8月23日、アメリカ・ウィスコンシン州ケノーシャで、ケンカの仲裁に入ろうとしたとされる黒人男性ジェイコブ・ブレイクさんが、警官に背後から複数回撃たれるという事件が発生。

これを受け、同州のいくつかのスポーツチームがブレイクさんへの連帯を示し、また警察による残虐行為の被害に遭ったすべての黒人のため、試合をボイコット(ブレイクさんは一命を取りとめたものの、銃撃により下半身が麻痺している)。そして今、他のチームやアスリートたちもそれに続いている。

数カ月にわたり全米各地で毎日起きていたBlack Lives Matterムーブメントに続き、次に各地で起こっているワイルドキャット・ストライキ(労働組合の許可なしに一部の労働者が行うストライキ)やボイコットを、ここに改めておさらい。

【バスケットボール】

・ミルウォーキー・バックス

現地時間の8月26日、NBAのミルウォーキー・バックスはオーランド・マジックと対戦する予定だったが、同チームはロッカールームから出てこなかった。チームはその後、不在を説明する声明を発表。次のように述べていた。

「ミルウォーキーとウィスコンシンを代表してコートに立つ時、私たちは高いレベルでプレーをし、最大限の努力と責任を全うすることが求められます。私たちは、その基準を守るよう心がけています。政治家や法執行機関にも、同じレベルでの行動を要求します」「私たちはジェイコブ・ブレイクのために正義を求め、警官たちの責任を追及します。そのためには、この数カ月間、何も行動を起こしてこなかったウィスコンシン州議会が再び召集され、警察の説明責任、残虐行為、刑事司法制度の問題に取り組むための有意義な措置を講じることが不可欠です。すべての市民が自らを教育し、平和的で責任ある行動をとり、11月3日に投票することを忘れないように奨励します」

その後NBAは、同日夜に予定されていたヒューストン・ロケッツ対オクラホマシティ・サンダー、ロサンゼルス・レイカーズ対ポートランド・トレイルブレイザーズのプレーオフ3試合を、すべて延期すると発表している。

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・WNBA

ミルウォーキー・バックスに続き、ワシントン・ミスティクスの選手たちも同日夜の試合に出場しないことを決意。この他にもアトランタ・ドリーム、コネチカット・サン、フェニックス・マーキュリー、ロサンゼルス・スパークス、ミネソタ・リンクスの5つのWNBA(女子プロバスケットボールリーグ)のチームが試合をボイコットした。

ワシントン・ミスティクスはまた、ケノーシャの警察官がジェイコブ・ブレイクに発砲した回数を認識させるために、背中に7つの弾丸の穴が開いた白いTシャツをそれぞれ着用。

ミスティクスのアリエル・アトキンスは、「みんなに支えられていると感じてほしかった」「これはバスケットボールだけの問題ではありません。私たちはただバスケ選手という立場にいるだけではなく、バスケ選手だからといってそれが唯一のプラットフォームでもないのです。私たちのほとんどが、家に帰っても自分が黒人であることを認識しなければならない。つまり私たち全体の問題であるということです」とコメント。

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・ロサンゼルス・レイカーズとロサンゼルス・クリッパーズ

ロサンゼルスのNBA2チームは、昨晩行われた選手会議で、今季のNBAシーズンの残りの全試合をボイコットすることを投票で決めたことが報じられた。NBAジャーナリストのシャムス・チャラニアが最初に報じたところによると、マイアミ・ヒートのユドニス・ハスレム選手が「レイカーズとクリッパーズなしでNBAシーズンを続けるにはどうしたらいいのか」と質問すると、レブロン・ジェームズは会議から退出。その後、残ったレイカーズとクリッパーズの選手たちもジェームズの後を追ってその場から出ていったという。また、ジェームズはオーナーにもっと関与してもらい、もっと行動を起こしてほしいと表明したと報じられている。

『LAタイムズ』によると、選手間の話し合いは翌朝まで続いたという。選手たちは最終的にシーズンの再開を決めたが、詳細がまだ決まっていないため27日の試合は延期された。

【野球】

・ミルウォーキー・ブルワーズ

大リーグのミルウォーキー・ブルワーズは、シンシナティ・レッズとのホームゲームを中止した。

同チームは声明で、「私たちは、地域社会や国にこのような痛みと苦難をもたらしている出来事について、立ち止まって反省する必要がある」と述べている。

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・シアトル・マリナーズ

シアトル・マリナーズ(メジャーリーグの中でも最も黒人選手が多いチームと報じられている)は26日夜、Black Lives Matterムーブメントと連帯して試合を中止した。

・ロサンゼルス・ドジャースとサンフランシスコ・ジャイアンツ

ドジャースとジャイアンツは、試合延期に関する共同声明をそれぞれのツイッターアカウントで発表した。

声明には、次のように綴られている。「我が国の歴史を通じて、スポーツは変化への強力な手段でした」「ドジャースとジャイアンツは、より公平で公正な社会のための共通の目標に向かって、選手たちとともに誇りを持って取り組んでいきます」

【テニス】

・大坂なおみ

大坂なおみは自身のツイッターアカウントで、翌日の準決勝の試合に出場しない理由をこう説明。

「私はアスリートである前に1人の黒人女性です」「黒人女性として、私がテニスをしている姿を見るよりもはるかに重要で、今すぐ注意を払うべき問題が目の前にあると感じています。私がプレーをしなかったからといって劇的なことが起こるとは思いませんが、白人が大多数を占めるスポーツで会話を始めることができれば、それは正しい方向への第一歩だと考えています」

なおこれにより、大会側も27日に予定されていた試合を中止。それを受け、大坂選手も先ごろ辞退を撤回し出場を決めた。

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【サッカー】

メジャーリーグサッカーは同日、マイアミ対アトランタ、レアル・ソルトレイク対ロサンゼルスFC、サンノゼ対ポートランド、ロサンゼルス・ギャラクシー対シアトルなど、残りの5試合には出場しないことを決定。リーグの声明によると、試合はリスケジュールされるという。

こうしたボイコットなどにより、反差別へのうねりはより大きなものになっている。今後の社会の動きにも要注目。

Photos: Getty Images, Courtesy of Malika Andrews, Milwaukee Brewers, Naomi Osaka, Mark-Anthony Kaye via Twitter, Washington Mystics via Instagram Translation: Masayo Fukaya From Harper's BAZAAR