彰化-高雄高架橋

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
彰化-高雄高架橋の位置(台湾内)
彰化側起点
彰化側起点
高雄側終点
高雄側終点
彰化-高雄高架橋
彰化-高雄高架橋
Changhua–Kaohsiung Viaduct
起点付近の八卦台地を走行する列車
基本情報
中華民国の旗 台湾
所在地 彰化県員林市林厝里 - 高雄市仁武区高楠里
用途 鉄道橋
路線名 台湾高速鉄道
管理者 台湾高速鉄路公司
着工 2000年3月1日または4月1日
竣工 (土木)2004年3月31日
(全工程)2006年
開通 2007年1月5日
構造諸元
形式 桁橋ボックス・ガーダー英語版
材料 プレストレスト・コンクリート
全長 157,317メートル (516,132 ft)
13メートル (43 ft)
最大支間長 35メートル (115 ft)
関連項目
橋の一覧 - 各国の橋 - 橋の形式
テンプレートを表示

彰化–高雄高架橋(しょうか-たかお こうかきょう、英語: Changhua–Kaohsiung Viaduct)は台湾彰化県から高雄市までの5つの県市(着工当時は6県市)に跨る台湾高速鉄道(高鉄)の鉄道橋で、全長約157kmの連続高架橋[1]。台湾最長の橋梁であり、かつ中華人民共和国丹陽-昆山特大橋に抜かれる2010年までは世界最長の長さだった[2][3][4]

概要[編集]

彰化県員林市林厝里の八卦台地中国語版を貫く八卦山トンネル中国語版出口付近[注釈 1]を起点とし、高雄市仁武区高楠里の高鉄左営駅手前を終点とする。

高架橋起点位置 高架橋終点位置
地図
地図
地図
地図
工事起点から185.786842km地点[5] 工事起点から343.103216km地点[5]

記録[編集]

竣工時点では当時ギネスブック道路橋として世界最長だったタイバーンナー高速道路(約67,100メートルの高架橋、2000年開通)[6]、および水上橋として世界最長だった米国ポンチャートレイン湖コーズウェイ(38,442メートルの水上橋)を抜いて事実上世界最長の橋となった[7][注釈 2]

2010年以降は中華人民共和国丹陽-昆山特大橋(164,851メートル、2010年完成、2011年供用)に次ぐ世界2位となった。なお、本橋が記載されていないギネスブックでは天津特大橋(113,700メートル、2011年供用)および渭南渭河特大橋(79,732メートル、2008年完成、2010年供用)がそれに次ぐ扱いとなっている[9][10]

このため中台両国の報道では、米国CNNの『本橋を世界2位、(海上道路橋として世界最長となった)港珠澳大橋(全長約55,000メートル、2018年開通)を6位[11]』とした報道を引用した台湾メディアと[12][13]、中国大陸側のメディアで温度差がみられる[14]

沿革[編集]

2000年3月1日または4月1日に6つの工区(C260、C270、C280、C291、C295、C296)に分かれて着工された[15]。工区の概略は下表のとおり。

2004年3月31日、台南県新営市(現・台南市新営区)で最後の橋桁が設置され、八卦山トンネル南側出口付近から高雄市左営までの157.317kmの高架橋が連結された[4][5]。その後軌道工事と試運転を経て、2007年1月5日の仮開業開始とともに開通した[16]

