モダン・ローズ(2010年)
〈もくじ〉
(1) Fl「いろは(Rosa 'Iroha')」
(2) Sh「ザ・レディーズ・ブラッシュ(Rosa 'The Lady's Blush')」/ER
(3) Fl「シュテファニー・グッテンベルク(Rosa 'Stephanie Guttenberg')」
(4) Sh「ブノワ・マジメル(Rosa 'Benoît Magimel')」
(5) Sh「マジェンタ・スカイ(Rosa 'Magenta Sky')」
(6) Fl「ベルベティ・トゥワイライト(Rosa 'Velvety Twilight')」
(7) Fl「真夜 (Rosa 'Mayo')」
(1) Fl「いろは(Rosa 'Iroha')」
樹高 1.2m
花色は濃赤色で花心は白色、花弁裏白色、花径6~7cmで花弁15枚の丸弁半八重平咲き。香りはティ系の微香。
作出: 2010年、日本
作出者: 京成バラ園芸
交配: 不明または未発表
Fl「いろは(Rosa 'Iroha')」
☆ 花の名前
「いろは」は仮名四十七文字で綴る「いろは歌」のはじめの3文字を並べた和風の感じがする名前です。
「いろは」は、「こと、もの」のはじめや第一歩を感じさせる「3文字」ですが、「いろどる」のニュアンスも感じさせる言葉でもあります。
Fl「いろは」は赤色と白色のコントラストの鮮やかなバラですので、「庭にいろどりを添えるバラ」的意味の命名ではないかと考えました。
(2) Sh「ザ・レディーズ・ブラッシュ(Rosa 'The Lady's Blush')」/ER
樹高 1.2~1.5m
花色は淡桃色で花径6~8cm、花弁9~16枚の半八重カップ咲き。香りはティ系の微香。
作出: 2010年、イギリス
作出者: デイヴィッド・チャールズ・ヘンショー・オースティン(David Charles Henshaw Austin、1926~2018年)
交配: 未公開
Sh「ザ・レディーズ・ブラッシュ(Rosa 'The Lady's Blush')」/ER
☆ 花の名前
Sh「ザ・レディーズ・ブラッシュ(Rosa 'The Lady's Blush')」は、イギリスでもっとも長く続いている女性誌の一つである『The Lady』の創刊125周年を記念したバラとのことです。
『The Lady』は、1885年にジャーナリストで政治家のトーマス・ギブソン・ボウルズ(Thomas Gibson Bowles、1841~1922年)がロンドンで創刊したそうです。
「The Lady's Blush(ザ・レディーズ・ブラッシュ)」の「blush」は、英語で「赤面、紅潮、恥じらい」の意味ですが、化粧品の「頬紅」の意味もあるそうです。また、色を表現する場合は「薄い紅色、ほんのり頬が赤くなるような色合い、(バラ等の)蕾が赤らむ、等」とのことです。
「The Lady」はこの場合は雑誌名で、「blush」は「頬紅」より「バラの淡紅色」のことではないかと思います。「The Lady's Blush」で、「雑誌『The Lady』 の薄い紅色のバラ」程度の花名ではないでしょうか。
(3) Fl「シュテファニー・グッテンベルク(Rosa 'Stephanie Guttenberg')」
樹高 0.8m
花色は象牙色がかった淡桃色で花径10cmほど、花弁80~100枚のカップ咲き。香りはティ系の中~微香。
作出: 2010年以前、ドイツ
作出者: クリスティアン・エヴァース(Christian Evers)
交配: 不明または未発表
Fl「シュテファニー・グッテンベルク(Rosa 'Stephanie Guttenberg')」
☆ 花の名前
バラの名前は、ミュンヘン生まれの「児童虐待に反対して子供たちの権利保護を支援する」ドイツ人活動家のシュテファニー・ツー・グッテンベルク(Stephanie zu Guttenberg、1976年生)に因むそうです。
シュテファニー・ツー・グッテンベルクの旧姓はシュテファニー・フォン・ビスマルク・シェーンハウゼン(Stephanie von Bismarck-Schönhausen)で、ドイツ帝国宰相オットー・フォン・ビスマルク=シェーンハウゼン(Otto von Bismarck-Schönhausen、1815~1898年)の玄孫であるようです。
