近年、システム開発は企業にとって必須の課題となっています。
しかし、社内にリソースや体制が整っていない中小企業にとって、開発は大きな負担です。
また、いざ開発を始めようとしても、「手続き型プログラミング」と「オブジェクト指向プログラミング」の違いに迷ってしまう方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、システム開発を成功に導くための重要な要素である「手続き型プログラミング」と「オブジェクト指向プログラミング」の違いについて、わかりやすく解説します。
この記事では、具体的な例を用いて説明しているので、プログラミング初心者の方でも理解しやすい内容となっています。
システム開発を成功させるためには、自社のニーズに合ったプログラミング言語を選択することが重要です。手続き型プログラミングとオブジェクト指向プログラミングの特徴を理解し、それぞれの特徴を活かせるようにしましょう。
手続き型プログラミングとは?
「そもそも、システム開発って難しそう」「専門知識が必要で、自社では難しい…」
そんな風に感じていませんか。
実は、プログラミングには様々な種類があり、初心者でも比較的取り組みやすいものも存在します。
その代表格が「手続き型プログラミング」です。
手続き型プログラミングは、プログラムを細かい手順に分解し、順番に実行していくプログラミング手法です。
一つ一つの手順を明確に記述することで、プログラムを分かりやすく、効率的に作成することができます。
手続き型プログラミングの基本情報
1950年代から利用され、C言語やCOBOLなど多くの言語で採用されてきました。
近年はオブジェクト指向プログラミングが主流ですが、プログラミングの基礎を学ぶ上で手続き型プログラミングは非常に重要です。
業務システムや組み込みシステムなど、処理の流れが明確なプログラム開発に適しています。
具体的には、以下のようなシステム開発に用いられます。
- 顧客管理システム
- 商品管理システム
- 経理システム
手続き型プログラミングの概要
手続き型プログラミングは、3つの要素を組み合わせることで、様々なプログラムを作成することができます。
1つ目の要素は「変数」です。データを一時的に記憶する場所です。数値や文字列、リストなど様々なデータ型が存在します。
2つ目の要素は「演算」です。データの計算や比較などの処理を行うことです。
足し算や引き算、掛け算や割り算などの算術演算や、比較演算、論理演算などがあります。
3つ目の要素は「制御構文」です。データの処理の流れを制御する。条件分岐やループなどによって、プログラムの動作を制御できます。
代表的な制御構文として、条件によって処理を分岐させる「if文」や繰り返し処理を行う「for文」、条件が真である間、繰り返し処理を行う「while文」などがあります。
これらの制御構文を組み合わせることで、複雑な処理を実現できます。
手続き型プログラミング言語の特徴
手続き型プログラミング言語は、シンプルで理解しやすく、必要な知識量が少ないため、学習コストが低くなります。
命令文の構造が分かりやすく、初心者でも比較的簡単に学習することができます。
また、処理速度が速く、多くの言語で採用されているため、幅広い分野で利用できます。
ただ、 コードの管理が難しく、大規模な開発には向いていません。
コードを他のプログラムで再利用しにくいという欠点や構造化が難しく、コードの読み書きが困難になる場合があります。
手続き型プログラミングの例
例えば、電卓のプログラムを考えてみましょう。
電卓では、数字を入力して「+」「-」「×」「÷」などのボタンを押すと、計算結果が表示されます。
このプログラムは、以下の手順で記述することができます。
- ユーザーから数字を入力する。
- ユーザーが入力した数字を記憶する。
- ユーザーが押したボタンの種類を取得する。
- ボタンの種類に応じて、記憶した数字を計算する。
- 計算結果を表示する。
このように、手続き型プログラミングは、一連の手順を記述することで、さまざまなプログラムを作成することができます。
手続き型プログラミング言語の代表的な例
手続き型プログラミング言語の代表的な例は、以下の3つがあります。
- C言語:システム開発に広く利用
- C++:C言語の拡張版
- Java:WebサービスやAndroidアプリ開発など
C言語は、歴史が長く、多くのシステム開発に利用されている手続き型言語です。
高速処理に優れ、OSや組込みシステムなど、性能が重要な場面で活躍します。
C++は、C言語にオブジェクト指向の機能を追加した言語です。
C言語の処理速度とオブジェクト指向の柔軟性を兼ね備え、ゲームエンジンや画像処理ライブラリなど、幅広い用途で使用されています。
