槿花一日の栄とは - ことわざ・慣用句
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先頭が「き」のことわざ・慣用句の意味と読み方

槿花一日の栄(きんかいちじつのえい)

はかない栄華のこと。
槿花(ムクゲ)の花が朝に開いて夕方にはしぼむことから。
出典は白居易の放言詩。
なお、白居易の詩は儚いことではなく長短には何の意味もないことを詠っており、その意図するところは異なると思われる。

類義語
槿花一朝
槿花一日
槿花一日の栄
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慣用句
出典
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白氏文集・巻十五・放言五首

泰山不要欺毫末。顔子無心羨老彭。
松樹千年終是朽。槿花一日自為栄。
何須戀世常憂死。亦莫嫌身漫厭生。
生去死来都是幻。幻人哀楽繁何情。

泰山たいざん毫末ごうまつも欺くを要せず、顔子がんし老彭ろうほううらやむ心無し。
松樹しょうじゅ千年、終に是れ朽ち、槿花きんか一日いちじつ、自ら栄を為す。
何ぞもちひん世をしたひ常に死を憂ふるを、亦た身をいとみだりに生を厭ふこと莫れ。
生去せいきょ死来しらいすべて是れげん幻人げんじん哀楽あいらく何情かじょうかかる。

あの雄大な泰山は少しも拘泥するところなく、夭折した顔回は彭祖の長寿を羨む心無し。
松の木も千年すれば終には朽ち、むくげの花は一日にして自ずからその生を全うする。
いたずらに世をこいしみ死を憂う必要はなく、いたずらに身を嫌い生を厭う必要もない。
生死の去来はすべて幻、されば幻なる人が哀楽するは果たして何の情なのか。

大地も草木も大自然のままにある。
人にもまた大自然なる人がいる。
然るに、多くの人は生死を憂え名誉富貴に拘泥する。
人生は夢幻の如きなるに、人々が哀楽ばかりしているのはどういうわけなのだろうか。

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語句解説

毫末(ごうまつ)
毛の先。微小のもの。毫は細い毛の意。
顔回(がんかい)
顔回。春秋時代の魯の人。字は子淵で顔淵とも呼ばれる。貧にして道を楽しみ孔子に最も愛された。三十二歳で早世し、後に亜聖と尊称。
彭祖(ほうそ)
彭祖。太古の長寿者で堯の臣だったとされる。およそ800年生きたという伝説上の仙人。


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