韓国料理とも朝鮮料理とも違う…!? 新大久保「延吉香」で味わう“朝鮮族”料理の「甘辛の魅惑」(近藤 大介) | 現代ビジネス | 講談社(4/5)


韓国料理とも朝鮮料理とも違う…!? 新大久保「延吉香」で味わう“朝鮮族”料理の「甘辛の魅惑」

進撃の「ガチ中華」#11
近藤 大介 プロフィール

「朝鮮族の紅」のネムセ!

延吉香の話に戻る。冷菜の一皿目、「牛板筋」が運ばれてきた。う~ん、ネムセ!(香り)。これぞ、張助教授が誇っていた「朝鮮族の紅」である。

「朝鮮族の紅」が香る牛板筋
 

朝鮮族料理は、韓国料理、もしくは(北)朝鮮料理と何が違うのか? 私が問うと、張助教授は、「あくまでも個人的見解だが」と断って、こう述べた。

「韓国料理は激辛で、(北)朝鮮料理は水辛い。それに対して、われわれ朝鮮族の料理は、甘辛い。これらは、似て非なるものだ。同様に、朝鮮民族というのは、日本では、韓国と北朝鮮に住む人々のことだと思っているだろうが、それは違う。どっこい中国にも、似て非なる200万人もの朝鮮族が生きているのだ」

冷菜の二皿目は、「老虎菜」。 

夏にもってこいの冷菜「老虎菜」

中国で「香菜」(シアンツァイ)と呼ばれるパクチー(コリアンダー)と長ネギ、キュウリを「甘辛く」和えた一品だ。

口中に「サッパリ感」が広がっていく。まさに、蒸し暑い夏の夜にピッタリの冷菜だ。冬は零下20度前後まで下がる朝鮮族自治区も、夏は蒸し暑いのである。

さて、温菜は「麻辣豆花牛肉」。こちらは大皿で、堂々たる風格だ。

牛肉が柔らかい大皿の「麻辣豆花牛肉」

やはり甘辛の味付けで、あんかけはスープとして飲むこともできる。そして、惜しげもなくぶち込まれた牛肉片は、とろとろの柔らかさ。朝鮮族のサナイ(精悍な男)たちは、この大皿をペロリと平らげるのだ。

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