1.腰痛が起きる仕組み
腰痛が起こる原因には、次のものがよく知られています。
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・パソコンやスマートフォンによる作業
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・猫背の姿勢
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・前かがみの動作
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・腰を反らす姿勢
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・心理的ストレス
近頃では、パソコンやスマートフォンを使う方が増えてきました。そういった方は腰が丸まって前かがみになっていることが多く、背中の筋肉が緊張している状態が続きやすくなっています。
逆に、腰を反らした姿勢も負担がかかる原因となるため、注意しなければなりません。
前かがみになっても腰を反らした状態になっても、背骨にある髄核と呼ばれる部分がずれてしまうため、腰痛を引き起こすことがあります。髄核とは、背骨の間でクッションの役割を果たす、椎間板の中央にある組織のことです。
物理的な腰への負担以外に、心理的ストレスが腰痛の原因となることも少なくありません。心理的ストレスが溜まると、人間は痛みを感じやすい状態になってしまうのです。また、ストレスによってドパミンの分泌量が低下し、自律神経のバランスが乱れて腰痛になることもあります。
2.腰痛に効果が期待できる運動
腰痛が起こる仕組みは把握できましたが、どのような運動をすることで腰痛は改善できるのでしょうか。ここからは、腰痛の原因や種類に応じて3つの運動を紹介します。
2-1.体が反りすぎている場合
体が反っていることが原因で腰痛が出る場合は、腰をかがめる運動を行ないましょう。
この運動を行なう際は、椅子に座って両方の足を軽く開いてください。息を吐きながら、ゆっくりと背中を丸めていきます。丸めた状態で3秒間維持したら、ゆっくりと元の姿勢に戻しましょう。この動作を1~2回行ないます。
2-2.前かがみの姿勢が多い場合
パソコンやスマートフォンなどの影響で前かがみになることが多い方は、腰を反らす運動を行ないましょう。
まずは足を軽く開き、膝は曲げずにそのまま上体を反らしていきます。反らすときはゆっくりと息を吐いてください。最大限まで反らした状態で、3秒間キープします。これを1~2回繰り返しましょう。
2-3.腰の片側に違和感がある場合
腰の片側のみに違和感がある場合は、左右の髄核のずれを整える運動が効果的です。
やり方は、まず肩の高さで壁に手をつきます。腰を壁に向かって押し込むようにし、もし痛みがあれば我慢できる範囲で腰を曲げてください。腰を曲げるときは、息を吐きながら行ないましょう。これを痛みの左右差がなくなるまで繰り返します。
3.腰痛に関連する筋肉に働きかける運動
次に、腰周りにある筋肉に働きかける運動を紹介します。
3-1.筋肉を鍛える運動
腰回りの筋肉を鍛えるためには、腹筋体操と背筋体操が効果的です。それぞれ10回を1セットとし、一日2セット以上を目安に行なってください。
3-2.筋肉をやわらかくする運動
腰回りの筋肉をやわらかくする、腰・背中のストレッチと太ももの裏側のストレッチも行ないましょう。こちらもそれぞれ10回を1セットとし、一日2セット以上行ないます。
運動で腰痛を改善しましょう
腰痛は、腰が前かがみになったり反り腰になったりすることで起こるものです。このほか、心理的ストレスが原因となることもあります。
体が反っている場合は腰をかがめる運動を、前かがみになることが多い場合は反らす運動を行ないましょう。こまめに運動を行ない、髄核のずれを戻してあげることが大切です。
監修者情報
氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医