「MY FAVORITE ALBUM」のブログ記事一覧(10ページ目)-A DAY IN THE LIFE

A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

日本のジャズも東京だけではない、昔からローカル在住の素晴らしいプレーヤーも・・・

2014-10-06 | MY FAVORITE ALBUM




古谷 充とザ・フレッシュメンのファンキー・ドライブ&民謡集

若い頃、どこか地方に行くとそこのジャズ喫茶巡りが楽しみだった。京都には一時20件を超えるジャズ喫茶があり、全部廻るのにわざわざ2泊3日の京都遠征をしたことも。それぞれ特徴があって、東京のジャズ喫茶よりも拘りがあるところが多かった記憶がある。
ジャズファンは全国にいるのを実感した。

昨年、仕事で関西に行ったついでに地元のライブでも思って、大阪の老舗のライブハウスMister Kelly’sに寄ってみた。

当日出演していたのは、行本清喜とソウルブリード。普段はあまりフュージョン系のライブは行かないが、久々に濃いフュージョンサウンドに痺れた。
リーダーのトランペットの行本は初めて聴いたがドンチェリーの愛弟子とか、エレクトリックマイルスを彷彿させるプレー、リズム隊は昔懐かしいナニワエクスプレスのメンバー、そして古谷光広の豪快なテナーと豪華メンバーの素晴らしいグループであった。
関西のミュージシャンはなかなか聴く機会が無いが、日本のローカルミュージシャン(大阪をローカルというと怒られるかもしれないが)も実力者揃いだ。

このテナーの古谷氏の父上はアルトの古谷充。我々世代にはこちらの方に馴染みがある。
熱いアルトとボーカルで有名だった。大阪が本拠地であったが、テレビにも出ていた記憶がある。父上の方もまだ健在でプレーをされているようなので、こちらの演奏も機会があったらぜひ聴いてみたいものだ。

つい最近のライブの様子がYouTubeにあったが、相変わらず素晴らしい演奏だ。



1960年代の初め、世はファンキーブーム。1961年に来日したジャズメッセンジャーズの演奏に皆熱狂していた時代、和製ジャズメッセンジャーズの白木秀雄クインテットやジョージ川口ビッグフォーが大活躍していたが、この古谷充もこの時代の若手グループの先頭を走ってファンキーなプレーをしていた。
単にファッションとしてのファンキーではなく、マクリーンやウッズを彷彿させるアルトはナベサダよりも上だったかもしれない。最近の若手でこういうアルトはなかなか聴けないのが残念。
You Don’t Know What Love Isでは得意のボーカルも聴けるが、このボーカルもいい雰囲気だ。

まだ10インチのLPが出ていた時代だが、当時の2枚のアルバムがカップリングされてCD化されている。このアルバムがそうだが、2枚のアルバムの素材はどちらも日本の曲。先日Akira Tanaシャープスアンドフラッツのアルバムを紹介したが、同じような路線のアルバムだ。ただし、演奏の中身は時代に合わせてとことんファンキーだ。

民謡集のジャケットデザインはこんな感じ



このような企画の演奏は、とかくジャズ風にやるだけという軟な演奏が多いが。古谷充グループは本気度の高い演奏が聴けるので、ジャズは素材を選ばずということを実感する。アルバム全体の雰囲気が安っぽくなくいい感じなのは、ピアノの大塚善章のピアノと作編曲の貢献も大きい様な気がする。

こちらの大塚氏は関西ジャズ協会の会長。関西の長老の方々も皆さん元気なようだ。

1. 城ヶ島の雨
2. アローの夜は更けて
3. ソウルNO.1
4. アイル・シー・ユー・イン・マイ・ドリーム
5. フリー・ソウル
6. タブー
7. 暗い夜
8. ディグ
9. ユー・ドンド・ノウ・ホワット・ラブ・イズ
10. ストレンジャー・イン・パラダイス〈民謡集〉
11. 黒田節
12. 通りゃんせ
13. 祗園小唄
14. 佐渡おけさ
15. 五ッ木の子守唄
16. 城ヶ島の雨
17. お江戸日本橋
18. ソーラン節

古谷 充 (as,vol)
稲見 肇 (tp)
大塚 善章 (p)
奥村 博一 (b)
トム 樽原 (ds)

Recorded in 1960, 1961

古谷充とザ・フレッシュメンのファンキー・ドライブ&民謡集
クリエーター情報なし
インディーズ・メーカー
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一発勝負の緊張感は何とも言えないが、決まった時の快感は格別・・・

2014-10-04 | MY FAVORITE ALBUM
Back At The Club in Tribute / Makoto Ozone featuring No Name Horse

ゴルフをやっていると、ここ一番の勝負の場面によく遭遇する。遊びの時はまだしも、試合で一打を争う時の緊張感はなんともいえない。このような場面で実力を出しきれるのが本当の実力であろう。自分は、大体余計な力が入って結果は推して知るべし・・・。
練習と同じショットを緊張する場面でも打てるのが本物の実力者だろう。プロと言えどもほんの一握り。

ジャズのレコーディングでライブ録音でも同じような場面がある。ライブの良さは聴衆と一緒のリラックスした演奏、そして観客と一緒に会場全体が盛り上がると、普段の演奏では聴く事のできないノリノリの演奏を楽しむこともできる。
このような演奏がレコーディングされたアルバムは当たりである。一発勝負で多少粗があっても気にならない、それを上回る熱い演奏を楽しめるものだ。

先日紹介した、ペッパーアダムスのドミシルでのライブも一発勝負が条件だったとか
確かに、自分もたまたまライブ録音をしているステージを聴く機会があったが、ある曲のエンディングでドラムがミスった。素人の耳には気にならなかったが、プレーヤーは流石にこれがアルバムになるのは納得がいかなかったのだろう。もう一度エンディングの部分だけをやり直していた。「後でこれに差し替えればいいや」と2度目は満足な様子。同じライブでもこんなライブもあるようだ。

よく昔は時間の都合でソロがカットされることもよくあったが、アルバム作りで最後の作品になるまでには、色々プロセスで手が入れられるのは当たり前である。最近では、別々に録音されたものが一枚のアルバムになるのは当たり前なので、ライブを聴くのとアルバムを楽しむのは別物と考えた方がよいかもしれない。

今、ビッグバンドで大きなホールを一杯にできるのは、山下洋輔のビッグバンドと人気の小曽根真の「No Name Horse」位だろう。そのNo Name Horseが4年前の2010年の夏にブルーノートに出演した。

このバンドは基本的には、アルバムでもオリジナルの演奏をレパートリーにしているが、その時は各ステージでビッグバンドの定番と言われる曲を演奏した。
我々の世代の定番というと、ベイシー、クインシーに始まり、バディーリッチ、サドメルと続く。当時の学生バンドもこれらの曲は必ずやっていたので、演奏するプレーヤーにとっても懐かしい曲ばかりであったろう。メンバーのエリック宮城は実際にバディリッチオーケストラで毎日吹いていたこともあり、譜面を見なくても吹けるといったそうだ。

とはいっても、何日か続いたステージであったが、それぞれの曲は一回限りの一発勝負。やり直しがきかない緊張感の中で収録が行われたそうだ。ライナーの各プレーヤーのコメントを見てもそれなりの緊張感を持って臨んだ様子が伝わってくるが・・。
結果は流石一流プロ揃い。どれも素晴らしい演奏だ。ハイノートを得意とするエリックのバラードプレーも聴けるし。

定番曲を一枚のアルバムに収められたこのアルバムは、サドメルのドントギットサッシーに始まりどの曲も昔から耳にこびりついた曲ばかり。懐かし半分、オリジナルとの比較も自然に行われる。自分のような世代にとってはビッグバンドのベスト集といってもいいアルバムだが、これをNo Name Horseで聴けるというのも嬉しいものだ。
3曲だけであるが、ノーネームホースのサドジョーンズトリビュートにもなっている。

1. Don’t Git Sassy       Thad Jones 6;45]
2. Ya Gotta Try        SammyNestico 4:49
3. Freckle Face        Sammy Nestico 5:56
4. Us              Thad Jones 6:21
5. Love For Sale          Cole Porter 6:25
6. A Child Is Born         Thad Jones 5:38
7. Shiny Stocking          Frank Foster 7:57
8. Nutville            Harace Silver 7:12
9. Corner Pocket          Freddie Green 5:25


No Name Horse
エリック宮城、木幡光邦、奥村 晶、岡崎 好朗 (tp)
中川 英一郎、片岡 雄三。山城 純子 (tb)
近藤和彦、池田 篤、三木 俊雄、岡崎 正典、岩持 芳宏 (sax)
中村 健吾 (b)
高橋 信之介 (ds)
小曽根 真 (p)

Recorded at Blue Note Tokyo, on August 27 ~ September 1, 2010


バック・アット・ザ・クラブ“イン・トリビュート”
No Name Horse
ユニバーサル ミュージック クラシック
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いつもはシンプルなベイシーのピアノも本気を出すと・・・・

2014-09-25 | MY FAVORITE ALBUM
Standing Ovation / Count Basie

先週はベイシーウィークであった。

まずは、ベイシーのレパートリーばかりを演奏するBasie Sound Orchestraを東京TUCで。ドラムの橋本龍吾さんが率いる若手主体のメンバーで、元気なベイシーサウンドが聴けた。
次は新しくできたTN Swing Jazzでこれもドラムの稲垣さん率いるベテラン中心の混成チームで。まあ可もなく不可もなく。
そして最後はブルーノートで本家カウントベイシーオーケストラを。この所毎年のように来日しているので大体は行っている。昨年ブッチーマイルスが来た時は久々に注目したが、後は正直惰性のような物。
今回は、リーダーが替わったが、ボーカルも特に一緒では無かったので、あまり注目すべき目玉も無く期待せずに出掛けてみたが・・・。

続けて色々ベイシーサウンドを聴き続けて比較ができたからという訳ではないが、結果的にやはり本家の演奏は格段に良かった。会場のPAを含めてオーケストラ全体の音のバランスも良く、今年のベイシーは、これぞ「ベイシーサウンド」健在という感じで嬉しくなった。
ベイシーオーケストラといえば、アレンジャーは違っても変わらないあのリズム感を味わえただけで満足、やはり本家は違う。



