音楽ネタ 刹那的輝きの一作

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GUNS N' ROSES「Use Your Illusion II」(1991年)

超有名アメリカン・ロックンロール・バンドの3rd。
タイトルに「II」とありますが、当然「I」があり、そちらと同時発売されました。2枚組ではなく2枚同時発売ですぞ。当時の段階ですでに大物となっていた彼らだけあり、やりたい放題です。

正直言うとこのバンド、音楽もバンド自体もあまり高く評価していなかったりします。なんというか、滲み出る「プロ不良」感が鼻につくというか(苦笑)。いろいろな意味で、業界によって「作り上げられた」印象が強すぎるのですよ。名盤と名高い1stも、イメージに反してお行儀のよい凡庸なハードロックという印象しかなく。

しかし、そんな私でもこのアルバムだけはかなり好きだったりします。本作は全体的にウェットかつメランコリックな雰囲気が漂っていて、メロディの傾向もどこかニール・ヤングっぽい感じがするのですよ。それはつまり、私のストライクゾーンに突き刺さってくるということ。特にアルバム前半、冒頭の#1「Civil War」からボブ・ディランのカヴァー#4「Knockin' On Heaven's Door」への流れは秀逸。この独特の哀愁、寂寥感のようなものは実に魅力的です。


「Civil War」

その後も、とあるジャーナリストを実名でディスった#5「Get In The Ring」などのノリのよいロックンロール曲をアクセントにしつつ、メロウな曲が多数登場。なんとも心に染み入ります。#11「Estranged」あたりはブライアン・フェリーっぽいダンディズムも漂っていて素晴らしい。
さらに本作はロックンロール系の曲にも巧みな一捻りが加えられていて、勢いで誤魔化すような場面は無し。これが1stとは違うところ。


「Estranged」のMV

曲数が多く収録時間も長めなことから若干のダレはありつつも、終盤は「ターミネーター2」の主題歌としてお馴染みの#12「You Could Be Mine」、正しくニール・ヤング風の物悲しい#13「Don't Cry」、異色な小曲#14「My World」で締められ、なかなかきれいに終わります。


「You Could Be Mine」のライブ映像

本作発表後、パンク/ハードコア系のカヴァーアルバムを出したきり、長い沈黙に入ってしまった彼ら。結局それが彼らの限界だったのかな、とも思うけど、それ以上に世間の過剰な持ち上げが本来持ち得た才能を殺してしまった感も。
まあ、一瞬の輝きではあれ、一枚でも名作を残せたのだから十分に存在意義のあるバンドだったとは思います。




Use Your Illusion II

ボーナスディスク付きのCD


Use Your Illusion II [Explicit]

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