元日本代表FW岡崎慎司が今季限りでの現役引退を発表

• ベルギーのシント＝トロイデンで今季を終えたあとスパイクを脱ぐ

• 日本代表では歴代最多の50ゴールを記録、FIFAワールドカップ3大会に出場

• プレミアリーグ初制覇の歴史的快挙を成し遂げた“ミラクル・レスター”の一員

ベルギー1部のシント＝トロイデンVVに所属する元日本代表FW岡崎慎司が、2023/24シーズン限りで現役生活を引退することになった。26日に所属クラブおよび本人から発表が行われている。 今年4月の誕生日を迎えると38歳になる岡崎。これまで所属した各クラブでも、そして日本代表でも記録と記憶の両方に残る活躍を残したストライカーの引退は、世界中の多くのファンから惜しまれることになりそうだ。

「今シーズン限りで引退する事に決めました。サッカー選手として今まで全力を尽くしてきたけど、気付いたら体がボロボロで、そして自然と自分に限界を感じました。このクラブに来た事、このクラブで引退を決意した事は運命だと感じています。シーズンが終わったら改めて引退について話が出来たらと思います。シーズン最後まで復帰を目指しながらチームに貢献できるよう頑張ります。応援してくれる人に正直でいたくて、クラブと話をして早くに発表させてもらいました。最後は自分を応援してくれた人の為にも頑張ります」と、岡崎はクラブを通して引退発表のコメントを述べている。 岡崎は滝川第二高校から2005年に当時J1の清水エスパルスに入団してプロキャリアをスタート。徐々に出場機会を増やして主力メンバーとして定着し、2008年にはU-23日本代表として北京五輪出場を果たしたあとA代表デビューも飾るなど、日本を代表する若手フォワードとして頭角を現してきた。 2011年1月にはドイツ・ブンデスリーガ1部のシュトゥットガルトへ移籍して欧州での挑戦をスタート。2013年に移籍したマインツでは1年目にリーグ戦15得点を挙げる活躍を見せ、この数字は岡崎にとってキャリアハイであるとともに、現時点で日本人選手が欧州5大リーグで記録した最多の年間得点数となっている。

そして、クラブレベルでの実績として日本のみならず世界のファンの記憶に最も強く残るのは、やはりレスター・シティで成し遂げた偉業だろう。プレミアリーグ移籍1年目の2015/16シーズンからレギュラーとして起用され、サッカーの歴史上最大のサプライズのひとつと言えるレスターのプレミアリーグ初優勝に貢献。このシーズンの得点数は5点と決して多くはなかったものの、味方選手のプレーを助ける献身的な動きや前線からの激しい守備などを含めた全般的な働きぶりは、レスターの快挙に欠かせなかった要素として高い評価を受けた。 日本代表では2008年から2019年にかけて歴代5位、FWの選手としては歴代最多の119試合に出場。クラブ以上に高い得点力を発揮し、釜本邦茂（75得点）、三浦知良（55得点）に次ぐ歴代3位の50得点を記録した。近年の日本代表は過去の時代と比較すれば世界の舞台で戦う機会が増え、よりレベルの高い対戦相手との試合の割合が高まっていることを考えれば、この数字の持つ価値はさらに大きいとも言えるだろう。 2010年、2014年、2018年と3度のFIFAワールドカップに日本代表として出場し、そのうち2度のノックアウトステージ進出に貢献。2010年大会のデンマーク戦、2014年大会のコロンビア戦でそれぞれ1ゴールを挙げた。ワールドカップの複数大会でゴールを記録した日本人選手は、岡崎以外には本田圭佑（3大会で計4得点）しかいない。

4年間在籍したレスターを離れたあとも欧州での新たな挑戦を求め続け、スペインではウエスカのラ・リーガ1部昇格に貢献。昨季はシント＝トロイデンでレギュラーとしてプレーして健在ぶりを見せた。今季は出場機会が減少しているが、残りわずかな期間となる現役生活で最後の輝きを放つ場面が訪れることを期待したい。