あいさつ|東京女子医科大学 血液内科

あいさつ

前教授挨拶

田中 淳司 前教授
東京女子医科大学血液内科は他大学に先駆けて1973年から独立した血液内科として診療を開始しています。そして2013年4月から私が第3代教授・講座主任としてこの伝統ある血液内科学講座を主宰させて頂いております。 東京女子医科大学は山手線の真ん中の新宿区河田町にあり、700床以上を有し1日の外来患者数が3,000名を超える日本でも有数の規模を誇る大学病院です。血液内科は中央病棟の最上階11階に27床(うち9床が無菌個室)を有しています。

血液内科では白血病、骨髄異形成症候群、悪性リンパ腫、骨髄腫のような造血器悪性疾患などと、非悪性疾患である溶血性貧血をはじめとする各種貧血、特発性血小板減少性紫斑病、再生不良性貧血など血液疾患全般の診療を行っています。そのなかでもやはり女子医大病院では造血器悪性疾患が多く化学療法、分子標的療法、造血幹細胞移植を積極的に行っています。
私たち大学病院で働く医師の使命は一人一人の患者さんの診療を大切にすると同時に最先端の臨床研究・基礎研究を推進し世界の医療に貢献することです。

血液疾患は全身性疾患でもあるため血液疾患診療を通じて循環器、消化器、呼吸器、代謝・内分泌、腎臓、膠原病、脳神経疾患など内科全般に関わる総合診療能力を身につけることができます。また白血病などの血液疾患は一昔前は不治の病と言われていましたが、最近は化学療法や造血細胞移植療法などの目覚ましい発展によって根治可能な疾患となってきました。血液内科医は白血病などの診断から化学療法そして根治を目的とした造血幹細胞移植に至るまで責任を持って患者さんファーストで診療しなければなりません。苦労が少なからぬ診療の中で内科的治療によって従来は不治の病と言われていた白血病などの造血器悪性疾患を治癒に導くことができるという成果は、血液内科医にとってまさに「やりがい」です。また血液疾患は腫瘍細胞などが比較的入手しやすくトランスレーショナルリサーチにも向いた領域であり「From the bench to the bed side」を実践することができます。日常診療のなかで浮かび上がってくる疑問・問題点を臨床研究・基礎研究を通じて解決し、その成果を臨床の現場に還元して行くことこそが私たち血液内科医の責務であるとともに喜びでもあります。血液内科はけっして「楽な科」ではありませんが、努力した分だけやりがいがあり女性医師にも適した科であると思います(ちなみに当科医師の過半数は女性医師で、妊娠・出産後もほとんどの先生が大学病院に職場復帰してくれています)。

我々は日々、一人でも多くの難治性血液疾患患者さんの治癒を目指して診療に邁進しています。今後も難治性血液疾患患者さんための化学療法や移植療法さらには新しい細胞療法・分子標的療法を発展させるために医局員一同一致団結して精進していきたいと思っています。

難治性血液疾患患者さんの治癒を目指した血液内科診療に、情熱と使命感にあふれる皆さんの参加を心よりお待ちしています。

 

東京女子医科大学血液内科学講座
前教授 田中 淳司