イギリスでもロイ・ウッドを再評価する動きがあるようで、このベスト盤はその一環として計画されたものです。本来はEMIから1枚、EMI以降で1枚のCDを出すはずだったのですが、EMIからのリリースが遅れたため、パート2が先行した形になりました。ロイ・ウッドといえば、ムーヴ時代やウィザード時代のヒット曲(Blackberry Way、See My Baby Jive、I Wish It Could Be Christmas Everyday)が有名ですが、これらの曲はこのCDには入っていません。ですから、ヒット曲をということでいえばパワー不足に感じるところは否めません。ですが、Angel Fingers、Rock & Roll Winterをはじめ、やはりロイらしいポップな楽曲はたくさん含まれていますし、70年代後半から80年代の曲もカバーされています。
さらにこの製品の売りは、可能なかぎり良質の音源を求めたところです。実をいえば、ロイ・ウッドのコンピレーションとしてはExotic Mixtureという、これまたファンにはたまらない品があるのですが、このCDの難点はマスターテープのリサーチが不充分で、ダビングを重ねたマスターを使用したりしていました。本作はそれを改め、可能なかぎりオリジナルテープを発掘(いくつものレコード会社に音源が分散していたので、かなり大変な作業だったそうです)してそこからリマスタリングを行いました。そのため、音質面でも改善がなされています。
再発が計画されながらのびのびになっているOn The Road Again収録曲や、これまでなかなかCDにならなかったO.T.T.などの曲もファンには嬉しい選曲かも知れません。初めてロイ・ウッドを買う人にはムーヴ時代やEMI音源が入っているベスト盤をむしろお勧めします。