主役のリズムセクションだが、ベイシーのオーケストラでのピアノというと、あの音数の少ないベイシー自身のピアノとギターが代名詞。サド・ジョーンズの曲のFrom One To Anotherではこのリズムセクションを大フィーチャーしていた。
オリジナルベイシーの演奏を聴いてみたくて探してみたが残念ながら見つからなかった。
ほぼ同じメンバーの最近のライブ(2013年Yoshi San Franciscoでのライブ)の映像はこちらで ↓

http://youtu.be/QBJDPNGnlYc

普段は限りなくシンプルなカウントベイシーのピアノも、時にストライドピアノに大変身する事がある。このピアノを再現してくれたのは、本家ではなくベイシーサウンドオーケストラのピアノの小池勇気さん。曲はThe Kid From Red Bank。あのアトミックベイシーの1曲目に入っている曲だ



このアルバムは有名だし前にも紹介したので今回は別のライブのアルバムから。

ベイシーオーケストラがリプリーズ専属になり、シナトラとの共演アルバムを作り、ラスベガスのクラブに長期出演するようになったのが60年代の半ば。地方回りとバードランドを拠点にしていた時よりは、ゆったりと演奏できるようになった。環境がオーケストラのサウンドも変えるのかもしれない、この時代のベイシーはゆったりした感じで明るくなった感じがする。

このアルバムも、その時代の続き。同じようにラスベガスのトロピカーナホテルでのライブ。
バードランドのライブとは雰囲気が違って優雅で煌びやかな感じがする。

この時代のベイシーサウンドを支えるドラムはハロルドジョーンズ、テナーはエディーロックジョーデイビス、トランペットセクションにハリーエディソンがゲストに加わってライブレコーディングに花を添えている。

お馴染みの曲が多いが、シャイニーストッキングはIn Londonの時代よりテンポが速くなっている。サミーニスティコが多少アレンジをいじった曲もあるようだ。時代が変わって多少お化粧は替わっても、いつの時代でも同じ老舗の味を味あわせてくれるのがベイシーオーケストラだ。

1. Down for Double            Freddie Green
2. Lil' Darlin'              Neal Hefti
3. Broadway   Billy Bird / Teddy McRae / Henry J. Wood
4. Jive at Five   Count Basie / Harry "Sweets" Edison
5. Cherry Point            Neal Hefti
6. Jumpin' at the Woodside      Count Basie
7. One O'Clock Jump         Count Basie
8. Shiny Stockings         Frank Foster
9. Blue and Sentimental  Count Basie / Mack David / Jerry Livingston
10. Every Tub           Count Basie / Eddie Durham
11. Corner Pocket         Freddie Green / Donald Wolf
12. The Kid from Red Bank    Count Basie / Neal Hefti
13. One O'Clock Jump             Count Basie


Al Aarons (tp)
Oscar Brashear (tp)
Gene Goe (tp)
Sonny Cohn (tp)
Harry "Sweets" Edison (tp)
Richard Boone (tb)
Frank Hooks (tb)
Bill Hughes (tb)
Grover Mitchell (tb)
Bobby Plater (as,Piccolo)
Marshall Royal (as)
Eddie "Lockjaw" Davis (ts)
Eric Dixon (ts,fl))
Charlie Fowlkes (bs)
Count Basie (p)
Freddie Green (g)
Norman Keenan (b)
Harold Jones (ds)

Produced by Tom Mack and Teddy Reig
Engineer : Wally Heider
Recorded live at Tropcana Hotel, Las Vegas, On January 28~30, 1969
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ビッグバンドは、演奏の場を提供するClubと、そこに集まる熱いファンがあってからこそ長続きする・・・

2014-09-22 | MY FAVORITE ALBUM
WKRC-TV &The Blue Wisp Jazz Club Present The Blue Wisp Big Band of Cincinnati

「ビッグバンドのライブを毎日やるという新しいライブハウスができた」というニュースを聞いて、先日早速出かけてみた。

名前は、

TN Swing Jazz




場所は、東京TUCに近い神田岩本町。
ビルの地下に下りていくと、ジャズクラブとしては広い作り。ビッグバンドが入ってもゆったりとした雰囲気で聴ける店だ。

その日は、一部はグレンミラー、ベニーグッドマンナンバーといったスイング系の曲が中心、第二部はベイシーレパートリーを中心に、最後はハーマンのアップルハニーで締める。
その名のとおり、基本は4ビートのスイングするビッグバンドだった。

メンバーは、ベテランから新人までビッグバンドではお馴染みのメンバーばかり。とにかく毎日やるというのが凄い。毎日ということで、メンバーは日々入れ替わりがあるようだが、トラといわれるサブのメンバーも皆一流揃い。メンバーの違いを楽しむのも通のビッグバンドファンかも。

ライブハウスを丹念に探すと、毎週のようにどこかでビッグバンドは出演しているが、個々のバンドがライブハウスに出演するのは年に数回。予定が合わずその機会を逃すとなかなか聴く機会がないのが現実だ。
とにかく、気が向いた時にいつでも行けるというのが、ビッグバンドファンには嬉しいものだ。特に、このようなスイング系のビッグバンドには年配の根強いファンが多いので、早く認知されてファンの溜まり場になるといいと思う。

洋の東西を問わずビッグバンドはまずは演奏をする場の確保が大変なようだ。
サドメルの流れを汲むバンガードジャズオーケストラのように、毎週月曜日と定期的に出演する場所が決まると、ファンも訪れやすいが。
先日紹介した、スウェーデンのMonday Night Big Bandもそのひとつだ。スウェーデンのマルメという地方都市で毎週水曜日に出演し続けられるというのも、バンドのメンバー達の努力に加え、場を提供する店のオーナー、そして毎週演奏に駆けつけるファンが三位一体にならないと実現できない事だ。
このTN Swing Jazzもそのように育っていってほしい。

ジャズの歴史を辿ると、その歴史の中に必ず登場する都市がある。ニューオリンズに始まり、セントルイス、シカゴ、カンサスシティーそしてニューヨーク、ロス。デトロイトやフィラデルフィアも多くのジャズマンを生んだ都市として有名だ。

中西部にシンシナティーという都市がある。コンコルドレーベルに良く登場したギタリストのカルコリンズはこのシンシナティーの出身だが、他にはあまり聞いた事がない。ジャズとは少し縁遠い街に感じる。このコリンズもギターを弾く前は、ブルーグラスのマンドリンを弾いていたというので、このシンシナティーはジャズよりはカントリー&ウェスタンがポピュラーなのかもしれない。
歴史を辿れば、1920年代にはミシシッピー川の支流が流れるこの地は、海運、鉄道の要所であり、ミュージシャンの行き来も多く、それなりのジャズの拠点であったこともあったようだが。



1978年にこの地にBlue Wisp Jazz Clubというジャズクラブが生まれた。
カルコリンズも地元では、この場を活動拠点にしていたようだ。
このクラブに、専属のビッグバンドが生まれたのが1980年。地元のプレーヤー達を集めて新たに立ち上がった。
80年代と言えば、ロックの時代を過ぎ、フュージョンの全盛期、エレキも8ビートもやらないオーソドックスなビッグバンドは珍しかった。
このThe Blue Wisp Big BandはドラムのJohn Von OhlenとトランペットのDon Johnsonが他のメンバーに声がけをし、このクラブのオーナーPaul Wisbyの後押しで誕生した、基本は、良くスイングするピュアーなストレートジャズをやるビッグバンドだ。
こおアルバムではビルホルマンのアレンジもあるが、新人アレンジャーのCaroll DeCampが中心に、メンバー達のアレンジも加わる、すべて自分達で立ち上げたビッグバンドであった。

最初のデビュー時は、メンバー達に他の仕事の心配をさせないように一か月間ブッキングしてとにかく連日演奏を続けた。評判を聞きつけて地元シンシナティーだけでなく、近隣のインディアナポリス、コロンバス、ルイスビルなどからも続々ファンが駆けつけた。

そして、この立上げライブを終えて、2人のリーダーとオーナーのWisbyは「これからも毎週水曜日に続けてやろうと決断した」。
時代は替わり、オーナーのWisbyが亡くなり夫人のMarjean Wisbyが意志を継いで引き継ぐ。100人足らずのキャパだった小さいクラブからスタートしたが、場所も新しい場所に移る。そして、2006年今度はWisby夫人が亡くなると、借財の返済のためにこの店も売りに出たが、3人の篤志家が店を引き継ぎ、今でも店もビッグバンドも続いているという。



このアルバムの1曲目のBasietown USAはアレンジャーで参加したDeCampのオリジナル、いきなりアップテンポのベイシーサウンドで始まる。スタンダードナンバー中心の正統派ビッグバンドの演奏が続くが、一曲だけ、ジョーヘンダーソンのRecorda Meだけが少しモダンな感じのアレンジだ。

このバンドも、設立から30年以上、時代と共にメンバーも入れ替わったと思うが、地元のミュージシャン達が、熱いファンに支えられ伝統を支え続けている。それも演奏の場を提供している、Blue Wisp Jazz Clubがあっての事、神田に生まれたTN Swing Jazzも是非30年後まで続いてほしいものだ。

1. Basietown USA             Carroll DeCamp 4:46
2. Don’t Get Around Much Anymore      D.Ellington 4:53
3. Recorda- Me               Joe Henderson 5:10
4. Amyable                 Jack Willson 5:35
5. Walkin’                  Carpenter 7:25
6. I Remenber You       V.Schertzinger & J.Mercer 2:45
7. Sweet Lorraine          M.Parish & C.Burwell 3:37
8. Take The A Train            Billy Strayhorn 6:32

Don Johnson (tp)
Al Nori (tp)
Rick Savage (tp.flh)
Kevin Moore (tp)
Jeff Fokens (tp)
Paul Piller (tb)
Clarence Pawn (tb)
Lirk Sheilds (tb)
Gary Langhorst (btb)
Mike Andres (ss,as)
Jim Sherrick (as)
Joe Gaudio (ts)
Herb Aronoff (ts)
Larry Dickson (bs)
John Von Ohlen (ds)
Steve Schmidt (p)
Lynn Seeton (b)

Produced by Nick Bolton & Dan Johnson
Recording Engineer : Ric Probst
Recorded on May 12 and 19 1981 at OCA Recording Studio, Chincinnati, Ohio
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印象に残る良い曲は良い演奏で、そして印象に残る良いデザインのジャケットで・・

