李小龍的最佳電影〜精武門⑫(大結局)いま精武英雄が上海の夜空に飛翔する! - 超級龍熱

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李小龍的最佳電影〜精武門⑫(大結局)いま精武英雄が上海の夜空に飛翔する!

2024-05-08 10:52:59 | 闘神伝説~李小龍
范君俠「これは何と言う事だ!嗚呼、我々の無益な争いは避けよ、ひたすら耐えるのだとの考えは間違っていた。霍師父、私たちは何と愚かだったのでしょう!陳眞が正しかった!我々は闘うべきだったのだ!」

師範代の范君俠(田豊)の悲しみと怒りの絶叫が虹口道場の襲撃により無惨にも門弟たちの屍の山と化した精武館内に無情にも響き渡る。
そこに羅探長(監督の羅維)を引き連れ悠然と乗り込んで来た日本領事(金軍)が「お前ら、この精武館を閉鎖されたくなかったら陳眞とかって言う腰抜けの中国人をサッサと引き渡せ!」と范師範代に詰め寄ったその時!

陳眞「陳眞ならここにいるぞ!」

全員の視線を一斉に浴びながら館内の2階から1階へと連なる階段をユックリと降りて来た陳眞(李小龍)は、恋人の霍麗兒 (苗可秀)と悲しげに視線を重ね合うと、隣の范師範代に静かに目礼し、戸惑う羅探長を館内の隅に連れていき、静かに、そして力強く語りかける。

陳眞「俺がこの身を領事館に投降すれば、精武館を閉鎖しないと約束出来るか?嘘はもういい!本当の事だけを言ってくれ!」
羅探長「・・分かった。約束しよう。私も君と同じ中国人だ!」

陳眞は羅探長の言葉に頷くと、精武舘の出口に向かって歩き出す。陳眞は途中でビクビクと立ち尽くす日本領事を一喝する!

陳眞「貴様、良く聞け!俺は自分が犯した罪は堂々と償う。お前は今すぐここから出ていくんだ!」

1974年、本作『ドラゴン怒りの鉄拳』(72)の劇場ロードショー公開時に、渋谷宝塚なる映画館の大スクリーンを見上げていた龍熱少年は、ここからブルース・リー扮する陳眞はどうなるのか?この映画はどんなエンディングが待っているのか?それこそ固唾を呑んで見守っていました。

この『〜怒りの鉄拳』エンディングについては、主演の李小龍と監督の羅維の間で、羅維監督の「例え恩師の仇討ちのためでも多くの人間の命を奪った陳眞は自分の命でそれを償うべきだ」との意見と、李小龍の「いやそれでも陳眞は生き残るべきだ!」とお互いの意見が真っ二つに分かれていました。
その2人の意見の相違の最良の妥協案として提案されたのが李小龍がアメリカ時代に観た西部劇の傑作『明日に向かって撃て!』(69)のエンディングだったのです。いま精武英雄、最後の咆哮の時・・!

陳眞が精武館の玄関に立つと、目の前には日本人たちの非情な銃口が待っていた。
目に薄っすらと涙を浮かべた陳眞は、意を決したように悲しげな雄叫びを上げながら、美しい上海の夜空に向かって高々と飛翔する!!

陳眞「アッチャアアアアアァァァァ!!」

凄まじい銃声が鳴り響き、一瞬、上海の全ての時が静止した・・!

『ドラゴン怒りの鉄拳』は李小龍が主演した5本の香港クンフー映画の中で、唯一李小龍が映画の最後に命を落とす作品です。
『〜怒りの鉄拳』はその余りに衝撃的かつ感動のラストによって、単に李小龍の最高傑作であるばかりか、アジアの映画史においても民族映画の代表的傑作として今も広く語り継がれています。
また本作がこの陳眞の雄々しいまでの鮮烈なエンディングを撮り切った事で、以後、数々の“精武門系列作品”が生まれた事も特筆されます。

最後に中国武術研究家の笠尾楊柳先生は、まだ『ドラゴン怒りの鉄拳』が日本で劇場公開される以前、台湾の映画館で『〜怒りの鉄拳』をほぼリアルタイムで観賞した数少ない日本人の1人でした。
映画が終わり、笠尾先生の隣の台湾人男性が「この映画、日本人が悪者だから気分悪かったでしょ?」と声をかけて来たそうです。
その台湾人男性に笠尾先生はこう毅然と答えました「日本人だろうと中国人だろうと、悪い人間は正義が討つのさ!」。

そう、例え日本人だろうと、中国人だろうと、正義が悪を討つ。そこには人種も国も関係ない。
私はこの言葉に1974年当時、日本の映画館で本作『ドラゴン怒りの鉄拳』を観た私たち日本人の素直な感動と興奮が重ね合わさるのです。
そこには反日も、逆羽織袴も、妙な日本語も関係ない。そこにあるのは恩師の仇を討つため自らの命を投げ出し、たった1人で闘い抜いた“精武館で最も出来の悪い弟子”の哀しくも壮絶なる生き様のみ。
“精”は魂の団結!“武”は支配への抵抗!“精武”と書いて不屈の闘志と読む!
李小龍的最佳電影『ドラゴン怒りの鉄拳』よ、永遠に。

Legendary ending scene from Fist of Fury.
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