体の調子が優れない時にランニングをすることで気分が良くなるという人もいれば、体を休ませるべきと考える人も。

そこで、風邪をひいているときの軽い運動の是非や取り組み方や、休むべき判断基準などについて、米ニューヨーク大学の女性スポーツ医学センターのディレクターを務めるコーディリア・カーター先生が解説します。

※体調に異変を感じる方は、新型コロナウイルスを含めた感染症の可能性あるものとして、感染症を拡大させないための行動をとる必要があります。新型コロナウイルス感染症に関する最新情報は、厚生労働省の公式サイトから確認できます。

※また、コロナ禍での運動については、スポーツ庁による「新型コロナウイルス感染対策 スポーツ・運動の留意点と、運動事例について」を確認ください。



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体調不良時にランニングをしても良いもの?

カーター先生によると、人によって免疫システムや風邪ウイルスの感染による影響、そして運動するべき頻度に差があるため、個人で判断することが重要とのこと。

「一般的に、風邪をひいているときに軽くランニングをするのは良しとされています。しかし、長さや頻度、強度を抑えることをおすすめします」

日常的にランニングを取り入れている人は、外で走りながら頭を冷やすことで、一時的に調子がよくなると感じる人もいるようですが、これは科学的に裏付けられているものではないのだとか。

一方で、ランニングをすることで鼻づまりの緩和作用があるアドレナリンが分泌されるので、風邪による息苦しさは和らぐそう。

「走ることで、鼻づまりの息苦しさから解放されるうえに、『幸せホルモン』の一種とされるエンドルフィンが分泌されて、気分がよくなることも期待されます」

カーター先生は、元々肺に疾患がある人や喘息気味の人は、風邪をひいているときにランニングをすると、それらの症状を悪化させる可能性もあるのでお勧めできないと指摘。代わりに、ヨガやウォーキングなどの、強度の低い運動を取り入れるのが◎。


身体を休ませるべき判断基準

体調が悪い時にランニングをするかしないかの判断材料として、「ネック(首)・ルール」というものがあるそう。

首から下の体の部位になんらかの症状(のどの痛みや胸の苦しさ、関節の痛みや、リンパ腺の肥大、悪寒など)を感じる場合には、ランニングを休むのが賢明。首より上に症状(鼻詰まりや頭痛など)がある場合は、軽いランニングなら問題ないそう。

体が弱っていたり、めまいや息切れを感じる際にも、基本的には無理をしないことが大切。また、食欲の低下や消化器官の不調など、風邪とは直接的な繋がりがないと考えられる症状があっても、無視せずに体を休めることを優先するべきだそう。

「体を動かした分の水分やエネルギーを補給するのが、体調の悪さによって難しいと感じるのであれば、それも体を休めた方がいいというサインです」
「運動を休むことで、ウイルスや菌から体を守るためのエネルギーを温存できます」

カーター先生は、自分がなぜ運動をするのかというゴールを明確にし、体調が優れないときにランニングをすることで生じるリスクに見合うかを考えることから始めるようアドバイス。まずは自分の身体や症状をしっかり把握し、無理の選択をするようにしましょう。

※この翻訳は抄訳です。

Translation: ARI

RUNNER’S WORLD