2014-09-17 | MY FAVORITE ALBUM
Rhapsody and Blues / The Crusaders

先日、ベニーゴルソンのライブに行った。昨年来日した時にこれが見納めと思って出かけてみたのだが、今年も元気に来日。好きなプレーヤーの一人であり、今回はロンカーターと一緒だったので再度聴きに行ってしまった。
しかし、あの滑らかなフレーズを繰り出すテナーをもう聴く事はできない。ライブを聴くのはこれが最後、後はレコードでいいかなと思ってしまった。
ゴルソンの場合は、自らのプレーだけでなく、ゴルソンの作った曲が今でも色々なところで演奏される。作曲家としてのゴルソンを聴くのも楽しみだ。良い曲はすたれることなく、そして老いることなく永遠だ。

昨年のステージでは50年代に自らが体験した様々な出来事を、まるで先週の出来事のように、そしてトークショーのように流暢に語っていたのも印象的だった。
是非、元気な間に手記に残してほしいものだ。

相前後して、キーボードのジョーサンプルの訃報が届いた。こちらはまだバリバリの現役、まだこれからという歳であったので残念だ。

このジョーサンプルはクルセイダーズ時代からよく聴いた。別に集めたという程でもなく、思い出したように手にしたが、不思議と外れはなくどれも何度も聴くアルバムとなっている。きっと自分の好みと相性があっているのだろう。何枚か引っ張りだしてまとめて聴いた。

クルセイダーズ時代には何度か節目がある。ジャズクルセイダーズのジャズが取れた時、そしフュージョンブームにのって、ストリートライフがヒットした時。
自分は、何故かその次のアルバムである、このラプソディーアンドブルースが気に入っている。まずはこのアルバムから。

まずは、ジャケットのデザイン。白を基調として明るいブルーで文字が浮かび上がる。文字部分が型押しされて実際に浮き出た洒落た作りだ。自分が、ブルーが好きという訳からではないが、ジャズのアルバムとしてもあまりないセンスでいい感じだ。
このイメージがそのまま中身の音にもつながる。同じフュージョンサウンドでも、より洗練された感じがするから不思議だ。
最近音楽を聴くのはダウンロードで手軽にできる時代に。しかし、音楽のアルバムでジャケットは重要な要素だと思う。

ビルウィザースのソウルシャドウに始まり、B面に移ると、タイトル曲のラプソディーアンドブルース、ラストコールと・・一度聴くと印象に残る曲ばかり。他のフェルダーやフーパーの曲とは一味違う。

良い曲というものは、大編成にアレンジするとその良さが一段と引き立つ。



やはりジョーサンプルは曲作りが上手かったということだろう。ベニーゴルソンの曲も印象に残る曲が多い、何か2人の共通点を感じる。
ジョーサンプルの方が、特にクルセイダーズを離れてからは何か叙事的な雰囲気が強まったような気がするが・・・。

このアルバムができたのは1980年。フュージョン全盛期であり、アナログディスクの最後の時代。改めて聴き直すと、フュージョンサウンドもアナログの方がいい音がするのは気のせいか。良い曲は良い音で聴きたいものだ。
良い曲、良い演奏、良いジャケット、そして良い音、良いジャズを楽しむにはこの4点セットが大事だと思う。


1. Soul Shadows            Will Jennings / Joe Sample 8:16
2. Honky Tonk Struttin'              Wilton Felder 4:26
3. Elegant Evening                  Stix Hooper 6:03
4. Rhapsody and Blues                 Joe Sample 8:48
5. Last Call                     Joe Sample 6:40
6. Sweet Gentle Love                 Joe Sample 4:56

The Crusaders
Wilton Felder (ts,sa,ss,b)
Stix Hooper (ds)
Joe Sample (p, Keyboards, Synthesizer)

Abraham Laboriel, Sr. (b)
Alphonso Johnson (b)

Bill Withers (vol)

Ralph Rickert (tp)
Bob Mann (g)
Robert Mann (g)
Dean Parks (g)
Roland Bautista (g)
Phil Upchurch (g)
Philip Upchurch (g)
Sheila Escovedo (per)
Paulinho Da Costa (per)

Produced by Wilton Felder, Stix Hooper, Joe Sample
Russ Bracher & Greg Venable Recording Engineer & Mixing

Recorded at Britannia Studios, Hollywood, California in March 1980



ラプソディ&ブルース
クルセイダーズ
ユニバーサル ミュージック クラシック
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世の中、偽装とか誤報とかが続いているが、このアルバムも・・・・

2014-09-13 | MY FAVORITE ALBUM
Mercy, Mercy, Mercy / The Cannonball Adderley Quintet

67年9月号のスイングジャーナルのレコード評を懐かしく見ていたら、このアルバムが目に留まった。タイトル曲のマーシーマーシーマーシーがシングルヒットして、人気のあったアルバムだ。この曲は、ザヴィヌルの作曲家としての出世作でもあり、色々カバーされている。バディーリッチビッグバンドのアルバムも良く聴いたものだ。

このところ、ペッパーアダムスがバックに入った、ぬるい8ビートを何枚か聴いたので、同じ時期でもこんなに元気な演奏があったと改めて思い出した。

所有盤はCDなので、発売当時ではなく大分後になって買い求めたものだ。
このCD盤のリイシューのプロデューサーはお馴染みマイケルカスクーナであるが、いきなりこのアルバムの正体の暴露から始まる。

先日、朝日新聞の誤報事件(あえて事件と言いたい)があったが、その前は食品関連の産地偽装、素材誤表示と、要は世の中嘘で固めて出回った物が次々と暴露されてきている。
それらには必ず何の為?という理由があるが、メディアが嘘を書いたらこれは自殺行為。憶測記事ならばまだしも、今回のものは調書という文書に書かれた物。日本語の分からない外人が読み間違えたならまだしも、文章を書くことを生業としている記者が、いくら黒塗りのあったにせよ読み間違いをするとは考えにくい。
嘘を嘘の上塗りでごまかすと、二進も三進もいかないところまで行くのが世の常だが、果たしでどこまで行くか。今回の事件を簡単な幕引きで終わらせる事は読者だけでなく、国民が納得しないだろう。

さて、このアルバムの嘘というのは、まずはタイトルそのものから始まる。
タイトル曲のMercy、Mercy、Mercyは良しとして、サブタイトルの”Live at The Club”が大問題。
このクラブが、バーチャルであれば、たいして問題は無かったのだが、シカゴに実在していたクラブの名称だから問題だ。このクラブに、アダレイクインテットが7月に出演し、その時のライブとなっている。ディスコグラフィーを見ても、そのまま表記されている。

では、実際にはどこでとなるが、10月20日にハリウッドのCapitolのAスタジオというのが正解。演奏を聴くと、聴衆の熱気が伝わってくるが、これはスタジオにお客を入れたスタジオライブだから。フリードリンクで当然乗りの良いお客を入れた、いわゆるやらせである。よく、拍手をオーバーダビングしたライブ風(擬き)というアルバムもあるが、それと比べれば実際に客を入れていたので、演奏自体は熱っぽく良いノリとなっている。

では何の為という事になるが、このクラブの新装開店のパブリシティに協力したというのが真相のようだ。今の時代であれば、その点を含めて綿密にプロモーションがプランされる事もあるかと思うが、今回はアダレーがここのオーナーと知り合いだったので、開店祝いに一肌脱いだということだそうだ。

ライナーノーツを書いている地元のラジオのディスクジョッキーも共犯になるが、彼もこのオーナグループの一員だったようなので辻褄合わせに一役買ったのだろう。

シカゴでのライブは7月とクレジットされているので、実際にこの時演奏し収録もされたかもしれない。しかし、せっかくのパブリシティには内容が今一つ(演奏なのか会場の雰囲気だったのかは?)だったので、10月にスタジオライブで録り直したというのが本当の所ではないか?

今の時代では、このような事をやればすぐにネットで話題になる。世の中段々人を騙すのは難しくなっているのに、反対に振り込詐欺が横行するのは何故?

もちろん、このような仕掛けがあっても(あったから結果が良かったのかも)演奏は素晴らしいものなので、アルバム自体は大ヒットした。しかし、お店の方は残念ながら長くは続かなかったという。世の中そんなものだろう。

1, Fun           Nat Adderley / Nat Adderley, Jr. 8:26
2. Games                    Nat Adderley 7:19
3. Mercy, Mercy, Mercy              Joe Zawinul 5:10
4. Sticks                Cannonball Adderley 3:54
5. Hippodelphia                 Joe Zawinul 5:49
6. Sack O' Woe             Cannonball Adderley 10:29

Cannonball Adderley (as)
Nat Adderley (cor)
Joe Zawinul (p,elp)
Victor Gaskin (b)
Roy McCurdy (ds)

David Axelrod Producer
Hugh Davies  Engineer

Recorded at Capitol Studios Los Angeles, on October 20., 1966

Mercy Mercy Mercy
Cannonball Aderley
Blue Note Records
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日本の伝統的な曲でNewportのジャズファンを魅了したのは・・・・

2014-09-12 | MY FAVORITE ALBUM

Sharps & Flats in Newport

先日、Akira Tana率いる”Otomowa”を紹介した。
日本の曲をジャズで演奏して地元ではファンを掴んでいるようだが・・・

1967年、沈滞気味だったビッグバンドが活況を呈してきた年だ。
前年編成されたサド・ジョーンズ&メルルイスオーケストラ以外にも、バディーリッチ、ドンエリス、デュークピアソンなどのビッグバンドも続々と産声を上げていった。もちろん、ベイシー、エリントン、ハーマンといった老舗のオーケストラも復活の兆しを見せてきた年だ。

当時のジャズフェスティバルの中心といえばニューポートジャズフェスティバル。
この檜舞台にも、常連のベイシーに交じって、バディーリッチ、ドンエリスといった新興グループも出演した。
それに負けじと、ハーマンのオーケストラや、ライオネルハンプトンもリユニオンバンドと称して久々にフルバンド編成で出演を果たしフェスティバルの取りを務めた。

この1967年のニューポートにもう一つビッグバンドが出演した。日本の誇る原信夫とジャープス&フラッツであった。
フェスティバル3日目の7月2日の午後のステージ、ヴァイブプレーヤーが勢ぞろいしたVibe workshopに続いての、午後のステージのラストで登場。

