バードランドの子守唄

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バードランドの子守唄
song
ジャンルジャズ
作詞者ジョージ・デイヴィッド・ウェイス(B・Y・フォースター)
作曲者ジョージ・シアリング

バードランドの子守唄」(バードランドのこもりうた、Lullaby of Birdland)は、ジョージ・シアリングが作曲し、ジョージ・デイヴィッド・ウェイス英語版が、「B・Y・フォースター (B. Y. Forster)」という変名で作詞した、ジャズ・スタンダードポピュラー楽曲[1][2][3]

背景[編集]

ジョージ・シアリングは、ニューヨークジャズ・クラブバードランド」のオーナーだったモーリス・レヴィ英語版のため、「バードランドの子守唄」を1952年に書いた。レヴィはシアリングに、バードランドがスポンサーになるラジオのディスク・ジョッキー番組を始めるので、「毎正時に流れるような (to be played every hour on the hour)」テーマを録音してほしいと依頼した。当初、レヴィは自作の曲を録音することを望んでいたが、シアリングはその曲を上手く仕上げられないので、自分で曲を書きたいと訴えた。ふたりは、楽曲の権利を分け合うことで妥協し、シアリングが作曲者としての権利を保持し、レヴィが出版権を持つことになった[4][5]

後にシアリングは自伝の中で、この曲について「すべて ... 10分以内で (the whole thing [...] within ten minutes)」作曲したと述べている[4]

音楽的特徴[編集]

「バードランドの子守唄」は、32小節形式英語版をとり、原曲ではヘ短調(ないしは、変イ長調)である。この楽曲には短調の部分と長調の部分に同等の時間が割り振られている。コード進行は、 Iviii7V7 となっており、短調のバリエーションとして Iviø7iiø7V7 も用いられている[6]

スタンダード曲として[編集]

この曲は、発表当時から多くのアーティストたちによって取り上げられ、ジャズ・スタンダードとして多くのアーティストたちによって歌唱、演奏された。また、この曲を収録したアルバムのタイトルに用いられることもあり、

アルバムの冒頭にこの曲を収め、1954年に録音されたサラ・ヴォーンのアルバム『サラ・ヴォーン・ウィズ・クリフォード・ブラウン』(原題:Sarah Vaughan)は、オランダブラジルなどの再発LPでは『Lullaby of Birdland』と題された[7]。同じ1954年に、やはりアルバム冒頭にこの曲を収めたクリス・コナーのアルバムは『Sings Lullabys Of Birdland』と題された[8]1955年には、マリアン・マクパートランドもアルバム『Lullaby Of Birdland』を発表し[9]エラ・フィッツジェラルドも、少しだけ題名が異なるアルバム『ララバイズ・オブ・バードランド (Lullabies Of Birdland)』を発表した[10]1994年にリリースされたリー・コニッツ英語版バードランドにおける1991年ライブのアルバムも、『Lullaby of Birdland』と題された[11]

フランスのシンガーソングライターであるジャン・コンスタンティンフランス語版は、この曲にフランス語の歌詞「Lola ou La légende du pays aux oiseaux」(「ローラ、あるいは、バードランドの伝説」の意)を書いた[12]

日本語での歌唱[編集]

日本声優で、音楽活動もしている金丸淳一は、自ら日本語の歌詞を付け、「バードランドの子守歌」としてこの曲を日本語で歌い、アルバム『inspired colors』に収録した[13]

脚注[編集]

  1. ^ Jazz Standards Songs and Instrumentals (Lullaby of Birdland)”. www.jazzstandards.com. 2018年10月12日閲覧。
  2. ^ The Real Book (Sixth ed.). Hal Leonard. (2004). p. 256. ISBN 0-634-06038-4 
  3. ^ Lyons, Leonard (1983). The Great Jazz Pianists: Speaking Of Their Lives And Music. New York: W. Morrow. p. 94. ISBN 068801920X. https://archive.org/detazils/greatjazzpianist00lyon 2019年4月6日閲覧。 
  4. ^ a b Shearing, George; Shipton, Alyn (2004). Lullaby of Birdland. New York: Continuum. pp. 137–139. ISBN 9780826460158. https://archive.org/details/lullabyofbirdlan00shea 
  5. ^ Cimino, Al (1992). Great Record Labels. Secaucus, N.J.: Chartwell Books. p. 8. ISBN 1555217877. https://archive.org/details/greatrecordlabel00cimi 2019年4月6日閲覧。 
  6. ^ Lullaby of Birdland (1952)”. JazzStandards. 2019年4月5日閲覧。
  7. ^ Sarah Vaughan – Sarah Vaughan - Discogs (発売一覧)
  8. ^ Chris Connor – Sings Lullabys Of Birdland - Discogs (発売一覧)
  9. ^ Marian McPartland – Lullaby of Birdland - Discogs (発売一覧)
  10. ^ Ella Fitzgerald – Lullabies Of Birdland - Discogs (発売一覧)
  11. ^ Lee Konitz – Lullaby Of Birdland - Discogs (発売一覧)
  12. ^ https://www.worldcat.org/title/lullaby-of-birdland/oclc/780312506
  13. ^ バードランドの子守歌”. ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス. 2020年1月26日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]