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2024.04.02

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2024年度入学式を挙行

2024年4月1日(月)、青山キャンパスの青山学院記念館にて、2024年度入学式を執り行いました。
稲積宏誠学長がお祝いの式辞を、山本与志春院長が告辞を述べました。

稲積宏誠学長による式辞

稲積宏誠学長・式辞

ご入学おめでとうございます。
青山学院大学は皆さんを心より歓迎いたします。

気持ちを新たに、「青山学院大学の理念」を見てみましょう。
「青山学院大学は、〈青山学院教育方針〉に立脚した、神と人とに仕え社会に貢献する〈地の塩、世の光〉としての教育研究共同体である。」この〈地の塩、世の光〉は新約聖書マタイによる福音書からとられた言葉であり、学院のスクール・モットーともなっています。「本学は、地球規模の視野にもとづく正しい認識をもって、自ら問題を発見し解決する知恵と力を持つ人材を育成する。」ここでは、本学における教育がグローバルな視点を持つことが謳われ、受け身ではなく自ら学ぼうとする姿勢を重視していることが示されています。そして、その方法としては、「それは、人類への奉仕をめざす自由で幅広い学問研究を通してなされる」と続きます。

稲積宏誠学長による式辞

そこで、学問研究、そもそも学ぶということを改めて考えることにします。
2020年からのパンデミック、コロナ禍を経て、学びを大きく変えたのはオンライン授業と生成系AIの出現でしょう。
オンライン授業による学びの形態はいくつかありますが、最も注目したいのが、いわゆるオンラインを活用した反転授業の考え方です。学生はオンライン教材で事前に自ら学習する。それを踏まえてわからないところを解決する、さらに問題意識をもち、対面授業で演習等を行うといったやり方です。これは、まさに自ら問題を発見して解決していくという取り組みにつながる方法です。
一方、生成系AIとの付き合いは、これから最も重要な課題の一つと言えます。
生成系AIは、人が発するリクエスト・これをプロンプトとよびますが、それに対して大量のデータを用いて答えを出していくというものです。
生成系AIは、人が学び、その学びを活用するというモデルそのものですから、人が行った取り組み、判断などを徹底的に利用して、それをうまく未知の問題に適用するということに過ぎないとも言えます。ただし、それが実現されれば、人にとって最強のパートナーになれるはずです。
ここでは、この生成系AIを睨みつつ、自分たちの学びを振り返っておきたいと思います。できれば青学らしい学びを。なぜなら、皆さんは自らの成長を前提として、これから長きにわたりAIとは付き合っていかざるを得ないからです。
私はこんな経験をしたことがあります。
ある人と話をする機会がありました。そのときのことを心理学の専門家に「お互いに目を見て話をしているようではあるのですが、相手は別のところを見ているようで、何だか会話がすれ違っているように感じたのですが、どういうことなのでしょうか。」と話をしました。すると、「そうですか。。。心理学の理論に従うと、あなたがそう感じたのはやむを得ないでしょう」ということで、さまざまなアドバイスをしてもらいました。
もし生成系AIに会話パターンやその時の表情、視線などを教えてやると、この心理学の専門家と同じようなアドバイスをしてくれ、その人たちの特徴を事細かに説明してくれることでしょう。
一方、私はこれまで付き合ってきた多くの人たちとの経験から、ああこの人は。。。という印象をもったに過ぎません。したがって、そのようなタイプの人が共通の性格やさまざまな特徴をもっているということまでは理解していませんでした。ここが専門家とそうでない人の大きな違いです。
専門家の人たちは特に、多くの経験から何か一般的な・抽象的な概念を生み出そうとします。何とかの法則というようなものです。それを用いて未知の問題の解決につなげようとするわけです。これを繰り返すことで、知識が深まり、応用力が増すことになります。
残念ながら生成系AIも同じようなことを高速に行っています。
たとえば数式や方程式での表現も様々な現象を一般化・抽象化したものです。専門家たちは、数式を求め、それを使って、物理現象を、経済現象を、人の心理や行動パターンを説明します。
私たちがそれぞれの専門分野を学ぶということは、まさにこの具体化と抽象化のキャッチボールを繰り返していくことだと言えます。数式・記号化は表現方法の一つでしかありません。
たとえば、わかりやすい図やグラフを使えることも、抽象化する力があるということです。また、スポーツを含むさまざまな技能も同様です。理論もありますが、いろいろな人を見て、いろいろなことを試して自分なりのスタイルを確立します。でもそれを他人に説明する、教えることができるようになるにはさらに深い取り組みが求められます。このような言葉による説明も抽象化と具体化から実現されます。
専門分野の学びでは、まさに生成系AIと類似していますから、私たちは生成AIと協同していくことが必須となるでしょう。しかし、人と人とのコミュニケーションを考えると、少し異なる見方ができます。

みなさんは、人から説明を受けるときに、「例えばどんなこと?」と聞き返すことがありませんか。そのときに、相手にわかりやすい例を使って説明できると、決定的に相互理解が進みます。そのようなことを実現するためには、いかに問題意識をもって自分自身が抽象化と具体化を繰り返して考えてきたかが問われることになります。このことは分野には全く関係しない共通の学びのスタイルだと思います。
これからの学生生活、自分の好きなことに思いきりチャレンジできる、とても豊かな時間に満ち溢れています。そのなかで、青山学院大学の学生は、どの分野を専攻する学生であっても、人にわかりやすく説明することができるような真のコミュニケーション能力をもった人だと言われるようになってもらいたい。このことを専門分野によらず皆さんにとっての共通のゴールにしてください。これが青学らしい学びの姿の一つだと私は思います。

入学にあたり、今お話しした学びのスタイルを頭の片隅に置いていただき、充実した学生生活を送り、大きく成長してください。

あらためて、ご入学、おめでとうございます。

山本与志春院長による告辞

式次第

■前 奏
■讃美歌 讃美歌 21 17 番「聖なる主の美しさと」
■聖書朗読 (旧約)箴言 第15章30~33節
      (新約)テサロニケの信徒への手紙 一第5章 16~22 節 (大学宗教部長 大宮 謙)
■祈祷
■合唱 「希望と祈りと」
■式辞                             (学長 稲積 宏誠)
■告辞                             (院長 山本 与志春)
■校歌
■祝辞                             (大学後援会副会長 木村 豊)
■ご来賓・法人役員・大学役職員紹介
■讃美歌 讃美歌 21 394 番「信仰うけつぎ」
■祝祷                             (学院宗教部長 伊藤 悟)
■アーメン唱
■後奏

山本与志春院長による告辞

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