Willie Dixon – Hidden Charms (1988)|𐭌𐭓𐭌𑁦𐭌𐭓𐭌𐭓
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Willie Dixon – Hidden Charms (1988)

 多作なソング・ライターとして知られるWillie Dixonは、ベース・プレイヤーやプロデューサーとしても活躍した。シンガーとしては1960年代にMemphis Slimと組んでアルバムを作り、70年代には社会派な作品も生んだが、晩年の『Hidden Charms』こそがDixonの最高傑作である。
 アルバムは実にシンプルだ。リストには往年に書かれた名曲が並び、ギターとハープをフィーチャーした伝統的なシカゴ・スタイルをバックに、Dixonは魅力的な低音の効いたボーカルでそれらを歌い上げている。「Study War No More」は彼の孫であるAlex Dixonと共作したナンバーだが、曲調そのものは大ヒット曲の「Spoonful」を思い出させる。
 しかし、『Hidden Charms』には間違いなく、時代を超えたみずみずしいサウンドがある。「I Cry For You」や「I Do The Job」ではハーピストSugar BlueとギタリストCash McCallが脂の乗ったプレイを聴かせ、プロデューサーのT-Bone Burnettはいぶし銀のドブロで本作に貢献する。だが特筆すべきはDixonと同世代のLafayette Leakeで、「Good Advice」の明るいスイング・ピアノには思わずうっとりしてしまう楽しさが満ちている。
 「Jungle Swing」はブルースの元であるハラーのような雰囲気を湛えた暗くシンプルなアレンジで、Dixonの迫力と渋みが特に活きた曲である。一方、「I Love The Life I Live, I Live The Life I Love」はまるでDixonの人生を象徴するような歌で、偉大なブルースマンのキャリアを総括するにはうってつけの一曲だろう。