【映画感想・レビュー】映画『Winny』人が包丁で刺された場合、その包丁を作った人物も罪に問えるのか | ペンギン・エレジー

【映画感想・レビュー】映画『Winny』人が包丁で刺された場合、その包丁を作った人物も罪に問えるのか

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映画『Winny』の作品情報

監督・脚本監督:松本優作
脚本:松本優作、岸建太朗
出演者東出昌大
三浦貴大
吉岡秀隆
渡辺いっけい
吉田羊
吹越満
皆川猿時
和田正人
木竜麻生
渋川清彦
池田大
金子大地
阿部進之介
田村泰二郎
ジャンルドラマ
製作年2023年
製作国日本
上映時間2時間7分
補足情報

映画『Winny』のあらすじ・内容

2002年、プログラマーの金子勇(東出昌大)が、誰でも簡単にファイルが共有できるソフト「Winny」を開発し、試用版を「2ちゃんねる」に公開したところ、瞬く間にシェアを伸ばしていった。
しかし、違法コピーされた映画や音楽、ゲームなどが大量にアップロード・ダウンロードされてしまい、逮捕者も出たことで次第に社会問題へと発展していく。
そんな中、「Winny」の開発者である金子も著作権法違反幇助の容疑をかけられ、2004年に逮捕されてしまう・・・。

映画『Winny』の感想・レビュー・評価

ただのペンギン🐧の映画感想・レビュー&評価
総合評価
 (4)

人が包丁で刺された場合、その包丁を作った人物も罪に問えるのか


2002年に金子勇さんによって開発されたファイル共有ソフト「Winny」を巡って起こった事件を、実話ベースで映画化したもの。
Winnyという存在は知っていたが、このような事件が起こっていたことは知らなかった。
俳優陣の演技が素晴らしく、映画のメインとなる裁判シーンも見どころが多くてとても面白かった。

しいて言うなら、警察の内部告発のくだりを失くすか少なくして、金子勇さんが最高裁で無罪判決を勝ち取るまでを描いて欲しかった。

京都府警の裏金問題を裏付ける証拠がWinnyにアップロードされていたので、この問題に間接的にWinnyが関係していたこと、金子さんの逮捕がこの問題が発覚したことに対する警察側の意趣返しの可能性があったこと、これらの理由により警察の裏金問題を描く必要があることは理解できる。

ただ、技術者の逮捕と裏金問題のせいで「技術一本でやってきたあまり常識を知らない純粋無垢な人間を騙した警察」みたいな印象を強くしすぎてるんじゃないかなと感じて、そこら辺が警察側にとってフェアじゃなかったようにも感じた。

最後の金子さんのインタビューを見ても、映画ほど技術だけをやってきてそれがどういう使われ方をされるのか想像できない純粋無垢な人間という印象を受けなかった。

なので、警察が利用者だけではなく技術者の逮捕をしたということと、裁判の有罪から無罪を勝ち取るまでの流れを中心に描いて、金子さん逮捕の原因が警察の裏金問題がWinnyのせいで発覚したことに対する警察側の復讐だった可能性があるということをさらっと紹介するだけで良かった気がした。
警察側なぜ金子さんを逮捕したのか真実がわからない以上、バランスが難しいのかも知れないけど…。

ただ、ずっと裁判パートを描いても盛り上がるにかけるので、有罪となってしまった前半部分をきっちりと伝えながら、展開を飽きさせないよう裏金問題にも焦点を当てた今回の作りの方が良かったのかなとも思うので、結局はないものねだりですね。

42歳という若さで亡くなってしまった金子さんは、逮捕されてから亡くなるまでの間、再度開発に携われたのが約半年しかなかったらしい。
才能ある技術者の未来が腐った警察により潰されたことは憤りを感じるが、自分の未来を犠牲にして若者たちの未来を守った金子さんには感銘を受けました。
もう叶わないですが、金子さんが逮捕されずに長い間技術開発を続けていた世界線の日本も見てみたかったです。