当然、当時アメリカでは無名のバンド、プログラムには、

From Tokyo, Japan The Sharps and Flats and 18piece orchestra under the direction of Nobuo Hara

と記されていた、名前だけでは通じず注釈が必要だったようだ。
聴衆達も、有名プレーヤーに交じって登場した、遠く東洋からやってきたビッグバンドが一体どんな演奏をするのか興味津々であったろう。

シャープにとっても初のアメリカ遠征であった。今では、ニューヨークまでの直行便があるが、当時は西海岸でさえ直行便がまだない時代、ニューヨークに行くだけでもまだ大変な時代。さらに、ニューポートの会場は、ニューヨークのダウンタウンからは遠く離れ、ボストンに近いロードアイランドのニューポート。ベイシーオーケストラが、マイアミとドンボ帰りをしたのとは大違いで、何日も前に現地入りし、初舞台に向けて入念な準備がなされた.
舞台に上がる前はかなり緊張をしていたようだが、リハーサルを聴いた関係者からは確かな手応えを感じていたようで、自信満々のステージを迎えたそうだ。

ジャープが現地で演奏したのは、すべて日本の曲。
サクラ・サクラ
梅ヶ枝の手洗鉢
腰天楽
ソーラン節
箱根八里
ソー・タイアード
阿波踊り

終わった時には、スタンディングオベーションの大喝采だったそうだ。

日本の古き良き曲を素材として前田憲男、山屋清、小川敏彦といった新進気鋭のアレンジャーがビッグバンドサウンドに仕立て上げ、さらに曲によって山本邦山の尺八を加えてプログラムを作り上げている。

このアルバムは、ライブではなく、この6曲にみだれ、古都を加えてスタジオで収録されたもの。会場の熱気は味わえないが、会場を沸かした演奏の素晴らしさを再現している。アレンジの演奏の完成度に、やはり尺八の音色というのも日本の心を訴える何かを持っているのだろう。

ニューポートの舞台で、アメリカのバンドも何か新しい試みをしようと立ち上がり始めた時期に、皆が取り上げる手垢のついたスタンダード曲を日本のバンドがやっただけでは何も感銘を与えることはできなかったと思う。このような大胆なプレゼンテーションがあっての評判であり、これがきっかけになって、その後の日本のジャズの認知、興隆にもつながったのではないか。

実際にどのような評判だったかをもう少し知りたいと思い、当時のスイングジャーナルを繰ってみた、67年9月号に載っていたが、大好評であったレポートに加え、初の海外遠征での珍道中ぶりも楽しく記事になっていた。

そして、ジャープの面々から見た他のオーケストラの感想も。
バディーリッチのバンドが凄いのはリッチだけ。バンドの演奏は決して自分達も負けない。ドンエリスの返拍子のドライブ感は格別、ステージでは拍子当てクイズをやっていたとか、ジョーヘンダーソンのリハーサルを見たけど初見の楽譜を読むのもおぼつかなかったのが、練習を重ねる度に音が変わってくる。日本の場合は最初からそこそこ良い音を出すのに、その後それ以上良くならないのは何故?、
とか彼らが生で聴いた感想が語られている。

ちなみに、シャープも現地に入って練習をし始めたら突然日本でやっていた時と音が変わり始めたとか。アメリカの空気がそれを可能にするのかもしれない。

この9月号の特集はこの年の7月17日に急死したジョンコルトレーンの追悼記事。確かに、このコルトレーンの死を境にビッグバンドだけでなく、ジャズ界も大きく変貌を遂げていった

1. さくらさくら
2. 越天楽
3. 箱根馬子唄
4. みだれ
5. ソーラン節
6. 梅ヶ枝の手洗鉢
7. 古都
8. ソー・タイアード
9. 阿波踊り

原 信夫 (Leader,ts)
森川 周三・福島 照之・佐波 博・篠原 国利 (tp)
谷山 忠男・鈴木 弘・宗清 洋・越智 治夫 (tb)
前川 元・谷口 和典・鈴木 孝二・森川 信幸 (sax)
小川 俊彦 (p)
野口 武義 (g)
竹内 弘 (b)
中村 吉夫 (ds)
山下 邦山 (尺八)



ニューポートのシャープス・アンド・フラッツ
原信夫とシャープス&フラッツ
日本コロムビア
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ワンナイトスタンドといっても、さすがに2500マイルの往復となると・・?

2014-09-09 | MY FAVORITE ALBUM
Breakfast Dance And Barbecue / Count Basie & His Orchestra

1958年クインジージョーンズのヨーロッパツアーは、予定したミュージカルの仕事がキャンセルになりメンバー全員、家族を連れて明日のコンサートの場所を探してヨーロッパ中を転々とするという過酷なものになったが、バンドにとってツアーはつきもの。バンドのツアーに関しては悲喜交々色々な話題が残されている。

昔、ビッグバンドがダンスのためのオーケストラであった時代、大きなダンスホールの専属となると仕事は毎日同じ場所であった。しかし、ビッグバンドがダンスのためでなく聴かせるためのバンドに変っていくと数も少なくなり、残ったバンドも演奏する場を求めて彼方此方をツアーして廻ることになった。
特に地方の小さな街でのコンサートは一晩限り、ワンナイトスタンドといわれバスに乗って毎日転々していくツアーとなった。ウディーハーマンやスタンケントンなどのビッグバンドの話を聞くとよく出てくる話だ。
しかし、それは有名バンドであるエリントンやベイシーといえども例外ではなかった。

カウントベイシーも歴史を辿ればダンスバンドとして演奏をしていた時代もあった。しかし、50年代も後半になり、いわゆる”Atomic” Basie Bandといわれた時期になると、ダンスの仕事は稀になり、聴かせるためのライブやコンサート主体の演奏活動になっていく。

その時、ベイシーオーケストラはニューヨークにいる時はホームグラウンドとなるバードランドがあった。メンバーにとって、長い地方のツアーから帰り、このバードランドへの出演となると移動の負担も減り、リラックスした演奏を繰り広げていた。
此の様子は、バードランドのライブでも窺い知ることができる。

1959年5月、クインジョーンズがヨーロッパから帰国し、マーキュリーでアルバム作りを始めた頃、ベイシーのオーケストラは後半の2週間はニューヨークに戻り、いつもの通りのバードランド出演となった。この時珍しくホテルThe Wordolf in New Yorkでの仕事が入った。久々のダンスバンドとしての仕事にバードランドの仕事は休みを貰ってメンバー揃って参加していた。

31日、無事にこの仕事を終えたメンバー達は、終わるや否や荷物を片付け空港に向かった。そのままマイアミ行の夜便に乗ると、現地に着いたのはすでに日も変わろうとする深夜。そのまま、3000人が待つThe Americana Hotelの宴会場へ直行した。

着くと同時にセッティングを行い一曲目の音出しが行われたのは何と夜中の2時。
いつものよういベイシーのピアノのイントロで始まったのは、サドジョーンズの作っ
たTheDeacon、少し長めのイントロからジョーンズ自身のソロに続く。それから夜を徹してのパーティーがスタートした。

この宴会場でベイシーオーケストラの到着を待っていたのは、全米のディスクジョッキー協会の第2回大会の参加者達、お客はその道の専門家ばかりで耳の肥えたお客の集まりであった。

そして、このパーティーの主催者は何とルーレットレコードのオーナーであるモーリスレビィー、すなわちベイシーのボスでもあるバードランドのオーナー。ボスの大事なパーティー参加にこのレコーディングが予定されていたのではこの出演要請を断る訳にもいかず、その日の強行スケジュールが決行されたという事になる。

このパーティーもセットを重ねて延々と続く。歌手のジョーウィリアムスも登場するが、歌っている曲がFive O’clock in the Morningとなる。冗談ではなく5時頃の演奏かもしれない。ニューヨークに早く帰りたかったのか、Back To The Appleも演奏される。
途中、朝食用の数百というテーブルがセットされたりして、One O’clock Jumpで最後のバンドの音が会場から消えたのはすでに7時になっていた。

この徹夜のライブを終えたメンバー達は、マイアミでゆっくりオフを過ごしたのかと思いきや、片付けも早々に一休みして空港に直行。そのまま飛行機に乗り込むと、また2500マイルのフライトでニューヨークへ。その晩はそのままバードランドのステージに立ったそうだ。移動距離最長記録のマイアミ往復のワンナイトスタンドとなった。

ベイシーのライブ物にはそれぞれいわく因縁があるものが多いようだが、不思議といい演奏が多い。このライブも長旅の疲れも感じさせず、実に伸び伸びとした演奏でいいライブだろ思う。
バードランドでのライブは会場のざわつき感を含めて「いわゆるライブハウスでの演奏」といったリラックス感が強いが、こちらはダンスもできる大きなパーティー会場。コンサートホールよりは和んだ雰囲気に加え、お客の多くを占めるディスクジョッキー達の「演奏も聴くぞ」という会場の空気が、適度な緊張感を生んでいるのかもしれない。
あまり話題になる事は少ないが、自分としても結構気にいっているアルバムだ。このようなアルバムは大音量で聴くべし、色々な音が聞こえる。これもライブ物の楽しさ。

LPの時は、その演奏の一部しか紹介されていなかったが、このCDアルバムなって大分全貌が見えてきた(コンプリートはまだ他の曲もあるようだが一度は聴いてみたいものだ)

それにしても、このタイトルは何か意味があるのか? 確かに朝食付きのダンスとバーベキューパーティーだったようだが。

1. Deacon
2. Cute
3. In a Mellow Tone
4. No Moon at All
5. Cherry Red
6. Roll 'Em Pete
7. Cherry Point
8. Splanky
9. Counter Block
10. Li'l Darlin'
11. Who, Me?
12. Five O'Clock in the Morning Blues
13. Every Day I Have the Blues
14. Back to the Apple
15. Let's Have a Taste
16. Moten Swing
17. Hallelujah, I Love Her So
18. One O'Clock Jump

Snooky Young, Thad Jones, Wendell Cully, Joe Newman (tp)
Al Grey, Henry Coker, Benny Powell (tb)
Frank Foster, Billy Mitchell (ts), Marshal Royal, Frank Wess (as), Charlie Fawlkes (bs),
Count Basie (p), Freddie Green (g), Eddie Jones (b), Sonny Payne (ds)
Joe Wolliams (vo),
Harry 'Sweets' Edison (tp on 18)

Produced by Teddy Reig
Engineer : Bill Schipps, Tony Brainard
Location & Date : The Americana Hotel, Miami, Florida, May, 31, 1959

Breakfast Dance & Barbecue
Count Basie
Blue Note Records
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クインシージョーンズがこのアルバムで一歩踏み出さなければ今のクインシーは無かったかも?