Javaは、オブジェクト指向プログラミング言語ですが、手続き型プログラミングの要素も持ち合わせています。WebサービスやAndroidアプリ開発など、幅広い用途で使用されています。
手続き型プログラミングの具体的なコーディング例
ここでは、電卓アプリを作るコーディング例をご紹介します。
以下は、C言語で電卓アプリを作る例です。
#include
int main() {
int num1, num2, sum;
// 数字の入力
printf(“数字1を入力してください: “);
scanf(“%d”, &num1);
printf(“数字2を入力してください: “);
scanf(“%d”, &num2);
// 加算
sum = num1 + num2;
// 結果の出力
printf(“%d + %d = %d\n”, num1, num2, sum);
return 0;
}
このコードは、まず2つの数字を入力し、それらを足して結果を出力するものです。
手続き型プログラミングは、構造がシンプルで初心者にも理解しやすいプログラミング方法です。
小さなプログラムであれば効率的に開発できますが、大規模なプログラムになると複雑になりやすく、保守性が悪くなるというデメリットもあります。
オブジェクト指向プログラミングとは?
オブジェクト指向プログラミングは、データを オブジェクト と呼ばれる単位にまとめ、そのオブジェクトに処理を行う メソッド を関連付けるプログラミング手法です。
従来の手続き型プログラミングとは異なり、データと処理を密接に結びつけることで、コードの再利用性や保守性を向上させることができます。
オブジェクト指向プログラミングの基本情報
オブジェクト指向プログラミングは、1960年代に誕生したSimulaと呼ばれる言語が起源とされています。
その後、Smalltalk、C++、Javaなどの言語が開発され、現在では主流なプログラミング方法となっています。
オブジェクト指向プログラミングの概要
オブジェクト指向プログラミングでは、オブジェクトと呼ばれる単位でプログラムを構成します。
オブジェクトは、データと処理を持ち、他のオブジェクトとメッセージをやり取りします。オブジェクトについては、クラスと呼ばれる設計図に基づいて、作成することができます。
また、継承と呼ばれる機能により、コードの再利用性と柔軟性を向上することが可能です。
オブジェクト指向プログラミング言語の特徴
オブジェクト指向プログラミング言語には、以下のような共通の特徴があります。
- オブジェクト指向: オブジェクト指向プログラミングの考え方に基づいている
- クラス: オブジェクトの設計図
- 継承: クラスの機能を別のクラスに引き継ぐ
- インターフェース: オブジェクトの共通機能を定義
これらの特徴に加えて、それぞれの言語には独自の特徴もあります。
オブジェクト指向プログラミングの例
オブジェクト指向プログラミングは、現実世界のオブジェクトを模倣してプログラムを設計する手法です。
オブジェクトはデータと処理をカプセル化し、再利用性と保守性を向上させます。
オブジェクト指向プログラミングの例として、車を想像してみてください。
車はエンジン、タイヤ、ハンドルなどの部品から構成されています。オブジェクト指向プログラミングでは、これらの部品を個々のオブジェクトとして表現し、それぞれデータと処理をカプセル化します。
オブジェクト指向プログラミング言語の代表的な例
オブジェクト指向プログラミングの代表的な言語として、以下が挙げられます。
- Java: 大規模なアプリケーション開発に広く使用されています。
- Python: Web開発、データ分析、機械学習など幅広い用途で使用されています。
- C++: 高速処理が必要とされるゲーム開発などに使用されています。
- C#: Windowsアプリケーション開発に広く使用されています。
- JavaScript: Webブラウザ上で動作するプログラム開発に使用されています。
これらの言語は、それぞれ異なる特徴を持っていますが、オブジェクト指向プログラミングの基本的な概念は共通しています。
オブジェクト指向プログラミングの具体的なコーディング例
以下は、Pythonで「車」というオブジェクトを定義し、そのオブジェクトを利用する例です。
class Car:
def __init__(self, name, color, speed):
self.name = name
self.color = color
self.speed = speed
def run(self):
print(f”{self.name}が{self.speed}km/hで走っています”)
