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卒後臨床研修センターだより

さまざまな説明会やオリエンテーション、学会に参加する研修医たち。
貴重な体験報告や、臨場感あふれる行事の様子など月毎にお知らせします。

2017年2月号

自分自身の研修を振り返って、何ができたか、何を学んだか、将来どんな医師になりたいか

卒後臨床研修センター 2年次研修医 小林真由美

 初期研修も終わりに差し掛かろうとしている今、この二年間を振り返ると、患者さん、指導医、同期などさまざまな人から、さまざまなことを学んだ毎日でした。医学的知識、技能の習得という意味で、学生の頃に学んだ知識が実践的なものとなったことは言うまでもありませんが、この二年間を通して学び、今後も大切にしたいと感じたのは、医師として患者さんに、そして医学に、どんな時も真摯に向き合う姿勢でした。
 突然病気になったことへの大きな不安を抱える患者さんを前に、私自身も分からないことが多く、日々勉強しながら上級医の指導のもと、なんとか患者さんが前向きに治療に励む力になりたいという気持ちで過ごしていた1年目の内科研修最終日に、担当患者さんからお手紙をいただいたことがありました。その手紙には「病気になって先が分からずとても不安だったけれど、先生のおかげで笑顔でいられました。病室に来てくれるのが嬉しくて、一番の心の支えでした。」と書かれていました。それまで、患者さんへの安心感はベテランの医師でこそ与えられるものだと思っていた私にとって、どれだけ勇気づけられたか分かりません。たとえ駆け出しの研修医であっても、患者さんに日々真剣に向き合い、疾患について学び、自分の力を超えることがあった時にはすぐに上級医に相談するなど、一つひとつの積み重ねが、患者さんが前に進む力を得るための一助となることができるのだと、教えていただいた経験でした。
 また、当直研修中には、しっかりと自分の目で患者さんを診に行って本当によかった、診に行っていなければどうなっていただろうと思ったことが何度かありました。時を経ると最初に比べてできることも増え、自信がついてくるほど自分自身で大丈夫だと判断する幅も広がりますが、その経験に甘んじてはいけないと強く感じた経験でした。患者さんのためのフットワークは常に軽くなくてはいけないと感じ、また、自分の目で確かめることの大切さを再確認し、身が引き締まる思いでした。
 初めて病棟に立った日、初めての当直の夜など、医師として数々の初めてを緊張して迎えた時の事を一つひとつよく覚えています。この二年間で、できることも増えました。学んだこと、教えていただいたこともたくさんありました。しかし何よりも、今後の自分を支え、医師としての原点となるのは、病棟に立った初日の緊張感と謙虚さ、そしてどんな時も患者さんに、医学に、真摯に向き合う姿勢だと感じています。次のステップに向かって歩もうとしている今、決意を新たに、邁進していく所存です。

卒後臨床研修センター 2年次研修医 鈴木真央

 2年間の研修を振り返ると、今までの人生で最も有意義な回り道ができた時間だった。私は間近で見ていた母に憧れ、幼少期より眼科医になることをずっと心に決めていた。眼科という科は診察手技も特殊であるため、スーパーローテートシステムが導入されていなければ、少しでも早く自分の学びたい知識や技術を習得できるのにと考えていた。
 そんな考えの中、初めて医師として働くことになったのは血液内科だった。全く興味がない上に、血液内科と聞くととても重症で死と隣り合わせのイメージがあり不安だった。初日、実際病棟へ行ってみると、最初に思っていたイメージとは違い病棟の雰囲気も明るく、先生方やスタッフの方々もみんな笑顔であった。初めての指導医に「君が内科に行くかはわからないけれど、医師は最初の1年、最初の1ヶ月、そして最初の1日でどんな医師になるかが決まるんだよ。とりあえず、内科の勉強を頑張ってみよう」と言われた。1日目が終わった頃には、これから約50年は続いていくであろう眼科医生活を考えると内科に触れることが出来るのは今しかない、とやる気に満ち溢れていた。
 血液内科と言えば、特殊な手技に骨髄穿刺がある。印象に残っているのが「手技が上手い先生は介助も一流」という言葉である。次に何が欲しいのか、何をしたいのか、一人でできるからこそ先読みする能力も高く、介助が上手くなるとのことだった。清潔操作の際お叱りを受けることが多々あり、落ち込むこともあったが、段々介助もスムーズになり、次は先生がやりなさいと任せてもらえるようになった。病棟での仕事に慣れてきた頃、班の患者さんが亡くなった。手技を通して成長させていただいた患者さんの初めての出棺。患者さんのご家族は涙を流しながら先生方にすごく感謝しており、最終的に死という結末になっても信頼があれば大丈夫ということを目の当たりにした。眼科は命とは直接関わらない診療科であるため、とても貴重な経験であった。
 研修も終盤に差し掛かり、どの診療科の研修も楽しかったが、最終的な進路は変わらなかった。しかし、今まで研修した診療科が1つでもかけていたら今の私はないと感じている。全ての先生、スタッフ、患者さんにたくさんのことを教えていただき、全ての経験が以前は関連がないと思っていた眼科と密接に繋がっていることを学んだ。他科研修を通してその科の先生達がどのようなことを思って眼科に依頼をかけるのか、依頼先の先生の対応が優しいとそれだけで1日幸せなことなど、初期研修というシステムがなければ気付かなかったことばかりである。他科依頼をかけてくださった先生方が何を見てほしいのか意図を汲めるような眼科医、そして行く行くは母と同じ、地域住民の目の健康を守る街の眼科医になりたい。将来、行う機会はもうないと思うが、今でも一番好きな手技は骨髄穿刺である。

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