2014-09-08 | MY FAVORITE ALBUM
Quincy Jones Plays Hip Hits

先日、サドメルのファーストアルバムを録音したフィルラモンのディスコグラフィーを見ていたら、初期の作品にマーキュリー時代のクインシージョーンズのアルバムの名前”Play Hip Hits“があったのに気が付いた

クインシーといえば、昨年来日して多くのチルドレンに囲まれてクインシーの歴史を語るような素晴らしいライブを聴かせてくれたが、アレンジャーからプロデュース業への最初の転身をした時代がマーキュリーの時代だ。

クインシーのビッグバンドはお気に入りのバンドの一つなので、このブログでも多く紹介したが、このマーキュリー時代の後期のアルバムはパスしていた。実際に他のアルバムはLP時代に入手したが、このアルバムを購入したのはCD時代になってから.一二度聴いてお蔵入りしていた。別に嫌いではないが、何か物足りなさを感じて。久々に聴いてみながら、少し振り返ってみることに。

マーキュリー時代のクインシーといえば、まずは自らのレギュラーバンドで始まる。
ヨーロッパに遠征して苦労した後、59年にThe Birth of a Bandでアメリカでのアルバムデビューを果たし、そして61年のニューポートに出演したが、そのライブでクインシーのレギュラーバンドも解散。これで一区切りとなった。

クインシー自身がマーキュリーの経営にタッチしてからは、アレンジャーとしてのクインシーに加えてプロデューサーとしてのクインシーのスタートであり、その後のクインシーのオーケストラも少しその前の時代と色合いが違ったものになった。
要は、マーキュリーの経営者として売れるアルバム作りを求められたのだろう。

このアルバムが、ちょうど端境期の一枚だ。

当時のマーキュリーのカタログを見ると、ジャズだけでなくあらゆるジャンルのアルバムが揃っている総合デパート状態。ジャズテットなどのストレートジャズのアルバムもあるが、ジャズといえどもだんだん売れるアルバム作りに変っていった。

結論から言うと、このアルバムで当時のヒット曲をクインシー風に料理するところから今のクインシーが生まれたような気もするし、一方で、時代的にもベイシーエリントンもヒット曲アルバムを作っていた時代だったとも言える。
これをコマーシャリズムと言ってしまえばそれまでだが・・・。

先日、ハービーマンのコマーシャリズムにのった録音を乱発した時のアルバムをコメントしたが、60年の半ば、ちょうど時期的にもこのクインシーのアルバムは符合する。

ジャケットには63年4月9日、11日、12日の録音と記されているが、62年6月録音のA tast of Honeyや9月録音のDesafinadoなども収録されているので、アルバムはいくつかのセッションから集められたもの。先日のハービーマンのアルバムとも似たような作られ方だ。

いずれにしても、曲は当時のヒット曲が中心。ジャズのスタンダードの多くは元々昔のヒット曲。ヒット曲を取り上げたからコマーシャリズムという訳ではないが、色々なジャンルから良くヒット曲を集めたといって程バラエティーに富んだ選曲がされていて、これで新たなファンを作ったのも事実だろう。

一曲目は、ハービーマンの62年のヒット曲「カミンホームベイビー」。早速、「頂き」といって感じでカバーしている。ベースには、ハービーマンのアルバムでも演奏していたベンタッカーを起用する凝りよう。次のレイブラウンのグレイビーワルツが果たしてヒット曲なのかと思ったら、テレビのスティーブアレンショーの為につくったテーマ曲だった。

ディサフィナードも前年ゲッツとジョビンでヒットした曲、エクソーダスは映画「栄光への脱出」、次のヴィンスガラルディーの曲は63年のグラミーの最優秀楽曲賞受賞作、次のテイストオブハニーは有名だが、誰の作品かと思ったらこのアルバムでソロをとることが多いいボビースコットの作品。

バックアットザチキンシャックは、ジミースミスのファンキーな曲、ハープシコードのイントロがいい感じ、ジャイブサンバはナットアダレーの有名曲だ。テイクファイブもヒット直後。エルマーバーンスタインの映画音楽の後は、ハンコックの初期の名曲ウォーターメロンマンでこれはボーカル入りで。最後のブルーベックのボサノバ曲は別のボサノバセッションからの一曲。

ボビースコットのピアノ、ジムホールのギターとシムスのテナーとウッズのアルトがアルバム全体を通じてフィーチャーされているアルバム作りだ。

どの曲も全体が短いながら、実にそれぞれの曲の雰囲気を生かしたアレンジだ。ソロも短いがどれもピリッとした味付け。自己満足型の長いソロに時々辟易とすることもがあるが、美味しい物を味わうにはかえってこのような少し物足りない方がいいかも。腹8分目とは何の世界でも共通なようだ。

今回聴き直してみると、クインシーのアレンジは元々複雑、難解というより、シンプル&スインギー。素材は確かに新しいヒット曲ばかりだが、ヒット直後や超有名曲のオリジナルのイメージが強い中でのアレンジも難しいだろう。演奏も決して手を抜いている訳ではない。昔テレビのCMの世界が15秒の芸術と言われたように、短い中に表現したいコンセプトを上手く入れ込むのが名人芸と言われるのと同じだと思う

そして、このアルバム作りに参加したミュージシャンのクレジットをみると、どのセッションもオールスターメンバー勢ぞろい。ニューヨーク中のスタジオミュージシャンが集まってしまったような豪華さだ。せっかく見つけたのでコピペをしておくことにする。

1. Comin' Home Baby          B.Tucker & R.Dorough 2:47
2. Gravy            Waltz Ray Brown & Steve Allen 2:36
3. Desafinado              A.C.Jobin & Mendonca 2:57
4. Exodus                     Ernest Gold 3:20
5. Cast Your Fate to the Wind           Vince Guraldi 2:44
6. A Taste of Honey         Bobby Scott & Ric Marlow 2:34
7. Back at the Chicken Shack           Jimmy Smith 2:59
8. Jive Samba                  Nat Adderley 2:38
9, Take Five                    Dave Brubeck 3:27
10. Walk on The Wild Side              E.Bernstein  3:11
11. Watermelon Man              Herbie Hancock 3:20
12. Bossa Nova USA              Dave Brubeck 3:12

Al DeRisi, Joe Newman, Jimmy Nottingham, Ernie Royal, Clark Terry, Snooky Young (trumpet) Billy Byers, Jimmy Cleveland, Paul Faulise, Quentin Jackson, Melba Liston, Tom Mitchell, Santo Russo, Kai Winding (trombone) Ray Alonge, Jim Buffington, Earl Chapin, Paul Ingraham, Fred Klein, Bob Northern, Willie Ruff, Julius Watkins (French horn) Jay McAllister, Bill Stanley (tuba) Charles McCoy (harmonica) Al Cohn, Budd Johnson, Roland Kirk, Walt Levinsky, James Moody, Romeo Penque, Seldon Powell, Jerome Richardson, Zoot Sims, Frank Wess, Phil Woods (woodwinds) Patti Bown, Lalo Schifrin, Bobby Scott (piano, organ) Kenny Burrell, Jim Hall, Sam Herman, Wayne Wright (guitar) Art Davis, George Duvivier, Milt Hinton, Major Holley, Ben Tucker, Chris White (bass) Rudy Collins, Osie Johnson, Ed Shaughnessy (drums) James Johnson (timpani) Bill Costa, Jack Del Rio, George Devens, Charles Gomez, Jose Paula (percussion) Quincy Jones (arranger, conductor)
NYC, June 15, 1962

Clark Terry (trumpet, flugelhorn) Jerome Richardson (alto flute, flute, woodwinds) Lalo Schifrin (piano) Jim Hall (guitar) Chris White (bass) Rudy Collins (drums) Carlos Gomez, Jose Paula, Jack Del Rio (percussion) unidentified horn and brass, Quincy Jones (arranger, conductor)
A&R Recording Studio, NYC, September 8, 1962

Al DeRisi, Joe Newman, Jimmy Nottingham, Ernie Royal, Clark Terry, Snooky Young (trumpet) Billy Byers, Jimmy Cleveland, Paul Faulise, Quentin Jackson, Melba Liston, Tom Mitchell, Santo Russo, Kai Winding (trombone) Ray Alonge, Jim Buffington, Earl Chapin, Paul Ingraham, Fred Klein, Bob Northern, Willie Ruff, Julius Watkins (French horn) Jay McAllister, Bill Stanley (tuba) Charles McCoy (harmonica) Al Cohn, Budd Johnson, Roland Kirk, Walt Levinsky, James Moody, Romeo Penque, Seldon Powell, Jerome Richardson, Zoot Sims, Frank Wess, Phil Woods (woodwinds) Patti Bown, Lalo Schifrin, Bobby Scott (piano, organ) Kenny Burrell, Jim Hall, Sam Herman, Wayne Wright (guitar) Art Davis, George Duvivier, Milt Hinton, Major Holley, Ben Tucker, Chris White (bass) Rudy Collins, Osie Johnson, Ed Shaughnessy (drums) James Johnson (timpani) Bill Costa, Jack Del Rio, George Devens, Charles Gomez, Jose Paula (percussion) Quincy Jones (arranger, conductor)
NYC, April 9, 1963


ザ・ヒップ・ヒッツ(紙)
Quincy Jones
ユニバーサル ミュージック クラシック
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いい番組作りには映像も大事だが、記憶に残る良い音楽も・・・・

2014-09-01 | MY FAVORITE ALBUM
Mission Impossible / Lalo Schifrin

テレビを見ない生活が続いていたが、最近はアメリカのテレビドラマを見ることが多い。CSIシリーズを見始めて結局全シリーズを見る羽目に。最近嵌っているのはPerson of Interest。今のコンピューター社会の行く末を予見させるが、最近のハッキングや情報漏えいのニュースを聞き、防犯カメラの活用状況をみるとあながち絵空事ではないだろう。