(4) Sh「ブノワ・マジメル(Rosa 'Benoît Magimel')」
樹高 1.2~2.0m
花色は白色に近い象牙色で、花径8cmで花弁26~40枚のディープ・カップ咲きから咲き進むとクウォーター・ロゼット咲き。香りはティ系の中~微香。
作出: 2010年、日本
作出者: 岩下篤也(いわした あつや)
交配: 不明または未発表
Sh「ブノワ・マジメル(Rosa 'Benoît Magimel')」
☆ 花の名前
バラの名前はフランスの俳優ブノワ・マジメル(Benoît Magimel、1974年生)に因むそうです。
(5) Sh「マジェンタ・スカイ(Rosa 'Magenta Sky')」
HT「クリムゾン・グローリー(Rosa 'Crimson Glory')」、HT「シャーロット・アームストロング(Rosa 'Charlotte Armstrong')」、HT「ピース(Rosa 'Peace')」、Fl「ピノッキオ(Rosa 'Pinocchio')」、 Ft「ロサ・フォエティダ・ビコロール(Rosa foetida var. bicolor)」、Sp「ロサ・ルビギノーサ (Rosa rubiginosa)」他の子孫。
樹高 1.5~1.8m
花色は赤紫色で、咲き進むと灰色がかった紫色になります。花径8~10cmで花弁9~16枚の半八重平咲き。香りはダマスク系+スパイス系の中~強香。
作出: 2010年、オランダ
作出者: Adri van Doesum(アドリ・ファン・ドゥーサム)/インタープランツ社(Interplant Roses B.V.)
Sh「マジェンタ・スカイ(Rosa 'Magenta Sky')」
交配: HT「プリンセス・アレクサンドラ(Rosa 'Princess Alexandra')」 × Sh「ラプソディ・イン・ブルー(Rosa 'Rhapsody in Blue')」
・ HT「プリンセス・アレクサンドラ(Rosa 'Princess Alexandra')」
1988年にデンマークで作出された、花色は濃桃色で花径12cm、花弁20~30枚の丸弁八重咲き。香りは強香。作出者はL. ペアニレ・オールスン(L. Pernille Olesen、1949年生) と モーウンス・ニュゴー・オールスン(Mogens Nyegaard Olesen)
HT「クリムゾン・グローリー」、HT「シャーロット・アームストロング」、Fl「ピノッキオ」、Sp「ロサ・ルビギノーサ 」他の子孫。
・ Sh「ラプソディ・イン・ブルー(Rosa 'Rhapsody in Blue')」
1999年以前にイギリスで作出された、花色は赤紫色~紫色で花径6cm、花弁13~17枚の半八重平咲き。香りはスパイス系にムスク香ミックスの強香。作出者はフランク・R.・カウリショー(Frank R. Cowlishaw)
HT「クリムゾン・グローリー」、HT「シャーロット・アームストロング」、HT「ピース」、Fl「ピノッキオ」、 Ft「ロサ・フォエティダ・ビコロール」他の子孫。
Sh「マジェンタ・スカイ(Rosa 'Magenta Sky')」
☆ 花の名前
「Magenta Sky/マジェンタ・スカイ/マジェンタ色の空」
Magenta(マジェンタ)は日本語で「紅紫色(こうししょく)」と呼ばれる色だそうで、紫色がかった濃桃色~明るい赤紫色を指すとのことです。
バラ「マジェンタ・スカイ」は、濃紅色の蕾が開花すると濃紅桃色で、咲き進むと明るい赤紫色、灰色がかった紫色と変化します。
この変り具合を夕暮れから宵の口の空模様に見立てた命名ではないかと思っています。
(6) Fl「ベルベティ・トゥワイライト(Rosa 'Velvety Twilight')」
HT「スヴニール・ドゥ・クロディウス・ペルネ(Rosa 'Souvenir de Claudius Pernet')」、Fl「ピノッキオ」、G「タスカニィ(Rosa 'Tuscany')」、Ft「ロサ・フォエティダ・ビコロール」、Sp「ロサ・カリフォルニカ(Rosa californica Cham. & Schltdl.)」、Sp「ロサ・ムルティフローラ(Rosa multiflora)」他の子孫。
