傘下のホテル事業が苦境に陥った上、EBOにあたってローンスターから借り入れた約2000億円の融資返済が重荷となり[7][8]、保有するオフィスビル及びホテル等の資産売却[9][10]や、運営するホテルの半数から撤退[11]を強いられた[12]。有価証券報告書によると、2021年3月期の配当金は総額532億円(前期は15億円)であり、更にチトセア投資に対し2021年3月期に2,572億円の貸付を実施し、貸付金残高は2021年3月末で2,060億円、2022年3月末で2,051億円となっている[13]

また、信用面では日本格付研究所(JCR)の長期発行体格付がTOB前はBBB+であったが、メインバンクみずほ銀行との関係性変化、TOBに伴う借入金の実質的な負担、物件売却に拠る収益低下などにより、2020年12月にはBB+(ネガティブ)まで低下した[14][15]社債の流通価格の低下も報じられている[16]。2022年1月にBB(ネガティブ)、2022年7月にB+(ネガティブ)となったと同時に、信用がさらに低下した[8]

この間、私的整理を前提としたスポンサーの模索を続けていたが合意に至らず、2023年5月26日に償還予定の社債(100億円)の返済原資の見通しが立たなくなったため、2023年4月26日に東京地方裁判所民事再生法の適用を申請し、同日付で保全監督命令を受けた。[7][8]

沿革[編集]

  • 1959年昭和34年)9月 - 大商不動産株式会社(実質的な前身)を設立。
  • 1966年(昭和41年)5月 - 「泉州物産株式会社」及び「八千代興業株式会社」と合併。
  • 1972年(昭和47年)6月 - 常和興産株式会社に商号変更。
  • 1977年(昭和52年)
    • 5月 - 株式会社サン・ホテル(現・ユニゾホールディングス株式会社)を設立。
    • 9月 - 「常和ビルディング株式会社」を設立。
  • 2004年平成16年)3月 - サン・ホテルが大商不動産及び常和ビルディングを吸収合併。常和ホールディングス株式会社に商号変更し、持株会社制に移行。
  • 2009年(平成21年)6月 - 東京証券取引所第2部に株式上場。
  • 2011年(平成23年)2月 - 東京証券取引所第1部に指定。
  • 2014年(平成26年)12月 - 「Jowa Holdings NY, LLC」を設立。
  • 2015年(平成27年)7月 - ユニゾホールディングス株式会社に商号変更。常和不動産を「ユニゾ不動産株式会社」に、常和ホテルを「ユニゾホテル株式会社」に、常和ビルサービスを「ユニゾファシリティーズ株式会社」に、Jowa Holdings NY, LLCを「UNIZO Holdings U.S., LLC」に商号変更。
  • 2020年令和2年)6月 - 上場廃止。
  • 2023年(令和5年)4月 - 東京地裁に民事再生法適用を申請。負債総額は1262億円[7][8]

主要子会社[編集]

  • ユニゾ不動産株式会社 - 日本国内オフィスビル等の保有・賃貸・アセットマネジメント・プロパティマネジメント、不動産仲介
    • UNIZO Holdings U.S., LLC - 米国オフィスビル等の保有・賃貸・管理
    • ユニゾファシリティーズ - 日本国内オフィスビル等の清掃・管理
  • ユニゾホテル株式会社 - ホテルの保有・運営

事業所[編集]

  • 本社:東京都港区三田三丁目4番10号
    • 2022年(令和4年)2月17日に神奈川県横浜市中区尾上町五丁目77番地2から移転
    • 2020年(令和2年)9月1日に東京都中央区八丁堀二丁目10番9号(ユニゾ八丁堀ビル)から移転

出典[編集]

  1. ^ 「ユニゾ」対「HIS」のTOB対決に見るサラリーマン経営の危うさ (2019年9月7日) - エキサイトニュース
  2. ^ ユニゾホールディングス株式会社株式(証券コード:3258)に対する公開買付けの開始に関するお知らせユニゾホールディングス株式の公開買付け開始に関するご説明-両社の企業価値最大化に向けた協業のご提案 株式会社エイチ・アイ・エス 2019年7月10日
  3. ^ ユニゾHD、HISのTOBに反対表明 敵対的買収に: 日本経済新聞 2019年8月6日
  4. ^ HIS、ユニゾHDへ敵対的TOB…みずほFG、対抗的TOBとの観測も
  5. ^ HIS、ユニゾへのTOB「応募ゼロ」 争奪戦から撤退:朝日新聞デジタル 2019年8月24日
  6. ^ ユニゾ争奪戦ついに決着、小崎社長の“すごい”功績:日経ビジネス電子版 2020年4月3日
  7. ^ a b c 倒産・動向速報記事 ユニゾホールディングス株式会社”. 帝国データバンク (2023年4月26日). 2023年4月26日閲覧。
  8. ^ a b c d TSR速報 ユニゾホールディングス(株)”. 東京商工リサーチ (2023年4月26日). 2023年4月27日閲覧。
  9. ^ (4ページ目)ユニゾHD<下>社長は「みずほのラスプーチン」と呼ばれた男|日刊ゲンダイDIGITAL 2020年5月14日
  10. ^ ユニゾ、18日に上場廃止 旗艦ビル売却に懸念も: 日本経済新聞 2020年6月17日
  11. ^ ユニゾホテル、2020年12月までに半数を閉館-旧・興銀系大手ホテル、都内から完全撤退 | 都市商業研究所 2020年10月19日
  12. ^ ユニゾ、上場企業初、従業員による買収が成立~策士、小崎社長が「好んで事をたくらんだ」大立ち回りの顛末(後):【公式】データ・マックス NETIB-NEWS 2020年4月15日
  13. ^ ユニゾホールディングス:有価証券報告書-第45期(令和3年4月1日-令和4年3月31日) (有価証券報告書) :日経会社情報DIGITAL:日本経済新聞
  14. ^ ユニゾホールディングス | 日本格付研究所 - JCR
  15. ^ ジャンク債に格下げの「ユニゾ」、負債3000億円で高まるデフォルトリスク | 倒産のニューノーマル | ダイヤモンド・オンライン
  16. ^ ユニゾ債、投資家保護置き去り 不履行懸念で6割安 2020年11月25日

外部リンク[編集]