car = Car(“プリウス”, “白”, 100)
car.run()
このコードでは、Carというクラスを定義し、その中にname、color、speedという属性と、runというメソッドを定義しています。
carというオブジェクトを作成し、name、color、speedに値を代入した後、runメソッドを呼び出すことで、車の名前と速度を出力しています。
このように、オブジェクト指向プログラミングでは、データと処理をオブジェクトにまとめることで、コードを分かりやすく、再利用しやすいようにすることができます。
手続き型プログラミングとオブジェクト指向の違い
システム開発で迷うのが、「手続き型プログラミング」と「オブジェクト指向プログラミング」どちらを選ぶべきなのか。
それぞれの特徴を理解することで、開発したいシステムに合ったプログラミング手法を選択することができます。
言語の特徴の比較
項目 | 手続き型プログラミング | オブジェクト指向プログラミング |
主な役割 | 手順を指示して処理を行う | オブジェクトを操作して処理を行う |
特徴 | シンプルでわかりやすい | 複雑な処理を効率的に記述できる |
拡張性 | 難しい | 比較的容易 |
代表的な言語 | C言語、COBOL | Java、Python |
データ構造 | 全てのモジュールで扱うデータは共通のものを使用 | オブジェクトはデータを内部に持つ |
主な役割
手続き型プログラミングは、具体的な処理手順を記述し、指示通りに動作させることができます。
オブジェクト指向プログラミングは、現実世界の要素を抽象化したオブジェクトを操作することで、複雑な処理を効率的に記述することができます。
特徴
手続き型プログラミングは。コード量が少ないため、初心者でも理解しやすいです。
一方、オブジェクト指向プログラミングは。コード量が多くなるが、コードの再利用性が高く、保守しやすい特徴があります。
拡張性
手続き型プログラミングは、後から機能を追加するのが難しいです。コード全体に手を加える必要があり、規模が大きくなるほど難易度が高くなります。
オブジェクト指向プログラミングは、オブジェクトの追加や変更が容易なため、拡張性が高いです。既存のコードを流用することで、開発効率を向上させることができます。
代表的な言語
手続き型プログラミングは、C言語、COBOL、Fortran、Pascalなどがあります。
一方、オブジェクト指向プログラミングは、Java、Python、C++、C#、JavaScriptなどの言語があります。
データ構造
手続き型プログラミングは、データと処理が混在し、コードの見通しが悪くなりがちです。データ構造が複雑になると、コードの理解や修正が困難になります。
オブジェクト指向プログラミングは、データと処理が分離されているため、コードの見通しが良いです。データ構造を明確に定義することで、コードの理解や修正が容易になります。
手続き型プログラミング言語の特徴と例
- 手順を順番に記述するため、理解しやすい
- 計算処理やデータ処理に適している
- 例:電卓アプリ、商品管理システム
手続き型プログラミングは、関数と呼ばれる小さな処理の塊を組み合わせてプログラムを作成します。
関数は、入力を受け取り、出力を返すというシンプルな構造を持ちます。手続き型プログラミングは、計算処理やデータ処理など、比較的単純な処理に適しています。
オブジェクト指向プログラミング言語の特徴と例
- オブジェクトと呼ばれる単位で処理を記述
- コードの再利用性が高く、保守しやすい
- 例:Webサービス、ゲーム
オブジェクト指向プログラミングは、オブジェクトと呼ばれる単位で処理を記述します。
オブジェクトは、データと処理をカプセル化しており、他のオブジェクトとメッセージのやり取りを通じて動作します。オブジェクト指向プログラミングは、コードの再利用性が高く、保守しやすいという特徴があります。
コーディングのアプローチの比較
項目 | 手続き型プログラミング | オブジェクト指向プログラミング |
処理 | 手順を記述 | オブジェクトを操作 |
データ | 共通のデータ領域を使用 | オブジェクトにデータを持たせる |
コードの再利用 | 難しい | 比較的容易 |
手続き型プログラミングでは、プログラムは小さな処理の集合体である関数によって構成されます。関数は、独立した動作を持ち、必要に応じて呼び出すことができる単位です。
オブジェクト指向プログラミングは、処理を記述する際に、オブジェクトと呼ばれる単位を使用します。オブジェクトは、データと処理をカプセル化しており、他のオブジェクトとメッセージのやり取りを通じて動作します。
どちらを選ぶ?
