ムーンライダーズ『LIVE at HIROSHIMA KENSHINKODO 1980. 10. 11』 - tyunne’s blog

ムーンライダーズ『LIVE at HIROSHIMA KENSHINKODO 1980. 10. 11』


ムーンライダーズの1980年リリース作『カメラ=万年筆』のリリース直後のライブ音源。ずっと聴けずにいましたが、今回やっと手に取りました。

 

『カメラ=万年筆』はムーンライダーズニューウェーブに舵を切った実験作ですが、振る舞いの過激さの割には楽曲はいいものが多くて、そのバランス感覚が絶妙のアルバムとなっています。最初に聴いた時にはつんのめった感じに若さを感じましたが、やっぱり曲がいいのが決定的で、結局はよく聴くアルバムになりました。存在価値がその後何度も再評価され、2020年には全曲再現ライブまで行われた。その内容も非常に良かったんですが、当時のライブも非常にいい。

 

もっと性急な荒っぽい演奏を想像していたんですが、意外と、というと失礼ですが、とても演奏が安定している。元々演奏力の高いバンドですが、この作品の再現率はとても高い。なぜかと考えると、ニューウェーブは人力だからだと思います。まだこの時点でコンピューターによる音作りまではいっていないので、作品は力技で演奏していて、むしろスピリットが斬新だということですね。

 

過去作品の再解釈もなされていますが、全体的には勢いがあってかつ演奏力の高いライブ音源となっています。安心して聴けるライブでした。しかし『カメラ=万年筆』という作品は本当に様々なバージョンで楽しませてくれるアルバムですね。