海外のドラマ物はシーズンをまたがっての展開が複雑なので、気を抜くとついついストーリーがあやふやに。気になると見直すことも度々、時間がいくらあっても足りなくなる。
こういうことができるのも今では全部録画して、見たいときに見ることができるから。
ビデオのない時代のテレビは生活のリズムだったが、自分にとってテレビは今やオンディマンで見るものになってしまった。

最近はあまり気に掛けてないが、メディアとしてのテレビが今どうなっているか、益々気にはなる。一方で、テレビの影響力がまだまだ健在ということもある。

このブログは本来自分自身の棚卸のために始めたものであり、あまり読んで頂くことを目的にはしていなかった。たいして面白くもない記事を毎回見て頂いている読者もいらっしゃるようなので有難いものだ。そして記事が増えてくると、記事の中の何かのキーワードが検索で引っ掛かりこのブログを訪れる方も多くいらっしゃる。

しばらく前に、ウォーレンバシェの検索がやたらに増えて、そのせいでバシェの記事が読まれることが増えたことがある。何故かと思ったら、(これを簡単に調べられるのも文明の力のお蔭)テレビで藤岡琢也さんのドキュメンタリーがあった。
病気の状態も思わしくなく、藤岡氏が楽しみしていたバシェのコンサート行けなくなったのを知り、病床を見舞ったバッシェが枕元でDreamを演奏したという内容だったようだ。
しかし、余程のジャズファンでないと、そのウォーレンバシェがいかなる人物かは分からない。それで多くの人が検索をした結果となった。

その昔、テレビの番組で紹介されるとすぐにスーパーの棚からその商品が消えるということがよくあったが、まだまだテレビの影響力は捨てたものではない。視聴率が1%といっての、全国では100万人近くが見ていることになる。まだまだテレビの瞬時に世の中へ影響を与える力は健在のようだ。

ついでに、最近のCMの話題をひとつ。
女子高生忍者というYouTubeのコンテンツが話題になっている。
映像の作り方、タレントの選び方、そしてストーリーそのものも従来のテレビコマーシャルとは全く異なるものだ。ドラムソロだけというバックも面白い。この映像の視聴回数はすでに600万回を超えた。コマーシャルも新しい時代に入っている。



YouTubeのお勧めの中に、いつの間にかYouTube側で編集されたリストが加わっている。オンディマンド編集の時代ももうすぐだ。久々に昨今のメディア事情を勉強してみたくなった。

このような映像(テレビ)を見るのはもっぱら大画面テレビになるが、デジタル&ハイビジョンになったので迫力ある映像が楽しめる。それに、自分はメインのオーディオを生かしてサラウンド環境にしているので音の方も映画館までとはいかないが、テレビにこんなに音が詰まっていたのかという程度には再現できている。

デジタル放送は音の臨場感&迫力はなかなかなものである。昔から、映画やテレビのサウンドトラックは映像を生かす上で大事だったが、映像に合わせた高品質の音作りもますます重要ということだろう。

さて、最近のテレビ番組のテーマソングといってもすぐには思い出せないが、昔の人気番組の有名なテーマはすぐにでも思い浮かべられる。

そのひとつが、この「スパイ大作戦のテーマ」。ラロシフリンの作品でビッグバンドでもよくカバーされているが、まずはオリジナルを。





メンバーのクレジットはされていないが、シフリン自身のピアノやハープシコードに加え、マイクメブロンのピアノ、バドシャンクやスチューウィイリアムソンなども加わっているようだ。

ちょうど、サドメルのオーケストラが立ち上がった1966年に始まった番組。同じ頃のロスでの録音だろう。

シフリン自身もガレスピーのバンドのピアニストとしてジャズ界にデビューしたが、この頃からアレンジャーとしても本領発揮となり、プレーヤーよりアレンジの世界で素晴らしい作品を残している。


1. Mission: Impossible
2. Jim On The Move
3. Operation Charm
4. The Sniper
5. Rollin Hand
6. The Plot
7. Wide Willy
8. Cinnamon (The Lady Who Was Made To Be Loved)
9. Barney Does It All
10. Danger
11. Mission Blues
12. Self-Destruct
13. Affair In Madrid
14. Midnight Courier
15. The Chelsea Memorandum
16. More Mission
17. Intrigue
18. Danube Incident
19. Foul Play
20. The Getaway
21. Secret Code
22. Mission: Accomplished


Composed & Arranged by Lalo Schifrin
Except for
 #8 by Jack Urbent & Bruce Geller
#15 by Shorty Rogers
#19 by Richard Hazard

Mission Impossible
Lalo Schifrin
One Way Records
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パーカーのアルトを引き立たせるストリングスと1本のオーボエ

2014-08-31 | MY FAVORITE ALBUM
Charlie Parker with Strings : The Master Takes

さる8月30日はチャーリーパーカーの誕生日であった。この日、パーカーの生誕94周年記念のライブがあった(ということは生きていれば94歳。自分の母親と同い年ということを今知った)。
パーカー派のアルトで有名な澤田一範さんのライブであったが、いつものクインテットではなく、この日の編成はWith Strings。年に数回行われるが、他ではなかなか聴けない演奏だ。

澤田さんのアルトを自分はビッグバンドで聴くことが多いので、必ずしもパーカースタイルのアルトにいつも接している訳ではない。ストリングスをバックにしたアルトは、よりパーカーを意識しているせいかパーカーライクなフレーズが盛りだくさん。この日はたっぷり聴くことができた。
レパートリーはパーカーのWith stringsに収録されている曲が中心だが、最近ではオリジナルアレンジの曲も加わり、また最近は飛び入りゲストも加わったり、なかなか楽しいライブになってきている。

パーカーのウィズ・ストリングスの特徴は?というと、ストリングスに加わったオーボエ。パーカーのアルトにこのオーボエの間奏が実に効果的であり、魅力的だ。アクセントになっているだけでなく、ストリングスのアンサンブルでもお化粧を施している。それに、ハープが加わりさらにゴージャスな雰囲気を醸し出している、パーカーのストリングスというと、このバックが実にいい感じで、他のストリングス物と一線を画しているのだと思う。

当日のライブでは、さすがにハープは加わっていないが、ストリングスのクインテットにオーボエが加わって、このパーカーのストリングスサウンドを見事に再現していた。
一曲目はJustFriend、アルバムもこの曲で始まる。



テレビの創世記に「ミッチと歌おう」とテレビ番組があった。ちょうど、東京オリンピックの頃に放送していたと思う。ヒゲのミッチミラー率いる合唱団が、色々な歌を聴かせてくれた番組だが、



何といってもミッチミラーで有名になったのは、クワイ河マーチ、そして大脱走のテーマであろう。よく口笛を吹いていたものだ。



この合唱団で有名なミッチミラーだが、キャリアを遡ればコロンビアレコードのプロデューサーであり、さらにその前はというとクラッシクのオーボエ奏者であった。

パーカーのウイズ・ストリングスの最初の録音は。1949年11月(これは自分の誕生日と同じだ)。このセッションのストリングスに混じって加わっているオーボエ奏者が、実はこのミッチミラーだ。ちなみに、ベースはレイブラウン、ドラムはバディーリッチという豪華版。もちろんこの時は、パーカーこそ全米に名を馳せていたと思うが、ミラーも、ブラウンも、リッチも一流入りするのはまだこれから。将来のスターをバックにした豪華ストリングスであったということだ。



CD盤のWith Stringsは、Master Takeというタイトルで、このファーストアルバムだけでなく、後の録音も収められている。その中に、カーネギーホールでのライブ録音もあるということは、このWith stringsが当時もそれなりに話題を呼んだアルバムであったのだろう。

ライブの余韻が残っている間に久々にフルで聴いてみた。やはりいい物はいい。

1. "Just Friends"  (John Klenner, Sam M. Lewis) – 3:30
2. "Everything Happens to Me"  (Tom Adair, Matt Dennis) - 3:15
3. "April in Paris"  (Vernon Duke, E.Y. Harburg) – 3:12
4. "Summertime"  (George Gershwin, Ira Gershwin, DuBose Heyward) – 2:46
5. "I Didn't Know What Time It Was"  (Richard Rodgers, Lorenz Hart) – 3:12
6. "If I Should Lose You"  (Ralph Rainger, Leo Robin) - 2:46

Charlie Parker - alto saxophone;
Mitch Miller - oboe
Bronislaw Gimpel, Max Hollander, Milton Lomask - violins
Frank Brieff - viola
Frank Miller - cello
Myor Rosen - harp
Stan Freeman - piano
Ray Brown - bass
Buddy Rich - drums
Jimmy Carroll - arranger and conductor

Charlie Parker with Strings (Studio recordings of Nov. 30, 1949)

7. Dancing in the Dark" (Arthur Schwartz, Howard Dietz) - 3:10
8. Out of Nowhere" (Johnny Green, Edward Heyman) - 3:06
9. Laura" (David Raksin, Mercer) - 2:57
10. East of the Sun (and West of the Moon)" (Brooks Bowman) - 3:37
11. They Can't Take That Away from Me" (G. Gershwin, I. Gershwin) - 3:17
12. Easy To Love" (Cole Porter) - 3:29
13. I'm in the Mood for Love" (Jimmy McHugh, Dorothy Fields) - 3:33
14. I'll Remember April" (Gene DePaul, Pat Johnson, Don Raye) - 3:02

Charlie Parker - alto saxophone
Joseph Singer - french horn
Eddie Brown - oboe
Sam Caplan, Howard Kay, Harry Melnikoff, Sam Rand, Zelly Smirnoff - violins
Isadore Zir - viola; Maurice Brown – cello
Verley Mills - harp
Bernie Leighton - piano
Ray Brown - bass
Buddy Rich - drums
Joe Lipman - arranger and conductor
unknown xylophone and tuba

Charlie Parker with Strings (Studio recordings of July 1950)
Released on 10" as Mercury MGC-509, reissued as MGC-109. These records do not contain "Dancing in the Dark" and "Laura".

