The Devil and Daniel Webster/All that money can buy

ジェイブズ・ストーンは借金漬けの農夫で農地も抵当に入っていた。
借金の返済期限が来て行き詰った時、スクラッチという男が現れて「魂を私にくれれば七年間裕福に暮らすことができる」と提案した。
借金を返し以降は順風満帆であった。だが妻とは不仲になり、また非人情な人間になってしまった。
そして七年の期限が迫って来た。


映画関連目次(闇雲映画館)

製作年:1941、監督:William Dieterle、脚本:Dan Totheroh、Stephen Vincent Benet、原作:The Devil and Daniel Webster(1936、Stephen Vincent Benet)


■ はじめに

登場人物(キャスト)
 ジェイブズ・ストーン(ジェームズ・クレイグ) 農夫
 メアリー・ストーン(アン・シャーリー) 妻
 ジェイブズの母親(ジェーン・ダーウェル)
 ダニエル・ストーン(リンディ・ウェイド) ジェイブズとメアリーの息子
 ベル(シモーヌ・シモン) メイド

 ダニエル・ウェブスター(エドワード・アーノルド) 下院議員、弁護士
 スクラッチ(ウォルター・ヒューストン) 悪魔
 マイザー・スティーヴンス(John Qualen)
 ジョン・ハソーン判事(H. B. Warner)

アン・シャーリーは元は「ドーン・オディ」と言う名前で子供のころから映画出演していた。「(1934)赤毛のアン/Anne of Green Gables」に主演して名前を変えた。爽やかなキャラクターで切れ味の良い演技をする。

 


■ あらすじ

◆ ジャベズ・ストーン

1840年、ニューハンプシャー州に住む農夫のジャベズ・ストーン。母親と妻のメアリーと暮らしていた。

実直な男だが貧乏である。マイザー・スティーヴンスというやはり農夫の男に金を借りている。スティーヴンスは金回りがいいようである。

自分の土地を借金の抵当に差し出している。

さて返済の期限が迫ってきている。

◆ 借金の返済ができない

返済の当てはないので蓄えている種子を渡すことにする。

納屋で種子を荷馬車に積み込む作業中、メアリーが荷馬車から落ちてケガをした。種子の袋が破れ種子が毀れて泥の中に落ちた。

幸いメアリーのケガは大事にはいたらずに済んだ。だが種子がダメになってしまい返済ができない。

◆ 魂を売って金が入った

そこにスクラッチと称する人物が現れた。人相は少々悪いがニコニコと笑い、手をモミモミしている。

彼は驚くべき提案をした。「魂を私にくれれば七年間裕福に暮らすことができる」。

スクラッチは実は悪魔なので、ジャベズは慎重に考えるべきなのだが、目の前の返済が気がかりなので、スクラッチが出した契約書にサインをした。

スクラッチが渡した袋には多額の金が入っていた。

◆ ジャベズは金持ちになった

ジャベズはその金でスティーヴンスに借金を返した。土地も抵当から外れた。

みなさんにこっそりと教えておけば、実はスティーヴンスもスクラッチと契約をしていたりする。

それからは付近の農家が不作でもジャベズの農地では豊作。またいろいろ幸運が重なり、瞬く間に財産が増えて行った。

周囲の農家に金を貸して、その利子でも稼いだ。大きな屋敷も立てることができた。

◆ ジャベズは変わってしまった

スクラッチと契約した直後に時間軸を戻す。

ベルという女性が訪ねてきてメイドに雇った。またメアリーが妊娠しダニエルという男児が生まれた。ダニエルの名前は当地の弁護士で上院議員のダニエル・ウェブスターの名前を拝借した。

ベルは実はスクラッチの手下である。ベルに心を奪われたジェイブズは浮気して、大事なメアリーと不仲になった。

また貸した金をビシビシと取り立てる非情な男になった。

さらにジャベズの財産は増えて行った。

◆ 契約の期限が来た

ジャベズの屋敷でバーティが開かれた。ベルは怪しい人物を多く連れてきた。

またスティーヴンスも出席した。彼はジャベズより少し先にスクラッチと契約しており、すでに七年の期限である。

映画的には彼の契約がどうなったかは重要な問題ではない。ジャベズの期限ももうすぐである。

スクラッチが登場してジャベズに提案した。「契約期限を延ばすので、息子の魂をくれ」。

◆ 契約を拒否した

大金持ちになったとは言っても幸福な人生ではない。ジャベスは更新を拒否した。

すると場面が転換し、パーティに来ていた多くの人が消えて、スティーヴンスの死体が転がっていた。

ジャベズはスクラッチと契約した納屋の柱に張り付けてある契約期限の札を書き換えようとしたができなかった。

◆ 裁判が開かれた

契約更新を拒否したので裁判が開かれる。この裁判は人間の世界の裁判ではない。悪魔の世界の裁判である。

すでに死亡している悪名高い悪人たちが呼び出されて検事と陪審員になった。

判事はセイラム魔女裁判の判事の一人のジョン・ハソーンである。

ジェイブズの有罪は必至の情勢である。

弁護士はジェイブズが選ぶことができる。ウェブスターに頼むことにした。

ウェブスターと検事の間で激論が戦わされた。両者の大きな声が法廷を揺るがした。

だが次第にウェブスターの論理が優勢となり、検事の声は小さくなり黙りこくった。

検事の反論がなくなったので判事は陪審員団に判断を求めた。いずれ劣らぬ悪人たちではあるが、疑問の余地なくジェイブズは無罪となった。

◆ ラスト

ジェイブズは良心とメアリーの心を取り戻した。

さてスクラッチはどうしているかと言えば、森の中に行き、最初は落胆していたが、自分の手帳を取り出しページをめくっていった。

しばらくしてニヤリとした。次のターゲットが決まったようである。
 


■ 出演作

◆ アン・シャーリー
(1943)陽気な女秘書/Goverment Girl
(1937)ステラ・ダラス/Stella Dallas
(1943)ブロンドの殺人者/MURDER, MY SWEET
(1935)周遊する蒸気船/Steamboat Round the Bend
(1943)書き換えられた保険証書/Lady Bodyguard
(1941)解雇されアパートを追われたが幸運が舞い込んだ/Unexpected Uncle