香港日本語教育研究会
月例会発表概要

今すぐ使える―私の実践―


香港日本人補習授業校
北上 哲子

第一日語暨文化學校・香港理工大学院生
盧 偉傑

香港專業進修學校HKCT・Sino College・香港理工大学院生
王 美婷

香港理工大学院生
林 曉穎
許 俊傑
繆 頌禮


要旨:

7月の月例会では、「今すぐ使える―私の実践―」と題して、実際に授業で使ってみてうまく行った自作教材や教室活動を発題者に共有していただくことを目的に、公募という形で会員の皆様から応募いただきました。本月例会では3つの異なる香港の現場での実践について参加者のみなさんと意見交換できればと考えております。

以下、それぞれの発表の要旨です。

発表1:「香港日本人補習授業校幼稚園部における日本語指導」
     北上 哲子(香港日本人補習授業校)


香港日本人補習授業校(以下、補習校とする)では、2011年4月より、幼稚部(年長組)が、2013年4月より、幼稚部(年中組)が開設され、4歳児がクラス活動を通して、母国語としての日本語、日本文化を学習している。

本発表は補習校における、幼児の活動カリキュラムの現況を紹介し、学習内容や教材等の質的な向上の可能性を探っていきたい。国語的要素に関しては、香港で日本語を教える日本語教師の意見を集め、補習校の限られた時間の中で、よりよい指導をしていくための手がかりを考察したい。

発表2:「楽々旅行のための会話教材」
     盧 偉傑(第一日語暨文化學校・香港理工大学院生)


香港で日本語を学ぶ学習者は日本語能力試験のために学ぶことが多く、会話をする機会が少ないため、授業で学習した文法や語彙を実際に使う機会はほとんどない。そのため、日本語能力試験2級に合格していても、日本語の知識はあるのだけれども、日本語を話すことができない学習者が多くいる。そこで、そのような2級に合格している学習者のための会話教材を作成し、学習者の日本語で話す力を引き出し、日本語で話せるという自信を持たせるような授業を開発することにした。本発表では、香港の学習者向けに開発した授業実践を紹介し、参加者からの有意義なコメントをいただければと考えている。

発表3:「教科書とは違う日本語-より“自然な”日本語を紹介するビデオ教材の開発-」
     王 美婷(香港專業進修學校HKCT・Sino College・香港理工大学院生)
     林 曉穎(香港理工大学院生)
     許 俊傑(香港理工大学院生)
     繆 頌禮(香港理工大学院生)


これまで日本語を学習したり、香港の学習者を対象に日本語を教えてきた経験から、香港で使用されている教科書の多くに現れる日本語の表現はやや硬く、言葉遣いをあまり詳しく説明していないことに強く問題意識を抱いてきた。また文法的な知識を中心としているため学習者の会話能力や流暢さをあまり重視していないところがある。そこで、香港の日本語学習者に日常的に使われる日本語の表現や語彙などを紹介するため、ビデオ教材を作成することにした。本発表では、まず、ビデオ教材開発の背景と目的を概観した上で、ビデオ教材の一例を紹介する。そして、本教材を授業で視聴した学習者のコメントなどを考察し、このようなビデオ教材の可能性について参加者とともに考えたい。