15. What Is This Thing Called Love?"  (Porter) - 2:55
16. April in Paris"  (Duke, Harburg) - 3:13
17. Repetition"  (Neal Hefti) - 2:48
18. You'd Be So Easy to Love"  (Porter) - 2:25
19. Rocker"  (Gerry Mulligan) - 3:00

Charlie Parker - alto saxophone
Tommy Mace - oboe
Sam Caplan, Ted Blume, Stan Karpenia - violins
Dave Uchitel - viola; Wallace McManus - harp
Al Haig - piano
Tommy Potter - double bass
Roy Haynes - drums
unknown cello

(Recorded on September 17 1950 at Carnegie Hall, New York)

20, Temptation"  (Nacio Herb Brown, Arthur Freed) - 3:31
21. Lover"  (Richard Rodgers, Lorenz Hart) - 3:06
22. Autumn in New York"  (Vernon Duke) - 3:29
23. Stella by Starlight"  (Victor Young, Ned Washington) - 2:56

Charlie Parker - alto saxophone
Al Porcino, Chris Griffin, Bernie Privin - trumpets; Will Bradley, Bill Harris - trombones; Murray Williams, Toots Mondello - alto saxophones; Hank Ross - tenor saxophone; Stan Webb - baritone saxophone; Artie Drelinger - woodwinds; Caplan, possibly Sylvan Shulman and Jack Zayde - violins; Mills - harp; Lou Stein - piano; Bob Haggart - double bass; Don Lamond - drums; Joe Lipman - arranger and conductor; unknown woodwinds, violins, violas, and cello

(Recorded on January 22 or 23 1952, New York City)

24. Repetition"   (Hefti)- 2:57
Charlie Parker - alto saxophone
Vinnie Jacobs - french horn; Porcino, Doug Mettome, Ray Wetzel - trumpets; Harris, Bart Varsalona - trombones; John LaPorta - clarinet; Williams, Sonny Salad - alto saxophones; Pete Mondello, Flip Phillips - tenor saxophones; Manny Albam - baritone saxophone; Caplan, Smirnoff, Gene Orloff, Manny Fiddler, Sid Harris, Harry Katzmann - violins; Nat Nathanson, Fred Ruzilla - violas; Joe Benaventi - cello; Tony Aless - piano; Curly Russell - double bass; Shelly Manne - drums; Diego Iborra - percussion; Neal Hefti - arranger and conductor

(Recorded in December 1947, New York)



Charlie Parker With Strings: The Master Takes
Charlie Parker
Polygram Records
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暑い夏にピッタリな音楽は・・・

2014-08-19 | MY FAVORITE ALBUM
Chambre Avec Vue / Henri Salvador

お盆休みは毎年恒例のゴルフの夏合宿。ところがコースが快適な高原ゴルフとはいかず、毎年暑さとの戦いになる。昔は、この暑さの中での連日ゴルフも苦にはならなかったが、最近は寄る年波には勝てず・・・。ところが、今年は最高気温も低く、朝夕は幾分過ごしやすい天気であったのが幸いし、早朝のオプションラウンドもこなすことができた。
とはいうものの、お盆を過ぎても暑い日が続く。快適なゴルフができるのはまだ先、ゴルフはしばらく灼熱地獄との戦いになりそうだ。



夏のリゾートといえば海か山。自分はもっぱら「山」派で、夏の海にはもう何年も行っていない。海外のリゾートでのんびりならまだしも、東京近郊の人でごった返した海岸にはなかなか行く気にもならない。キャンプに良く行っていた頃、友人とたまには海でキャンプをしてみようと行ってみたものの、暑さと砂でひどい目にあいそれ以来夏の海というのは敬遠している。

海水浴場といえば、先日海水浴場の音楽規制で人の流れが変わったというニュースが流れた。規制で人が減ってゆっくりできるのであればいいのではないかと思ったが、ここで商売をしている人にとっては大打撃とか。海岸も客層を選別する時代になったのかもしれない。

というものも、静かな海岸ならまだしも、人の集まる海岸であれば音楽など規制をしなくてもいいのではと思ったが、その元凶はクラブ並の大音量と大騒ぎだとのこと。それでは規制を受けても仕方がないかもしれない。

何事も、自分達の楽しみは人に迷惑をかけない範囲でという常識が働いていれば問題が起きないのだが・・・、最近の常識は自分達が楽しんでいるのに何が悪いということらしい。

そういう自分も、最近は自宅で聴く時はついつい大音量になりがち。近所迷惑になっているかどうかを一度確かめておこう。

夏に気軽に聴く音楽というと? 
あまりヘビーな音楽は暑さを助長してしまうのでボサノバなどが一番かも。

自分の愛聴アルバムもこのアルバム。ヒットしたアルバムだが、一枚通して聴いても、そして何度聴いても、何故か飽きがこないアルバムだ。理屈抜きでいい音楽なのだろう。こんな音楽が流れている海岸での昼寝は気分が良さそうだ。

このアルバムの主役、アンリ・サルバトールのことをあまりよく知らなかったが、1917年生まれというので、このアルバムを作ったのはすでに80歳を超えてから。歳をとってから益々他人に真似のできない魅力が増す、羨ましい限りだ。
経歴を見ると、ジャンゴラインハルトとギターを弾き、クインシージョーンズと曲を作り、ミッシェルルグランとロックの先駆けをやり、ジョビンにボサノバの影響を与えたと聞くと、ジャズファンとしては身近に感じる以上に、何かジャンルを超えてジャズ界に影響を与えた神様のような存在に思える。

最近は、暑さだけでなく、自然災害も尋常ではない。毎日のように起こる殺人事件も常識離れしてきている。地球も自然のストレスに、そして社会のストレスに皆が堪え切れなくなっているのだろう。
そんな時こそ今の自分を見直すことが必要だと思う。

フランス語なので歌詞は全く分からないが、全体を通して長老が与えてくれるこの「まったり感」は、単に気持ちをリラックスさせるだけでなく、色々苦労を重ねて80歳を超えたサルバトーレからのメッセージのような気がする。彼の生涯を色々と探ってみたくなった。



1. Jardin d'          Hiver Keren Ann / Benjamin Biolay 2:49
2. Chambre Avec Vue                 Henri Salvador 2:42
3. J'Ai Vu                       Henri Salvador 3:30
4. Il Fait Dimanche                    Art Mengo 3:56
5. La Muraille de Chine                Henri Salvador 3:21
6. Jazz Mediterranée             Keren Ann / Benjamin Biolay 3:23
7. Un Tour de Manege                  Henri Salvado 3:38
8. Vagabond                        Art Mengo 3:22
9. Je Sais Que Tu Sais                   Paul Misraki 4:26
10. Mademoiselle Thomas   Dutronc / Armand Garoux / Henri Salvador 3:53
11. Le Fou de la Reine Françoise         Hardy / Henri Salvador 3:10
12. Faire des Ronds Dans l'             Eau Henri Salvador 2:48
13. Aime-Moi                       Henri Salvador 3:54

Henri Salvadorr (vol,g)
Patrick Artero (tp)
Eric Le Lann (tp)
Denis Leloup (tb)
Herve Mechinet (fl)
Daniele Scannapieco (sax)
André Villéger (sax)
Florin Niculescu (Violin)
Thomas Dutronc (g)
Dominique Cravic (g)
Bernie Arcadio (Arranger, Conductor, Musical Director, Piano)
Vincent Artaud (b)
Laurent Vernerey (b)

Produced by Marc Di Domenico
Jacques Ehrhart Engineer


Chambre Avec Vue
Henri Salvador
EMI Import
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有名歌手のカバーは真似るより徹底的に自分のスタイルで・・・・

2014-08-18 | MY FAVORITE ALBUM
To Billy With Love From Dee Dee Bridgewater

ビッグバンドとボーカルの関係となると昔は専属歌手がいたのが普通だったが、モダンビッグバンドとなると稀となってきた。とはいうものの、大きなステージではゲストの歌手を招く事も多く、ボーカルファンにはとっては、普段はフルバンドをバックにボーカルを聴く機会もすくないので、これも楽しみだ。

サドメルのビッグバンドが2度目の来日をした時74年に、帯同してきたのがまだうら若きディーディーブリッジウォーターであった。メンバーの一人であったセシルブリッジウォーター夫人としての同行でもあった。ステージを見には行ったが、正直オーケストラの方に集中していて、その時は自分にとってはおまけのような存在であった。

74年来日時のサドメルとの共演



来日した時に残したアルバム”Afro Blue”を聴くと、これがなかなかの出来。その後、本国アメリカでのデビューアルバムを作ってからはトントン拍子で大出世。今では女性ジャズボーカル界の大御所の一人となった。

今年来日した時に、久々にライブのステージを聴いたが、これが貫禄のショーであった。
ブルーノートでのライブの最終日、ラストステージでもあったので、最初からマイペースでステージが進む。一時間経ってもまだこれからという感じ。靴も脱いで戦闘態勢に入った時にはすでに1時間半を過ぎ、スタッフが時間経過のメッセージを送るがこれを完全に無視。大盛り上がりで終わった2時間を超えるステージであった。

ライブでのステージ作りの上手さは、以前紹介したLive at Yoshi’sで味わう事が出来る。緩急交えて最高のステージを聴く事が出来るが、ジャズはたはりライブで実力を出し切れるミュージシャンが本物だろう。

一時トリビュートアルバムを続けて出した時期があるが、最近のアルバムでは何と言ってもこのビリーホリデイトリビュートが素晴らしい。2011年のグラミー賞をとったが。レディーデイのミュージカルにも出たことのあるディーディーにとってはスタジオ録音といっても、舞台づくりのようなアルバム作りでその貫禄と実力を窺い知る事もできる。

ビリーホリデイのカバーというと、限りなく彼女の歌い方、イメージをカバーするというアプローチと、徹底的に自分のスタイルでビリーの曲を料理する2つのアプローチの方法がある。このアルバムは後者だが、企画段階では2つのアプローチ、「暗」のビリーと「明」のビリーの2枚組も考えられたそうだ。予算の問題でお流れになったようだが、実現されていたらもっと素晴らしいアルバムになっていただろう。

このアルバムのクレジットに、彼女の名前の横に、vocals, Producerに加えて、Artistic Directorとある。メンバーの選定から、アレンジのイメージづくり、そして演奏そのものまでまさに芸術的に組み上げられている。バックはジェイムスカーターを加えたピアノトリオだが、彼女の表現力豊かな歌と合わせて5人だけとは思えない変化と迫力を提供してくれる。フルオーケストラをバックにしたゴージャスな演奏は物量で作れるが、このような中身の濃い演奏はそれなりの実力者が揃わないとなかなか実現できないものなのだ。

