2024-05-14: 新古代史の散歩道
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卜甲2024年05月14日 15:15

卜甲(ぼくこう)は古代に卜占に使われた亀の甲である。

概要

弥生時代、古墳時代、奈良時代にかけて大陸より卜占が伝播し、当時の社会に受け入れられた。ト甲は現時点で古墳時代後期に出土例が知られる。神事で利用された。 海亀の甲羅を利用し、ははか木、燃え木を当てて焼き、その亀の甲羅の割れ目により卜占する。 伴信友(1858)は朝廷では卜部という職制を定めて、神祇官に仕えたが、早い段階で鹿の肩骨を亀甲に代えて用いるようになったと説く。

間口洞窟遺跡

アカウミガメの甲羅を厚さ0.3-0.4cm の板状に削り,甲羅の庁側の面に長方形の小穴をほり、その中に十字形の灯痕を付けたものが出土した。第1次ならびに第2 次発掘調査の結果として,古墳時代に属する灼甲の存在と,本洞窟遺跡の年代が,いままで考えられていたよりも1時期古く,弥生時代中期までさかのぼることが明らかになったとする。 4 号墳墓宮土上面から出土した灼甲は鬼高期に属する可能性が高い。弥生時代後期の灼骨とは,形状ならびに系統が全く異なる卜占具でって,弥生時代後期(西暦2から3 世紀〉から少なくとも古墳時代後期(鬼高期のものとした場合は西暦6世紀〉に至る間に,新しいト占の形式が伝播したことを示すことになる。本例と最も近似した灼甲としては,対馬に現存する後世の数例がある。

Wikipedia

Wikipedia日本語版は「卜骨・卜甲」と両者を一緒に解説しているが、違うものなので、両者で別々の解説が望ましい。説明を混ぜているので、どの遺跡からどちらが検出されたのか、分かりにくいし、間違いの元である。

出土

  • 卜甲 秦咸陽城遺跡、中華人民共和国 陝西省咸陽市西咸新区空港新城岩村、戦国時代末期
  • 卜甲 鉈切洞穴遺跡、千葉県館山市、
  • 卜甲 間口洞窟遺跡、神奈川県三浦市、古墳時代前期
  • 卜甲 多留遺跡、長崎県対馬、時期不明

参考文献

  1. 伴信友(1858)『正卜考 3巻』須原屋茂兵衛、安政5年
  2. 神沢勇一()「日本における骨卜、甲卜に関する二、三の考察」
  3. 神奈川県立博物館(1973)「間口洞窟遺跡」神奈川県立博物館発掘調査報告書第7号