工区 区間[注釈 3] km 担当業者[17] 主な施設と交差物件 備考
C260 TK 170K+400 -
(彰化県彰化市
TK 207K+015
(彰化県渓州郷
36.615 中華民国の旗大陸工程中国語版
ドイツの旗B+B英語版
八卦山トンネル、
高架橋起点
彰化駅
[18][19][20][21]
C270 TK 207K+015 -
TK 249K+814
嘉義県太保市
42.799 濁水渓虎尾渓中国語版雲林駅
北港渓朴子渓中国語版
C280 TK 249K+814 -
TK 284K+221
台南市麻豆区
34.41 大韓民国の旗三星建設
大韓民国の旗斗山重工
中華民国の旗理成営造
嘉義駅八掌渓急水渓中国語版
亀重渓中国語版、徳元埤、番子田埤、
[22]
C291 TK 284K+221 -
TK 312K+734
(台南市帰仁区
28.513 中華民国の旗長鴻営造、
日本の旗清水建設
曽文渓許県渓中国語版 [23][24]
C295 TK 312K+734 -
TK 340K+058
高雄市仁武区
27.324 中華民国の旗長鴻営造、
タイ王国の旗イタリアン・タイ・デベロップメント
中華民国の旗太平洋電線中国語版
台南駅二仁渓中国語版阿公店渓中国語版
典宝渓中国語版燕巣基地
[25][26]
C296 TK 340K+058 -
TK 343K+120
(高雄市左営区
3.062 日本の旗清水建設、
中華民国の旗長鴻営造
中山高速公路
高架橋終点
至左営駅(345.2K)、左営基地、終点(346K+368) 地上区間

仕様[編集]

耐震性能は緊急事態でも列車を安全停止でき、かつ想定される最大規模の地震による損傷でも修復可能なように設計され[27]、橋梁は断層活動によって引き起こされる壊滅的な被害でも回避できるよう建設されている[28]

あらかじめ工場で組み立てておいた橋桁(ボックス・ガーダー英語版)を現場で取り付け、既存桁上のトレーラーとクレーンで1スパンずつ伸ばしていくFSPLM工法(Full Span Pre-Cast Launching Method)が多く採用され、工期短縮が図られた[26][29]。一部の例外を除いて標準的な橋桁1つあたりのサイズは道床からの深さ2.8-3.15メートル、幅13メートル、長さ30メートル、重量700トン[20][30]

猴探井(南投県)から見える
田中鎮(彰化県)の高架橋
雲林県土庫鎮 嘉義県新港郷
嘉義県太保市 沙崙線との並行区間(台南市) 中山高速公路との立体交差
(高雄市仁武区の終点手前)

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 厳密には更に4つの短いトンネルと切通区間を過ぎて始まる
  2. ^ 鉄道高架橋としては2004年までの先代最長記録を武漢地下鉄1号線の高架軌道(全長33kmだが2004年時点で開通していたのは10.2km)とするものもある[2][8]
  3. ^ 台北駅東方、松山地区の工事起点からの距離を表す

出典[編集]

