林檎製作所の815系(仮組み)|佐々木大悟 Dai-Go-Sasaki
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林檎製作所の815系(仮組み)

 長く塩漬けにしてきた林檎製作所の815系キットを、ふと思い立って作り始めてみた。

 キットの発売は2009年。この時期、プラ製Nゲージキット発売にチャレンジする中小規模メーカーが増えていた。長年ブラス製「車体素材」で腕を鳴らした青森のメーカー・kitcheNもその一つで、新ブランド「林檎製作所」の第1作がこの815系と同時発売の817系である。

 業界大手であるグリーンマックス(以下「GM」と表記)のキットであれば、台車や動力装置など、走るNゲージとして完成させるすべての部品がメーカー純正部品でサポートされる。
 一方、21世紀になってプラキットに参入したメーカーの多くは、車体だけをオリジナルの部品とし、走行系の部品については完成品メーカーを含めた大手メーカーの部品に頼る形とする、いわゆるサードパーティーだ。

 この815系キットもその例外ではないのだが、ユニークな点がひとつある。

 他のメーカーでは完成形の「想定解」があって、流用する大手メーカーの部品を指定していることが多い。例えば「T社の○○系用△△台車を使用」という感じだ。
 ところがこの815系の場合、発売時点で想定しうる全ての動力ユニットに対応。その選択肢によって固定爪などの調整・取捨選択が必要で、説明書にもそれぞれのケースに対して懇切丁寧な指示が記されている。

組み立て説明書はGM、鉄コレ、TOMIX、KATOそれぞれの動力ユニットに対応。トレーラー車の車高も動力車に合わせて調整できる。膨大な数のデカール位置指定もあってA3用紙2枚の超大作だ。

 発売から15年たった2024年の世界には、GM製コアレスモーター動力ユニット、KATOの211系用スロットレスモーター動力などさらなる選択肢がある。さすがに考えあぐねてしまうので、とりあえずトレーラーから仮組みを始めた。それがタイトルカットの写真である。

 実は動力・走行関係以外にもユーザーの加工が必要な個所があって、前面スカート上部の「縦補強」を削るように説明書で書かれている。
 この他にもバリ取りなどプラキット組み立てに必要なスキルを要求される場面があり、メーカーみずから記すように、初心者向けとは言い難い。
 それをクリアできるのであれば、部品同士の合いに問題はなく良いキットともいえる。

 クーラーだけは雑誌作例に流用してしまったので、GM製817系用のバルクパーツに交換している(径の小さい方の取付穴を車端側に0.5mm強ほど拡大するとハマります)。

前頭部スカートのビフォーアフター。カプラー寄りの縦長モールドも削り取っているのは、オーバースケールな表現だったのと、カプラーを通す開口部の幅を狭めようという思惑から。

 さて、815系の方は着手したからまだいいけど、同時購入した817系の方はどうしたものやら。改造ネタも含めてGMと鉄コレで完成品が出尽くしてるワケで……。

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