樹高 1.0m
花色は赤紫色で花径9cmほど、花弁は波状でロゼット咲き。香りはダマスク系の強香。
作出: 2010、日本
作出者: 河合伸志(かわい たかし)
交配: T「フランシス・デュブルイユ(Rosa 'Francis Dubreuil')」× Fl「パープル・スプレンダー(Rosa 'Purple Splendour')」
・ T「フランシス・デュブルイユ(Rosa 'Francis Dubreuil')」
1894年にフランスで作出された、花色は黒赤紫色~濃深紅色で花径6~8cm、丸弁カップ咲きのティ・ローズ。作出者はフランシス・デュブルイユ(Francis Dubreuil、1842〜1916年)。
・ Fl「パープル・スプレンダー(Rosa 'Purple Splendour')」
1976年にイギリスで作出された、花色は濃赤紫色で花径10cmほど、花弁17~25枚の丸弁カップ咲きから咲き進むと波状弁平咲き。香りはティ系の中香。作出者はエドワード・バートン・ル グリス(Edward Burton LeGrice、1902~1977年)
Fl「ピノッキオ」 と G「タスカニィ」の玄孫。HT「スヴニール・ドゥ・クロディウス・ペルネ」、Ft「ロサ・フォエティダ・ビコロール」、Sp「ロサ・カリフォルニカ」、Sp「ロサ・ムルティフローラ」他の子孫。
Fl「ベルベティ・トゥワイライト(Rosa 'Velvety Twilight')」
☆ 花の名前
Fl「ベルベティ・トゥワイライト/ Velvety Twilight/ヴェルヴェットのような黄昏時」
velvety(ベルベティ)は英語の形容詞で、意味は「ヴェルヴェットのような、ビロードのような、柔らかい、等々」
twilight(トゥワイライト)は英語の名詞で、意味は「たそがれ(時)、薄明時、薄明かり、ぼんやりとした明るさ」
Velvety Twiligh(ベルベティ・トゥワイライト)は、「赤紫色に染まるたそがれ時」程度の意味でしょうか。花色から連想した命名と思われます。
(7) Fl「真夜 (Rosa 'Mayo')」
HT「クリムゾン・グローリー」、Fl「ピノッキオ」、G「タスカニィ」、Ft「ロサ・フォエティダ・ビコロール」、Sp「ロサ・ルキアエ(Rosa luciae)」、Sp「ロサ・ロクスブルギー(Rosa roxburghii)」他の子孫。
樹高 1.2m
花色は黒赤紫色で花径7~8cm、花弁25~40枚の丸弁八重咲き。香りはスパイス系+ダマスク系の強香。
作出: 2010、日本
作出者: 河合伸志(かわい たかし)
交配: T「フランシス・デュブルイユ(Rosa 'Francis Dubreuil')」 × Fl「オールド・ポート(Rosa 'Old Port')」
・ T「フランシス・デュブルイユ(Rosa 'Francis Dubreuil')」
1894年にフランスで作出された、花色は黒赤紫色~濃深紅色で花径6~8cm、丸弁カップ咲きのティ・ローズ。作出者はフランシス・デュブルイユ(Francis Dubreuil、1842〜1916年)。
・ Fl「オールド・ポート(Rosa 'Old Port')」
1991年にニュージーランドで作出された、花色は少し灰色がかった赤紫色で花径7~8㎝、花弁40~60枚の丸弁カップ咲きから咲き進むとロゼット咲き。香りはダマスク系+ブルー系の強香。作出者はサミュエル・ダラー・マグレディ4世(Samuel Darragh McGredy IV、1932~ 2019年)
HT「クリムゾン・グローリー」、Fl「ピノッキオ」、G「タスカニィ」、Ft「ロサ・フォエティダ・ビコロール」、Sp「ロサ・ルキアエ」、Sp「ロサ・ムルティフローラ」、Sp「ロサ・ロクスブルギー」他の子孫。
Fl「真夜 (Rosa 'Mayo')」
☆ 花の名前
花の名の「真夜(まよ)」 は、「真夜中」の意味でしょうか。黒赤紫色の花色に因む命名と思いましたが…。
華やかな香りが評価されているバラのようです。闇に紛れそうな花色ですが、芳醇な香りが夜中には一層濃厚になって、花の存在をアピールするのかもしれません。