  1. ^ (英語)HSR system sets several world records - ウェイバックマシン(2015年4月13日アーカイブ分) 2007-01-05 The China Post
  2. ^ a b (英語)20 Longest Bridges in the world”. World Atlas. 2017年2月6日閲覧。
  3. ^ (英語)Top 10 Longest Bridges in the world”. Strongest in the world. 2017年2月6日閲覧。
  4. ^ a b (繁体字中国語)高鐵高架橋 彰高連成一線 世界最長橋 2004-04-01,大紀元
  5. ^ a b c (繁体字中国語)綿延150公里的高鐵巨龍於今日躍然呈現眼前 - ウェイバックマシン(2004年4月9日アーカイブ分) 2004-03-31 台湾高速鉄路公司
  6. ^ (英語)Longest road bridge Guinness World Records Limited
  7. ^ (英語)Longest bridge over water (continuous)”. Guinness World Records. 2019年2月1日閲覧。
  8. ^ (英語)“These are the 10 longest bridges in the world”. Yahoo news UK. (2018年1月20日). https://uk.news.yahoo.com/10-longest-bridges-world-151202018.html 2019年5月25日閲覧。 
  9. ^ (英語)Longest bridge”. Guinness World Records. 2019年5月25日閲覧。
  10. ^ (英語)Longest bridge - ウェイバックマシン(2011年7月22日アーカイブ分) Guinness World Records
  11. ^ (英語)Sarah Lazarus (2018年5月6日). “The $20 billion 'umbilical cord': China unveils the world's longest sea-crossing bridge”. CNN. Turner Broadcasting System. 2018年5月6日閲覧。
  12. ^ (繁体字中国語)“外媒盤點全球最長橋梁 台灣這座橋竟是世界第二長”. 今周刊. (2018年10月24日). https://www.businesstoday.com.tw/article/category/161153/post/201810240047/ 
  13. ^ (繁体字中国語)“CNN盤點9座世界長橋 港珠澳大橋第6、台灣橋樑排第2!”. 自由時報. (2018年10月24日). https://news.ltn.com.tw/news/world/breakingnews/2590135 
  14. ^ (簡体字中国語)“台绿媒吹嘘港珠澳大桥不如高雄铁路高架桥的真相”. 凤凰新媒体(Phoenix New Media). (2018年10月25日). https://gov.ifeng.com/a/20181024/60127347_0.shtml 
  15. ^ (英語)“THSRC starts major work this month”. レールウェイ・ガゼット・インターナショナル. (2001年3月1日). https://www.railwaygazette.com/news/single-view/view/thsrc-starts-major-work-this-month.html 
  16. ^ (繁体字中国語)“台灣高速鐵路正式對外營運通車”. BBC. (2007年1月5日). http://news.bbc.co.uk/chinese/trad/hi/newsid_6230000/newsid_6234900/6234979.stm 
  17. ^ (繁体字中国語)台灣高鐵土建工程 財團法人地工技術研究發展基金會
  18. ^ (繁体字中国語)全跨預鑄橋樑吊裝技術”. 2019年5月19日閲覧。 大陸工程公司
  19. ^ (繁体字中国語)Joint Venture BB and CEC Taiwan Highspeed Rail Project C260・C270”. 2019年5月19日閲覧。大陸工程公司
  20. ^ a b (繁体字中国語)橋樑施工技術 大陸工程公司
  21. ^ (英語)Taiwan High Speed Rail Project- EPC Contract C270 大陸工程公司
  22. ^ (英語)Taiwan High Speed Rail Project Detailed Design for Civil Work Lot C280 國際亞新工程顧問有限公司
  23. ^ (英語)Taiwan High Speed Rail Project Detailed Design for Civil Work Lot C291 國際亞新工程顧問有限公司
  24. ^ 清水建設(株)土木技術本部 (2006年10月20日). “国際プロジェクトの実践Ⅰ ー台湾新幹線プロジェクトの実際ー”. 東京大学 工学系研究科 社会基盤学専攻 橋梁研究室. 2019年5月19日閲覧。
  25. ^ (英語)Taiwan High Speed Rail Project Detailed Design for Civil Work Lot C295 國際亞新工程顧問有限公司
  26. ^ a b (英語)TAIWAN HIGH SPEED RAIL, CONTRACT C295 シストラ英語版 IBT
  27. ^ (英語)Seismic Resistant Viaduct Design for the Taiwan High Speed Rail Project”. LUSAS. 2011年2月28日閲覧。
  28. ^ (英語)Martin, Empelmann; Whittaker, David; Los, Eimert; Dorgarten, Hans-Wilhelm (2004). “Taiwan High Speed Rail Project – Seismic Design of Bridges Across the Tuntzuchiao Active Fault”. Proceedings of the 13th World Conference on Earthquake Engineering (Indian Institute of Technology Kanpur). http://www.iitk.ac.in/nicee/wcee/article/13_140.pdf 2011年2月28日閲覧。. 
  29. ^ (繁体字中国語)陳錦勝、馬俊強 (2004年5月8日). “「高速鐵路土建工程-全跨預鑄吊裝工法概述」”. 台灣省土木技師公會. 2019年5月19日閲覧。
  30. ^ (繁体字中国語)橋梁 - ウェイバックマシン(2017年11月11日アーカイブ分) 高速鉄路工程局

関連項目[編集]

記録
先代
タイ王国の旗バーンナー高速道路
World's longest bridge
2004 – 2010
次代
中華人民共和国の旗丹陽-昆山特大橋
先代
中華人民共和国の旗武漢地下鉄1号線高架軌道
World's longest railway bridge
2004 – 2010