第三十四回コラム:隣にいる人が突然意識を失ったら・・・ | 成人医学センター

コラム

隣にいる人が突然意識を失ったら・・・

2012.08.01

循環器内科 医師 平田 真美

 今回は皆様にもぜひ知っておいていただきたい基本的な救命措置、BLS(Basic Life Support)についてお話しします。

 BLSとは、目の前で倒れた人や意識を失っている人にその場に居合わせた人が救急隊到着まで行う心肺蘇生(CPR: Cardio Pulmonary Resuscitation)のことです。ご家庭で、仕事場で、または通勤やお出かけの途中で、目の前の人が急に意識を失うことがあるかもしれません。意識障害の原因は様々です。真夏に起こる熱中症や糖尿病治療中の方の低血糖発作、てんかん発作や脳出血、心筋梗塞や不整脈発作などいろいろとあります。突然の意識障害をきたす疾患は重篤なものが多く、緊急の救命措置が大切です。大切なご家族、ご友人、ご同僚、そして通りがかりの知らない方の命を救えるのはそばにいる貴方です。万が一の場合、とっさの行動がとれるよう、今日はまず、このコラムを読んでいただいて、イメージトレーニングをいたしましょう。

心臓マッサージ(胸骨圧迫)の方法

 胸の中央、胸骨の上に利き手の掌の付け根を置き、もう一方の手を上から重ね、指を組み、真上から押します。胸が5㎝程沈むくらいの強さで1分間に100回以上の速さで連続して押します。力が伝わるよう、倒れた人の体の下にやわらかい物がないようにします。しかし、1分間に100回といっても、なかなかイメージが湧きませんよね。アメリカ心臓協会 (American Heart Association, AHA) では、昔のディスコミュージックの“Staying Alive”のリズムで行いましょうとキャンペーンしています。手だけで行える、わかりやすくて楽しいビデオがあるので下記のインターネットサイトを参考にされ、ビデオをご覧ください。
 尚、上記の方法は成人、中学・高校生以上の子供が対象です。
 小さなお子さんのいる御家庭は、下記のインターネットサイトなどを御参照になり、御確認下さい。

人工呼吸について

 見ず知らずの方に口をつけるのはためらわれますよね。最近は直接口をつけずとも息を吹き込めるシートやマスクがあります。もし、あれば利用しましょう。空気中の酸素の割合は21%ですが、呼気中にも約16%はあるので人工呼吸は有効です。

 人工呼吸をすることができない場合は、心臓マッサージを続けるだけでも、十分効果的です。アメリカ心臓協会 (AHA)でもHands-Only CPRといって、まずは心臓マッサージだけでも救命措置を行いましょうとキャンペーンをしています。