1. Lady Sings the Blue         Billie Holiday / Herbie Nichols 3:31
2. All of Me          Gerald Marks / Seymour B. Simon 2:58
3. Good Morning Heartache   Ervin Drake / Dan Fisher / Irene Higginbotham 5:11
4. Lover Man James Edward   Davis / Roger J. Ramirez / James Sherman 4:43
5. You've Changed        William "Bill" Carey / Carl Fischer 5:11
6. Miss Brown To You      Ralph Rainger / Leo Robin / Richard A. Whiting 2:12
7. Don't Explain        Billie Holiday / Arthur Herzog, Jr. 6:15
8. Fine and Mellow       Billie Holiday 4:55
9. Mother's Son-In-Law      Mann Holiner / Alberta Nichols 2:47
10. God Bless the Child    Billie Holiday / Arthur Herzog, Jr. 5:13
11. A Foggy Da          George Gershwin / Ira Gershwin 4:33
12. Strange Fruit                 Lewis Allan 4:16



Dee Dee Bridgewater  (Producer, artistic director,vol)
James Carter  (ts,ss,cl,fl)
Edsel Gomez  (p,arr)
Christian McBride  (b)
Lewis Nash  (ds)

Recorded at Avater Studio New York, on June 5,6,7,2009

Eleanora Fagan 1915-1959: To Billie With Love From
Dee Dee Bridgewater
Emarcy / Umgd
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お盆休みは、たまにはゆったりした気分で・・・・

2014-08-12 | MY FAVORITE ALBUM
Music From Mr. Lucky / Henry Mancini

今の時代、何でもコスト重視、便利で安ければ良いという風潮が幅を利かせていて、庶民にとっては優雅にゆったりした気分になれるような機会にはなかなか巡り会えない。
先日、ライムライトのアルバムを久々に手に取って、昔は豪華なアルバム作りしていたのを改めて思い出し。何かゆったりした気分で聴けるアルバムでもないかなと思ったものの。普段聴くアルバムは99%ジャズばかり。たまに他のアルバムを聴く事も無くはないが、手持ちのアルバムも数えるほど。そこで、思い出したのがこのアルバム。

しばらく前に、辰巳哲也のオクテットを聴きに行った時、このタイトル曲もレパートリーに入っていた。その時、曲の紹介で、「オリジナルのアルバムはオルガンも入ってゴージャスな雰囲気でお金のかかった演奏だが」というコメントを、フムフムと思いながら聞いていたのを妙に覚えている。

ジャズのスタンダード曲はミュージカルや映画で使われた曲が多い。時代の変遷の中でテレビがメディアの主力になると、このテレビのテーマソングというのも良く採り上げられるようになった。テーマその物がジャズ(風)というのも多い。
このミスターラッキーはマンシーニの作曲だが、マンシーニは、この作品の前に「ピーターガン」でジャズを使って大ヒットしている。その続きで、この作品でもジャジーな演奏の曲が多い。

とはいっても、このアルバムはストリングスを加えたフルオーケストラで、ソロはオルガンがメイン。雰囲気はビートの効いたピーターガンとはがらりと変る。特に、メインテーマはゆったりと流れるような感じで、まさに優雅な気分で聴ける一曲だ。
他の曲も優雅さの中にリズム感が実にバリエーションに富むのはサウンドトラック(テレビではあるが)ならでは。クレジットはされていないが、多分スタジオワークをしているジャズミュージシャンも多く参加しているのだろう。

この曲は、テレビが放映された時、ドナルドバード&ペッパーアダムスクインテットが早々にレパートリーに加えていた。マンシーニの曲はどれも綺麗なメロディーで馴染み易い。ミシェルルグランと並んで、スタンダード曲の量産家だ。

自宅のオーディオも久々にストリングスオーケストラを朗々と鳴らしてくれた。お盆休みは、ゴルフの合間にちょっとゆったり、優雅な気分で聴いてみようと思う。



1. Mr. Lucky         2:17
2. My Friend Andamo      3:34
3. Softly           2:47
4. March of the Cue Balls   3:19
5. Lightly Latin        2:59
6. Tipsy            2:35
7. Floating Pad        2:56
8. One Eyed Cat        3:18
9. Night Flower        2:28
10. Chime Time         3:20
11. Blue Satin         2:38
12 That's It and That's All  2:54

Recorded at RCA Victor’s Music Center of the World, Hollywood
December 4, 10, 17, 1959


MR.LUCKY
Henry Mancini
RCA SPAIN
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メイナードファーガソンビッグバンドのバンドシンガーは?

2014-08-11 | MY FAVORITE ALBUM
Maynard Ferguson / Boy with Lots Of Brass

スイング時代のビッグバンドは大体バンドシンガーを抱えていた。しかし、モダンビッグバンドになると、ゲストでボーカルを招くことはあっても、行動を共にするボーカルをメンバーに加える事は少ない。モダンビッグバンドの雄、メイナードファーガソンも一時バンドシンガーを加えていたことがある。

ハイノートヒッターとして有名なメイナードファーガソンは、スタンケントンを辞めた後はロスでスタジオワークをしていた。生活も安定し、スタジオ以外でも地元でのセッションに何の不自由もなかったのだが、自分のバンドを持ちたいという夢は抗し難く、スタジオの仕事を辞めて1956年には早々に自分のビッグバンドを立ち上げた。

DREAM BANDと名付けたバンドは、ビッグバンドのレギュラー編成よりも少し小ぶりな編成の13人編成であったが、ファーガソンの迫力もあり、人数の少なさを感じさせないパワフルな演奏を繰り広げた。
オリジナル曲を中心に若手のアレンジャーを起用して、ファーガソンのハイノートを筆頭に、エキサイトなソロも売りにしていた。
最初は、地元の西海岸で活動していたが、ツアーを経て東海岸に乗り込んで、後に本拠地になるバードランドでもプレーをする。その時は、同じケントン出身であったペッパーアダムスが加わる事もあった。

このドリームバンドの演奏は、西はロスのピーコックレーンでのライブ東はスタジオであったがバードランドドリームバンドとして演奏が残されている。どちらも若さあふれる元気な演奏が印象的だ。

まずは旗揚げ公演を無事に終え、手応えを感じたファーガソンは引き続き自分のバンドでやっていく決心をした。

その理由の一番は、オーケストラをスタートした時から、ジャズの真髄を決して薄めることなく、広く音楽ファンにうけるように商業的にも成功すること。実際に、我々の熱い演奏とプレゼンテーションは聴衆を最初から惹きつけた。他のオーケストラがジャズの枠に拘ったばかりに商業的に成功しなかったのとは大違いだ。
この基本的なコンセプトは、晩年のファーガソンのビッグバンドまで変わらず生き続けた家訓のようなものだと思う。

その時に、メジャーのマーキュリーから声がかかって制作されてのがこのアルバムになる。
基本コンセプトは変えずに、最初のドリームバンドの成果と反省を反映し商業的にはもう一段工夫を加えた。ひたすらアップテンポに拘ったのを、多少テンポにもバリエーションを増やしたのもその一つ。素材にスタンダード曲を並べたのもその一環かもしれない。

そして、もうひとつ、このアルバムではボーカルを加えている。

ファーガソンがオーケストラを立ち上げた時にボーカルを加えようと思って何度かオーディションを行った。しかし、しっくりくる歌手に巡り会えず、決めかねていた時に、推薦してくれた人がいた。

その人はカーメンマクレー。自らを売り込むのではなく、彼女が推したのはアイリンクラールであった。
有名なジャッキー&ロイのロイクラールの妹である。コマーシャルな仕事はしていたが、ジャズのボーカルではたいして実績はまだなく、推薦を受けたファーガソンもすっかり忘れていたところ・・・
ファーガソンオーケストラがシカゴにツアーに行った時に、反対に彼女の方から売り込みがあり、早速リズム隊を用意して彼女のオーディションをしたら、これがピッタリ嵌る。
即採用ですぐにツアーに加わってデビューとなったが。彼女にとってもビッグバンドで歌うのはこのファーガソンのバンドが初めてだったようだ。

このアルバムでは4曲歌っているが、晩年はピアノトリオでバラードを得意とした彼女の、ホットなオーケストラとの共演が本格デビューというのも妙な取り合わせだ。
いずれにせよ、クラールもこのファーガソンのバンドの経験でキャリア的にもステップアップし、プライベートでもこのアルバムに参加しているトランぺッターのジョー・バーネットと結ばれることになる。
ファーガソンのバンドも、このアルバムで更にステップし、ルーレットレーベルで多くの作品を残す実力バンドに育っていく。

2人にとって節目となるアルバムだ。

SIDE-A
1. Give Me The Simple Life      (R. Bloom - H. Ruby) 2:30
2. My Funny Valentine          (Rodgers - Hart) 3:56
3. The Lamp Is Low         (Shefter - De Rose - Parish) 3:23
4. Imagination            (Burke - Van Heusen) 3:49
5. The Song Is You         (Kern - Hammerstein II) 2:06
6. Jeepers Creepers           (Warren - Mercer) 2:51

SIDE-B
1. Love Me Or Leave Me         (Kahn - Donaldson) 2:42
2. A Foggy Day             (G. & I. Gershwin) 3:02
3. Easy To Love                 (Porter) 3:06
4. Moonlight In Vermont        (Suessdorf - Blackburn) 3:47
5. I Hadn't Anyone Till You              (Noble) 1:40
6. I Never Knew                (Fiorito - Kahn) 3:06

A-1, A-2, A-4, A-6, B-2, B-5:
Maynard Ferguson (tp, leader) with:
Tom Slaney (tp), John Bello (tp), Joe Burnette (tp),
Bob Burgess (tb), Jimmy Cleveland (tb),
Anthony Ortega (as), Jimmy Ford (as, ts), Willie Maiden (ts), Tate Houston (bs),
Bobby Timmons (p), Richard Evans (b), Larry Bunker (ds),
Irene Kral (vo on A-2, A-4, B-5).
Recorded in New York City on July 29, 1957.

A-3, A-5, B-1, B-3, B-4, B-6:
same personnel as above, with Irene Kral (vo) on A-4,5, B-4,5
Recorded in New York City on August 2, 1957.

A-1, A-2, A-4, A-5, B-4, B-5 arranged by Willie Maiden.
A-3, B-6 arranged by Ernie Wilkins.
A-6, B-1, B-2 arranged by Al Cohn.
B-3 arranged by Bill Holman.

BOY WITH LOTS OF...BRASS
Maynard Ferguson
FRESH SOUND
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