- シンプルでわかりやすいシステム開発には、手続き型プログラミング
- 複雑な処理やコードの再利用性を重視する場合は、オブジェクト指向プログラミング
手続き型プログラミングとオブジェクト指向プログラミングは、それぞれ異なる強みと弱みを持っています。
システム開発の目的や規模、社内のリソースなどを考慮して、最適なプログラミングを選択することが重要です。
どっちを選べばいいかわからない場合は、システム開発の専門家に相談してみるのも良いでしょう。
手続き型プログラミングとオブジェクト指向の例示
手続き型プログラミングは、プログラムを一連の手順として記述する方式です。
車の運転マニュアルのように、具体的な手順を順番に記述することで、コンピュータに指示を与えます。
一方、オブジェクト指向プログラミングは、オブジェクトと呼ばれる独立した単位を組み合わせることでプログラムを構成します。
オブジェクトは、データと処理をまとめてカプセル化しており、現実世界の事柄を抽象化して表現できます。
プロジェクト例
ここでは、手続き型プログラミングとオブジェクト指向プログラミングのプロジェクト例を紹介していきます。
手続き型プログラミングでのプロジェクト例
販売管理システムの開発を例に、手続き型プログラミングでの実装を説明します。
- 商品情報(商品名、価格、在庫数など)を管理する関数
- 顧客情報(氏名、住所、連絡先など)を管理する関数
- 注文処理を行う関数
- 売上管理を行う関数
これらの関数を個別に開発し、メインプログラムから呼び出すことで、販売管理システムを構築します。
手続き型プログラミングは、シンプルな構造で初心者にも理解しやすいというメリットがあります。一方、コードの重複や保守性の低下といった課題も存在します。
オブジェクト指向プログラミングでのプロジェクト例
顧客管理システムの開発を例に、オブジェクト指向プログラミングでの実装を説明します。
顧客というクラスを作成し、氏名、住所、連絡先などの属性と、購入履歴、ポイント情報などのデータを持たせます。
さらに、顧客情報の追加、編集、検索などの処理を、顧客クラスのメソッドとして実装します。
このように、オブジェクト指向プログラミングでは、データと処理を密接に結びつけ、再利用可能なモジュールを作成することができます。
オブジェクト指向プログラミングは、コードの再利用性や保守性に優れているというメリットがあります。一方、複雑な構造で初心者には理解しにくいという課題も存在します。
手続き型プログラミングのまとめ
近年、システム開発は企業にとって必須の課題となっています。しかし、社内にリソースや体制が整っていない中小企業にとって、開発は大きな負担です。
そこで今回は、システム開発を成功に導くための重要な要素である「手続き型プログラミング」と「オブジェクト指向プログラミング」の違いについて解説しました。
手続き型プログラミングは、手順を順番に記述することでプログラムを作成する方法です。
- シンプルで理解しやすい
- コード量が少ない
- 処理速度が速い
- 大規模なプログラムになると複雑になり、保守性が悪くなる
オブジェクト指向プログラミングは、オブジェクトと呼ばれる単位でプログラムを作成する方法です。
- コードの再利用性が高い
- 保守しやすい
- 複雑な処理を効率的に記述できる
- 構造が複雑で初心者には理解しにくい
どちらを選ぶべきかは、システム開発の目的や規模、社内のリソースなどを考慮して決定する必要があります。
- シンプルでわかりやすいシステム開発には、手続き型プログラミング
- 複雑な処理やコードの再利用性を重視する場合は、オブジェクト指向プログラミング
不明点や困ったこと、手続き型プログラミングに関する質問、相談、案件や依頼があれば、株式会社Jiteraにお問い合わせください。
Jiteraでは、要件定義を書くだけでAIが生成するツールで、アプリ・システム開発なども行っています。
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システム開発を成功させるためには、自社のニーズに合ったプログラミング言語を選択することが重要です。
手続き型プログラミングとオブジェクト指向プログラミングの特徴を理解し、それぞれのメリットとデメリットを比較検討することで、最適な選択をしましょう。
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